皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
目次
はじめに
本日のテーマは、「医師が1億円で毎年600万円の利息収入を得るための米ドル債券投資」です。こちらは実際にご相談をいただいた実例でして、1億円で毎年600万円の利息収入を得ることは可能です。引退が近いお医者様から、「今後、病院からの報酬がなくなるので、手元の1億円を使って毎年600万円の利息収入を得て生活の糧にしていきたい」というご相談がありました。
今は、アメリカの金利が高まっています。金利が高い債券に投資することで、1億円で税引前600万円の利息収入を得ることができるような経済・金利環境になっているので、実際に私たちがご提案させていただいた債券ポートフォリオの実例をご覧いただければと思います。
米ドル債券ポートフォリオ設計
債券を組み合わせた表です。年利回りまでを出させていただくことが多いですが、今回は、具体的な利息収入の目標がありますので、右側に2つ(年利率・年間利息)を加えています。
まずは、年利回り・年利率・年間利息についてご説明しましょう。年利回りは、毎年入ってくる利金です。債券価格は100で発行されて100で返ってきますので、例えば90で買った場合、100で返ってくるので値上り益を得ることができます。毎年入ってくる利金と値上りの損益を合算して年間の収益性に還元したものが年利回りです。債券投資の場合は特に年利回りが大事なので、いつも年利回りを入れています。
今回は利息収入がテーマになっているので、右側に年利率を加えています。投資した債券が10万米ドルの債券で、年利率が5%だとしたら、それに対して毎年5,000ドルが利息として入ってきます。それを年利率と言います。つまり、債券投資金額に対して入ってくる利息のパーセントが年利率です。こちらのように、5.8%・7%・6.1%と債券ごとに決められています。債券投資額面に対して年利率があり、実際に入ってくる年間利息がその右側にあります。
例えば、こちらの一番上の行を見ると、債券投資金額1,000万円で年利率が5.8%、単純に掛け合わせると58万円ですが、年間利息は60万円になっています。これはなぜかというと、債券の価格が90・110・80等であった場合、単純に掛け合わせて数字が出るものではなく、価格も年間の利息金額に影響するので、それも加味して年間利息を出しているのです。ですから、「年利率×単純な投資金額」ではない点をご留意いただいてご覧いただければと思います。価格も込みで考えたときの実際の年間利息を推計したものが、一番右側の列です。
もう少しポートフォリオを詳しく見ていきましょう。一番左側が債券を発行している会社(発行体)です。業種と国が記載されていて、保険会社や銀行などの金融機関が多いです。その他は日本の投資会社、アメリカのIT会社が入っています。
債券種類は、期限付劣後債が一番多く、10債券中6債券、普通社債が4債券です。通貨はドル建てで、金額は全て1債券1,000万円、合計1億円の債券ポートフォリオになっています。
債券格付けは、全て投資適格債ですが、No.3の債券格付けはBBになっています。これが一番低い格付けです。基本的にはBBB前後の債券格付けが多く、A-の債券も入っています。こちらの債券ポートフォリオの平均格付けはBBBです。
残存年数(お金が返ってくるまでの期間)に関しては、上から、4年・7年・9年・11年・13年・20年で、平均では11.3年になっています。その右が年利回り、価格・利率・利金込みの債券の年間の収益性になります。こちらの場合、6%~7%前後の利回りの債券が多いので、債券ポートフォリオの平均利回りは6.5%です。かなり収益性・利回りが高い債券ポートフォリオであると言えます。
次は年利率(額面に対して実際に利金が入ってくる率)です。こちらの場合、5~6%の債券が多く、平均では5.8%という年利率になっています。価格等も計算に入れて考え、実際に債券に1,000万円投資し、入ってくる年間の利息を計算したものが一番右側の年間利息です。今回は目標がしっかりありますので、60万円前後の利金の債券が多く、こちらの債券ポートフォリオ全体の合計の年間利息は605万円の予想です。ですから、債券に1億円を投資して、実際に毎年入ってくる税引前の利金が合計で600万円を超える債券ポートフォリオになっています。
このような債券ポートフォリオで10債券に投資すると、月によって増減はありますが、毎月利息が収入として入ってきます。ですから、医師の先生が病院からの報酬がなくなったとしても、定期的に利息が入ることによって、生活費や老後の資産形成・生活設計に使っていくことができるようになるわけです。
まとめ
本日のテーマである「医師が1億円で毎年600万円の利息収入を得るための米ドル債券投資」をまとめます。ポイントは4つあります。
ポイント1)1億円で毎年600万円の利息収入を得るのは野心的な目標であるが可能
1億円で毎年600万円の利息収入を得るのは実現可能ですが、実は野心的な目標であると言えます。ですから、かなり工夫は必要です。何も考えずに債券ポートフォリオを組んでも600万円の利息収入は生まれないので、工夫が必要になってくると思います。
ポイント2)年利率が高い金融機関発行の債券が多くなる
その工夫についてですが、年利率が高い債券を意図的に組み込まないと、毎年600万円の利息収入の目標を達成できません。年利率が特に高い債券は金融機関(銀行や保険会社)が発行している債券が多いので、このような債券を組み込んでいく必要があると思います。先ほどの債券ポートフォリオも、銀行の割合が一番多く、次に多いのが保険会社と、全体の8割が金融機関発行の債券になっています。したがって、債券ポートフォリオ全体に占める金融機関の発行体の割合は高くなります。
ポイント3)必然的に平均利回りが高く、格付けはやや低くなる
高い利息収入を目指していくと、利率が高い金融機関の債券に行き着きますので、必然的に債券ポートフォリオ全体の平均利回りも高くなります。それに伴い、債券ポートフォリオ全体の格付けもやや低くなりますので、債券の投資リスクが若干高まるのです。そこのリスク管理や落としどころなどは、ご自身のリスク許容度と合わせ、アドバイザーと相談しながら設計していく必要があると思います。先ほどの事例の債券ポートフォリオの場合、平均格付けがBBBですので、基本的に許容範囲ではないかと考えます。その方の投資経験や求めている目標、リスク許容範囲がありますので、兼ね合いでどれぐらいの利回り・格付けがよいのかを決めていくとよいでしょう。
ポイント4)アメリカの金利が高騰している今だから可能
今回の目標達成、1億円で600万円の利息収入を得るのは、今だからできる投資とご理解ください。現在、アメリカの金利が高騰していて債券の価格が安くなっています。債券の価格が安いと、利率に対する利金の金額が大きくなりますので、1億円で毎年600万円の利息収入は可能となるのです。いつでもできるわけではありません。
本日は「医師が1億円で毎年600万円の利息収入を得るための米ドル債券投資」という内容でお届けさせて頂きました。
株式会社ウェルス・パートナー
代表取締役 世古口 俊介
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。
2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者1万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
メディア掲載情報:「m3.com」「ZUU online」「MONEY zine」「マネー現代」でコラムを連載中