目次
はじめに
皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
本日のテーマは、「世古口が金融資産の大半を米ドル債券で運用する本当の理由」です。
私自身も、金融資産の大半を米ドル債券に投資しています。金融資産が世の中に無数にあるなか、なぜ私のような資産運用のプロが、米ドル債券という資産クラスを選び、大半の資産をそちらに投資しているのか、今回は、その本当の理由についてお伝えします。
「金利が高い」「経済がこうだ」「割安だ」、そのような経済や客観的な状況は一旦置いておいて、私の個別の事情で、私自身はこういう理由でこの米ドル債券を持っているのだという、米ドル債券投資の理由がありますので、お話しさせていただきます。
今回は、私の個別の事情についてお話しするので、私自身に全く興味がない方は読まないでいただきたいのですが、私の話で皆さんの資産運用の参考になると思われる方は、ぜひご覧いただき、参考にしていただけたらと思います。
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金融資産の大半を米ドル債券で運用する本当の理由
今回は、結論からお伝えします。「世古口が金融資産の大半を米ドル債券で運用する本当の理由」は主に4つあります。
理由1)自分が死んでも家族が安定収入を得られるから
これが一番大きな理由です。私はウェルス・パートナーという未上場会社を経営しているオーナー経営者ですが、この会社の売上、利益、そして自分に出されている役員報酬(個人の収入)は全て、私のこれまでの実績・ノウハウがあるから生まれているものだと思っています。
私が万が一亡くなってしまった場合、その後、家族の収入は基本的に途絶えてしまう可能性が高いです。会社オーナーでもあるので、会社の株を家族が承継し、配当収入は得ていくことができるかもしれません。しかし、私は、会社オーナーと経営は本来一体であるべきだと考えています。ですから、私ではない誰かが私の会社の株を持ったとしても、経営とうまく一体化し機能することは難しいと思うので、株を持っているからといって、その収入が得られるとは限らないと考えます。
ですから、他の未上場会社のオーナー経営者の方も同じかもしれませんが、私が万が一亡くなったときのために、家族が生活していくための収入源を作っておく必要があると考えています。私は、妻と2歳の子供が2人という家族構成ですが、家族が生活していくのにどれぐらい必要か考えたときに、この程度あったらいいと思い、それぐらいの利金収入を生み出す米ドル債券をまとめて持っています。
これがあれば、基本的に私が亡くなったとしても、その債券は家族に承継されます。私の場合、米ドル債券だけでも年間で千数百万円程度の利金収入が生まれてくるので、月間百万円ほど入ってきます。それを私が亡くなった場合は、家族の生活資金に充てて、何とかやっていくことができるのではないかと思っています。ですから、私は資産の大半を米ドル債券で運用しているのです。これが理由です。
私はまだ病気でもないですし、40代ですので、死ぬ確率はそれほど高くはありませんが、やはり家族の生活や、生きていくことが一番大事です。万が一亡くなってもいいように、そのような収入源を作っておくことで、私自身が安心感を得られています。つまり、債券に投資しているようで、保険にもなっているわけです。
保険は、万が一何か起こったときのために、それを保障するための金融資産だと思うのですが、一方で、不安の解消にも寄与します。私は、自分が亡くなったときのことを心配していますが、亡くなったときの心配や不安を解消することに、この米ドル債券が繋がっているので、米ドル債券という資産クラスではありますが、保険の役割も兼ねているというイメージになると思います。
こちらは、多くの事業会社の会社経営者やオーナーの方にも共通することではないでしょうか。規模にもよりますが、多くの場合、未上場会社の中小企業のオーナー経営者の方は、ワンマン経営であることが多いので、オーナーの方が亡くなったときは、会社や個人の収入がどうなるかわからないケースが多いと思います。
そのような場合に、安定的に利金収入を1,000万円、2,000万円生み出すような資産を個人ベースで持つことができれば、とりあえず、自分が亡くなった後のご家族の収入は確保されます。また、それが安心材料になり、会社経営の方にも打ち込めるという効用もありますので、多くの未上場会社の経営者の方にお勧めしている資産形成法が、この米ドル債券になります。
理由2)子供が望んだとき海外での教育を受けられるように
これも理由としては大きいのですが、私自身は、まず前提として、子供には海外ベースの教育を受けてほしいと考えています。日本に住みながら、海外の英語や多国語の教育をしていくということもありますが、子供が本当に海外の学校に通いたいという場合、海外に行き、そこの学校で生活をしてほしいと思っています。
ただ、これは今すぐのことではありません。先ほどもお話ししたように、私の子供は2歳なので、海外の学校に通うとなったら、早くても小学校や中学校になると思うので、5年後や10年後になるわけです。高校や大学であれば、もっと先の15年後や20年後になります。海外での教育費用が必要になるのは今ではなくて、5年後、10年後、15年後の未来の話になります。
未来の為替レートや海外の物価は、どうなるのか正直わかりません。今は1米ドル150円になっていますが、では10年後はどうなっているでしょうか? 300円になっている可能性もあるわけです。円の信用力がなくなり、400円や500円になる、そのような未来になる可能性もあります。仮に10年後に300円や400円になっていた場合、子供を海外の中学・高校・大学に通わせることができるかというと、正直あまり自信がありません。
