こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
現在、「格付けがかなり高いのに利回りも高い米ドル債券ポートフォリオが作れる状況」になっています。
今回はなぜこのような米ドル債券ポートフォリオが作れるのかという理由や、実際のポートフォリオの実例、ポートフォリオを作るポイントなどをご説明したいと思います。
目次
米国10年債と米国30年債の利回りの推移|過去3年について説明
まずはこちらのチャートを見ていただければと思います。
こちらのチャートは、米国10年債と米国30年債の過去3年の利回りの推移です。青色が10年債、オレンジ色が30年債です。右側に行けば行くほど最新の利回りになっています。
米国10年債は2025年に入ったあたりから下がっていく傾向にあります。2025年の一番高いところでは4.8%くらいありましたが、そこからやや低下傾向にあり、5月上旬だと4.3%の利回りです。一方で10年よりもっと期間の長い米国30年債は、高止まりの状態が続いています。米国30年債だと4.7%くらいの利回りです。
利回りを比較してみると、米国10年債と米国30年債では利回りの差が結構開いている状況になっているのが、過去3年くらいのチャートを並べると分かるのではないかと思います。過去3年の間では、米国10年債と米国30年債の利回りの差が一番開いていることも分かるはずです。
このチャートから何が言いたいかというと、「残存期間が長い債券を組み込めば組み込むほど高い利回りを得ることが可能な投資(金利)環境であることが分かる」という点です。
次に見ていただく米ドル債券ポートフォリオの実例でも、残存期間の長い債券を積極的に組み込み、高い利回りを得られるようにしています。これが今の金利状況や経済状況を反映したポートフォリオ作りのポイントではないかと思います。
高格付けかつ利回り5%以上の米ドル債券ポートフォリオ|最新実例
こちらは高格付けかつ平均利回り5%以上の米ドル債券ポートフォリオの実例です。
この債券ポートフォリオは20銘柄に分散投資しています。ポートフォリオに含まれている債券の発行体はメキシコの石油会社や日本の投資会社、日本の銀行、アメリカの銀行や娯楽の会社、保険会社などです。アメリカのIT企業や小売企業なども多くなっています。いろいろな国、いろいろな発行体に分散投資しています。
ただ、米ドル債券なので、比較的アメリカの会社が発行している債券が多く、業種で言えば銀行や保険会社など金融系の会社が多くなっているのが特徴です。次に多いのがIT企業です。
ポートフォリオの債券種類は普通社債が一番多くなっています。次に、倒産したときにお金が返ってくる順番が普通社債より遅い(劣後する)期限付劣後債が4債券入っており、米国債の国債も1債券入っています。
通貨はすべて米ドルになっています。投資金額は、債券1銘柄あたり2,000万円で合計4億円です。
保有比率(1銘柄あたりがポートフォリオに占める割合)は、それぞれ5%です。債券ポートフォリオでは20債券に分散していますので、かなり分散しています。
仮に1つの発行体が破綻してデフォルト(債務不履行)になったとしても(1円も回収できなくても)、この債券ポートフォリオに与えるダメージが5%に止まることを表しています。分散が効いているポートフォリオだと言えるのではないでしょうか。
債券ポートフォリオ実例の債券の残存期間
この債券ポートフォリオの債券は、残存期間が一番短いもので5.4年になっています。次が7年ほど、その次が約8年です。その次に短いもので11年や12年になっています。残存期間が20年を超える債券は9銘柄です。残存期間が最長のもので約28年です。
残存期間が長い債券ほど利回りが長くなっている傾向にあります。意識的に残存期間の長い債券を組み込むことによって、債券ポートフォリオ全体で高い平均利回りを出している、利回りを底上げしているわけです。
債券ポートフォリオ全体の債券の残存期間平均は18.1年になっています。普通に考えると、かなり残存期間長めの債券ポートフォリオになっているのではないかと思います。
債券ポートフォリオ実例の債券の格付け
債券ポートフォリオに含まれる債券の格付けは基本的に投資適格債になっています。ただ、1つだけ低格付け債があります。実例のナンバー2の債券はBB+の格付けで、あとはS&Pの格付けだと投資適格債(BBB-以上)です。
