資産運用のプロが米ドル債券の『欠点』をぶちまけます!

はじめに

皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。

本日のテーマは、「資産運用のプロが米ドル債券の『欠点』をぶちまけます!」です。米ドル債券のデメリットをお話しします。

米ドル債券の良いところを話してきましたが、今度は悪いところばかりを話し始め、どうしたのかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし米ドル債券に限らず、投資に関しては、メリットもあれば当然デメリットもありますので、両面をしっかり理解した上で投資をするという決断をするのが非常に大事かと思います。今回は、欠点だけをお伝えします。

米ドル債券への投資をご検討させている方は、投資する前にお読みいただき、本当に投資に値するものかどうかを判断してご投資いただければと思います。

欠点まとめ①

米ドル債券の欠点について8つあります。

欠点1)発行体格付けBBBの会社が倒産することもある

発行体格付けです。格付けBBB-以上の格付けは投資適格債と呼ばれており、いろいろなファンドや機関投資家などの投資対象になる格付けであるという説明を受けることが多いと思います。確かに、BBB-以上の債券は、債券を発行する会社が倒産する確率が非常に低いですが、ただ、倒産することもあるという事実は理解しておいた方がいいと思います。

実際に2023年は、アメリカの地銀が何行か倒産しました。あの地銀も、格付けで言うとBBBやBBB+程度であったと思います。そのような会社が、一瞬にして破綻してしまう可能性もあるわけです。ですから、倒産することは全くないと思わずに、一部倒産する可能性はあると理解して投資するのが大事ですし、しっかりと債券ポートフォリオで管理し、発行体リスクを分散するのが非常に重要になってきます。

欠点2)アメリカの発行会社に偏ることが多い

米ドル債券の場合、当然アメリカの企業が米ドルの需要が一番高いので、発行会社で言うと、世の中に存在する米ドル債券の多くの割合がアメリカの企業が発行している債券ということになります。ポートフォリオを作っていくと、アメリカの会社が発行している債券に、やはり偏ってくるわけです。しっかり分散するとは思いますが、それでもやはりアメリカという国のリスクを取っていることになります。

ですから、この点はいろいろと工夫したり、ヨーロッパ系や日系の会社の債券などを入れたり、いろいろな国の企業の債券を含めることによって、アメリカの発行会社の割合を少し減らし、調整することはもちろんできます。ただ、そうしたとしても、やはりアメリカの発行会社の割合はそれなりに高くなると思います。そのようなアメリカの割合が多くなるというリスクは、確かに存在する欠点ではないかと思います。

欠点3)十分に発行体を分散させるにはまとまった資金が必要

債券のファンドの場合、例えばETFであった場合はどうでしょうか。自然にETFの中で1債券、1~2%や1%以下に債券の発行体リスクが分散されます。ファンドなどと比較すると、債券に直接投資をする場合にはそれなりにまとまった資金がないと、発行体リスクを分散して運用できないというのが、この米ドル債券の欠点であることは間違いないと思います。まとまった資金がある方、1億円以上投資できる方は、それなりに分散できるので問題ありませんが、資金がない方にとっては、個別の米ドル債券は欠点になるのは間違いないでしょう。

欠点4)証券会社はリスク過多の集中投資を勧めることが多い

債券を分散させた方がいい、ポートフォリオで米ドル債券を運用した方がいいと、いつもお話ししています。証券会社から米ドル債券も勧められると思いますが、分散するメリットが証券会社側にはあまりありません。分散すればするほど工数が多くなり、投資する時の手続きがその分大変になります。

1銘柄、2銘柄、3銘柄と債券の数が増えれば増えるほど、手続きが簡単になるかというと、そうではありません。2銘柄の場合は2倍、10銘柄の場合は10倍大変なので、証券会社側に発行体リスクを分散させたポートフォリオを作るメリットがないわけです。ですから、「それなら1億円全部この債券でいいです」「こちらにしましょう」「この債券に全部オールインしておきましょう」ということになるのです。証券会社側が、お客様のポートフォリオ、資産全体像を把握せずに提案してくるので、「それならいくら投資できる」「口座に1億円あるから1億円投資しましょう」という話になることが多いようですが、それは本当にやめた方がいいです。

証券会社として、分散ポートフォリオを作るメリットがあまりないので、どうしても1銘柄や2銘柄に資金の全額を投資するような、リスク過多の集中投資を勧められて、その内容を理解できない方も多いので、言われるがままに投資してしまい、大きな損失になってしまうという方も結構多いです。証券会社の問題ではありますが、そういった面は、証券会社で取引されている方にとっては、米ドル債券のリスクと言ってよいと思います。