今のアメリカやスイスのボーディングスクールに通うと、子供一人当たり、年間の生活費や学校の費用を含めると1,000万円ほどかかります。それが1ドル300円、倍になった場合、年間2,000万円になります。3倍になった場合、3,000万円ほどになるので、子供が2人の場合、年間6,000万円です。教育費だけで6,000万円、これを毎年支払っていくとなると、教育費で破産してしまうので、なかなか大変なわけです。
為替が、外貨が高くて円安になってしまい、教育費が爆上がりしてしまうという、このリスクをヘッジする方法が一つだけあります。それは、現時点で持っているまとまった日本円資金を、米ドルや留学する国の通貨に替えてしまうことです。なぜかというと、今の時点での為替レート150円で米ドルに替えるので、10年後、15年後に為替が300円400円になっていたとしても、150円のときに米ドルに替えた資金を基本的に教育費に充てていけば、何とか海外の教育を受けられる可能性が高くなります。
今の時点でまとまった円を米ドルにすることは、10年後や15年後の将来の円安リスクを回避していることに実はなっています。ですから、私が金融資産の大半を米ドル債券にしている本当の理由の2つ目は、子供が望んだとき海外の教育を受けられるようにすることなのです。
理由3)債券だとほとんど値動きが気にならないから
最初の2つとは違い、共感していただける方が多くなると思います。私に家族や子供ができる前は、資産に占める大半の割合は株式がほとんどでした。資産の6割~7割は株式だったのですが、資産に占める株式の割合が多い場合、結構株価が気になります。
私のような資産運用のプロでも結構気になるので、そうでない方はもっと気になるかもしれません。1日の大半見ていることはないですが、毎日株価を見てしまったり、朝起きた際は必ず株価を見たり、気づいたら見ていたり、資産を占める株式の割合が多い場合は、やはり株価の動きが気になってしまいます。
それにより、気が散ってしまうことがあります。私の場合は、お客様の資産運用や会社のことを考えなくてはいけないなかで、株価が気になってしまうのは、立場的にも会社的にもあまり良くないと思うので、株に意識がいかないように、気が散らないように株の割合を減らして、債券を増やしています。
債券はほとんど値動きが気になりません。債券の価格自体、毎日アップデートされて証券会社の口座に反映されるものではないので、正直債券はほとんど値動きが気になりませんし、そもそも値動きしないのです。実際に資産の大半が株式から債券中心になってから、ほとんど資産がどうなっているか、価格の動きが気にならなくなりました。精神衛生的に非常に良いのではないかということで、これが3つ目の理由になります。
理由4)お客様と同じポートフォリオを持つのは大事
私が金融機関で働いていたときから20年ずっと大事にしてきた考え方ですが、お客様と同じポートフォリオを持つのは非常に大事かと思っています。私はこのような考えを持っているので、またお客様も富裕層の方が多く、安定的に資産運用したい方が多いので、やはりご提案させていただく金融資産の中心は、今回のテーマの米ドル債券になることが多いです。ですから、お客様のポートフォリオは、基本的には米ドル債券中心の方が多いです。
そのようななかで、例えば私が株ばかり持っていたり、全然関係ない資産を持っていたりしたら、どうでしょうか。お客様が米ドル債券中心ですから、私は、私自身も米ドル債券を中心にポートフォリオを持った方が良いと考えます。
私自身の資産が米ドル債券ですから、常に米ドル債券のことを考えています。もちろん仕事ですから、お客様が持っている資産のことももちろん考えるのですが、やはり私の資産も米ドル債券になった方がより絶対考えるわけです。これは人間の心理というか、当然の本能かと思います。
お客様から預かっている資産も、もちろん大事な資産ですし、私自身の資産を米ドル債券にしていますから、私は公私共に米ドル債券が中心となり、米ドル債券のことだけを真剣に毎日常に考えています。そうすることで、米ドル債券の状況も常にウォッチしていますし、新しいアイデアも生まれてきます。
「こうしたほうが良いのではないか」「こういう組み合わせをしたほうが良いのではないか」「残存期間はこうした方が良いのではないか」「今は利回りが良い」など、私自身がお客様と同じポートフォリオを持つことで、常に米ドル債券のことを考えるようになるので、仕事にとってもプラスになります。これは、私が金融機関で働いていたときから20年ずっと大事にしている考え方ですので、これが4つ目の理由になります。
まとめ
米ドル債券を持つ理由は、千差万別、さまざまで良いと思います。私自身は、このように、私が死んだときの家族の収入確保や、子供が教育を受けるためなど、個別事情による米ドル債券投資の動機になっています。「金利が高い」という経済的な理由は一旦置いておいて、ご自身の個別事情に則り、米ドル債券が必要かどうかしっかり考えていただき、投資を検討いただくことが基本的によろしいのではないでしょうか。
本日は「世古口が金融資産の大半を米ドル債券で運用する本当の理由」という内容でお届けさせていただきました。
株式会社ウェルス・パートナー
代表取締役 世古口 俊介
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。
2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者1万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
メディア掲載情報:「m3.com」「ZUU online」「MONEY zine」「マネー現代」でコラムを連載中