債券ポートフォリオに含まれる債券にはBBB台の格付けのものもありますが、基本的に過半数はA以上の格付けの債券です。米国債などAA台以上の格付けの高い債券もちらほらあります。債券ポートフォリオ全体だと、格付けの平均はAです。
債券ポートフォリオ実例の債券の利回り
この債券ポートフォリオに含まれる債券の利回りは、基本的に5%前後になっています。
中でも特に突出して利回りが高い債券はポートフォリオのナンバー1で、こちらは8.9%です。その他の債券は、利回りが低いものだと4%後半、高いものだと5%前半から中盤ぐらいです。このくらいの債券が多いのではないかなと思います。
債券ポートフォリオの中でも残存期間が長い債券ほど表の下の方に記載しています。
債券の残存期間が長くなるにつれて、世の中の利回り、米国債の利回りが高くなっていますので、高利回りの債券が多くなることで債券ポートフォリオ全体の利回りが底上げされている状況です。債券ポートフォリオ全体の平均利回りは5.3%になっています。
債券ポートフォリオ全体の平均格付けはA。これは、高格付けと言えるのではないかと思います。平均利回りは5.3%ですので、記事のタイトル通り、高格付けかつ利回り5%以上の債券ポートフォリオができています。
今なら目指せる高格付けかつ利回り5%以上の米ドル債券PF|まとめ
最後に記事のまとめができればと思います。
今回の記事のポイントは4つです。
ポイント①平均格付けA台で利回り5%以上を目指す
今であれば実例のように平均格付けA台で利回り5%以上を目指せる状況になっています。
格付けの平均がAやA-で利回りが5%〜5%前半くらいの債券ポートフォリオを作ることは十分可能です。
ポイント②残存期間10年後半以上が高利回りの投資機会
残存期間10年後半以上の債券の利回りが高くなっています。こういった債券を多くポートフォリオに組み込むことによって平均利回りを底上げすることがよいのではないかと思います。
実例のポートフォリオでも過半数強くらいは残存期間10年以上の債券になっていました。今の場合はそのようにするのが利回りを高めるよい方法ではないかと思います。
ポイント③残存期間の長さに応じた発行体選定が重要
3つ目のポイントと4つ目のポイントはリスク管理に関する内容です。
まず3つ目です。
債券の残存期間を長くすればするほど利回りが高くなることは分かりました、と。ただ、残存期間が伸びれば伸びるほど発行体の信用リスクを取る期間も長くなると言えるわけです。ですので、残存期間が長い債券に投資すればするほど、発行体の選定が重要になります。
その債券の発行体に本当に投資していいのか。破綻するリスクのある発行体なのか。投資してよい格付けなのか。こういった選定や見極めをしっかりやることが重要ではないかと思います。
ポイント④15から20銘柄に分散し1銘柄の保有比率を下げる
リスク管理のためには分散も大事になります。
分散をすればするほど、債券ポートフォリオに占める1銘柄の割合が下がるわけです。
できれば15銘柄や20銘柄に債券を分散して、債券ポートフォリオに占める保有比率を下げることがよいのではないかなと思います。
実例でも20銘柄に分散しており、1銘柄の保有比率は5%です。
万が一、1債券の発行体が破綻して1円も回収できなかったとしても、債券ポートフォリオ全体に与えるダメージは5%になります。
5%であれば債券ポートフォリオ全体の利回りが5.3%ですので、1年間の利回りで損失をカバーできる計算です。その程度のダメージに過ぎないとも考えられますので、やはり分散というものも大事ではないかと思います。
利回りが高まっているのはこれから投資する方にはよいことではありますが、逆に考えると、リスクも高まっていると考えられます。発行体をしっかり選ぶと共に、債券の銘柄をしっかり分散することも重要です。
当社ウェルス・パートナーは富裕層の方の資産運用をお手伝いしています。
高格付けの利回りの高い債券で債券ポートフォリオを構築したい方はお気軽にご相談ください。

株式会社ウェルス・パートナー
代表取締役 世古口 俊介
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。
2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者1万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
メディア掲載情報:「m3.com」「ZUU online」「MONEY zine」「マネー現代」でコラムを連載中