欠点5)CoCo債など仕組みが複雑で理解困難な債券もある

米ドル債券と一言に言っても、普通の米ドル債券もあれば、倒産した時にお金が返ってくる順番が遅い劣後債、CoCo債と呼ばれる債券などがあります。特に、米ドル建ての債券の中で難しいと言われるのがCoCo債です。銀行などが発行しており、自己資本比率が一定の数字を下回ると、元本が毀損してお金が返ってこない可能性があるというような仕組みの債券です。

このような債券は、投資の初心者からするとかなり複雑な債券になっているので、その仕組みが理解できない可能性が高く、投資しない方がいい可能性もあります。これも米ドル債券のデメリットと言ってもいいのではないでしょうか。

欠点6)ファンドと比べると投資や管理の手間は多くなる

どうしても投資の管理や手間は、ファンド、ETF、投資信託などと比べると、多くなると思います。当然、ご自身で債券ポートフォリオを作って、1銘柄ずつ受注・発注して購入し、証券会社で管理することになるので、毎日何かやらなければいけないわけではありません。

投資した債券が1年後に償還するとして、1年後に返ってきて、それを再投資する時に、何に投資した方がいいのかを考えなければなりません。また、半年や1年くらい経つと、債券ポートフォリオの状態もかなり変わってきますので、その時に何かした方がいい可能性もあります。一部をリバランスした方がいい経済環境の時もあります。基本は放っておいてもいいのですが、定期的に半年や1年に1回程度、メンテナンスをする必要がある可能性があるというのが、米ドル債券ポートフォリオです。

ファンドの場合はファンドが勝手にやってくれますので、そのままにしておきます。それがファンドのメリットです。もちろん、個別で債券ポートフォリオを作ることによって、ファンドのコストなどが掛からず、ご自身で管理ができてオリジナルのポートフォリオが作れるメリットもありますが、投資の管理の手間が多くなるデメリットは、ファンドと比べるとどうしてもあると思います。

欠点7)ネット証券だとラインナップが限定される

ご自身でインターネット証券で米ドル債券に投資されている方がいらっしゃると思います。しかし、ネット証券経由の場合、米ドル債券のラインナップがかなり限定され、格付けが高い、基本的にはA-以上の債券や、格付けが低くてもBBBやBBB+以上の債券が多いと思います。そうすると、米国債や日本のメガバンクの債券などが中心になってきます。そのようなものだけでポートフォリオを作ると、かなり発行体のリスクが偏った債券ポートフォリオが出来あがります。

ネット証券の場合、完璧な債券ポートフォリオを作るのは難しいでしょう。ですから、ネット証券だけで取引している方にとっては、デメリットではないかと思います。かなり分散された完成度が高い債券ポートフォリオを作ろうとすると、どうしても対面の証券マンやIFAと取引する必要性があるのではないでしょうか。

欠点8)まともにアドバイスできる証券マン、IFAが少ない

これはアドバイザー側の問題ですが、まともにアドバイスできる証券マンやIFAが、米ドル債券に関しては少ないです。なぜかと言うと、証券会社の収益性に関するところではないかと思いますが、そもそも証券会社にとって、米ドル債券は注力プロダクトではないことが多いからです。販売しても、証券マンもそこまで成績にならない可能性が高いわけです。証券会社によって違うとは思いますが、そのような考えの証券会社は多いと思います。私がいた時はそうでした。

ですから、米ドル債券を積極的に勧める方はいなくて、どちらかと言うと、ラップ口座やテーマ型ファンド、仕組債などを勧めた方がいいという証券マンが多いです。そのため、米ドル債券にそれほど詳しくなくて、ポートフォリオを作る発想がそもそもないわけです。ですから、米ドル債券をまともにアドバイスできる証券マンやIFAが少ないというのが、この米ドル債券の欠点と言えるのではないかと思います。

以上が米ドル債券の欠点のまとめになります。このようなデメリットや投資リスクをしっかり理解した上で、米ドル債券に投資する価値があるのかどうかをしっかり考えていただき、欠点も含めて米ドル債券も持ちたい方であれば、投資してもよいと思います。

本日は「資産運用のプロが米ドル債券の『欠点』をぶちまけます!」という内容でお届けさせて頂きました。

今回の内容については「世古口俊介の資産運用アカデミー」でも視聴できます。

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