米国債のリスクと安全な投資方法

はじめに

米国債は世界中の投資家から信頼できる資産とされていますが、リスクがないわけではありません。米国債投資 に興味を持つ方の中には「米国債にどんなリスクがあるのか」「安心して運用できるのか」と気になる方も多いでしょう。そこで、この記事では米国債のリスクを詳しく解説しながら、安全な投資方法を考察していきます。この記事を読めば、米国債のリスクに対する理解が深まり、適切な投資判断ができるようになるはずです。米国債投資に興味のある方は、ぜひ最後までお読みください。

米国債とは?その基本を理解する

米国債とは、アメリカ合衆国政府が発行する債券のことです。

ここでは、米国債券の概要、日本国債との違いについて解説します。

米国債の概要と仕組み

米国債は、アメリカ合衆国の政府が発行する債券であり、主に政府の財政資金を調達するための債券です。

【債券の仕組み】

画像出典 : https://www.smbcnikko.co.jp/first/learn/bond/kiso01/

債券とは、国や地方公共団体、企業が投資家から資金を借り入れ、一定期間後に元金と利子を付けて返済する仕組みです。

米国債はアメリカ政府が発行する債券であるため信用度が非常に高く、償還まで保有すれば米ドル建てで額面通りの金額を受け取ることができます。

このため、低リスクな投資商品とされ、安定した収益を求める投資家に人気があります。ただし米ドル建て資産のため、為替リスクがある点には注意が必要です。

米国債には償還までの期間によっていくつかの種類が存在し、それぞれ異なる特徴があります。代表的なものに、償還期間が1年未満の短期債券である「財務省短期証券(T-bills)」、1年から10年の中期債券「財務省中期証券(T-notes)」、そして10年以上の長期債券「財務省長期証券(T-bonds)」があります。それぞれの米国債は利子の支払い方法や利率が異なり、ニーズに応じた選択が可能です。

アメリカ国債と日本国債の違い

アメリカ国債と日本国債は、ともに政府が発行する債券ですが、発行体以外にもいくつか違いがあります。

もっとも大きな違いは金利です。米国10年債利回りは約4.5%なのに対して日本国債10

年の利回りは約1.2%で3%以上の利回り差があります(2025年1月末現在)。

また、信用格付けも米国債がAA+、日本国債がA+と違いがあります(S&Pによる格付け)。ともに高格付けの債券といえますが、米国債は「世界で最も安全な資産」とされ、世界中の投資家や多くの中央銀行が保有しています。

一方、日本国債は日本銀行をはじめ国内金融機関、日本人投資家の保有割合が高いという特徴があります。

国内の投資家から見ると、米国債と日本国債へ投資するメリット・デメリットは次のとおりといえます。

米国債 日本国債
メリット ・金利が高い

・安全性が高い

・流動性が高い

・為替リスクなし

・比較的安全性が高い

・国内投資家からみて安定した運用先

デメリット ・為替リスクがある ・金利が低い

このため高金利で運用したい方であれば米国債、為替リスクを避けたい方であれば日本国債への投資がおすすめです。

ただし、米国債も長期保有することで為替リスクを避けられる点を覚えておきましょう。

これは、円高が進んだとしても、債券は保有期間中に利息収益を積み上げられるため、保有期間が長くなるほど「為替の損益分岐為替」が下がるためです。

※為替の損益分岐為替・・・どこまで円高に耐えられるかを表す為替レート

例として、1ドル=150円で利回り5%の米ドル債券に投資したケースを考えてみましょう。

投資から5年経過時点の損益分岐為替は118.1円、10年経過時点では91.4円まで損益分岐為替が下がります。

1ドル=約155円(2025年1月末現在)の現状を考えると、10年後の1ドル=91円程度は予想しにくいはずです。

つまり、外国債券の為替リスクは、長期保有によってヘッジできるということになります。

この金利による為替リスクヘッジ効果について、詳しくは次の動画をご覧ください。

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米国債の投資メリットとリスク

米国債が世界中の投資家から高く評価される理由の一つに安定した収益と安全性があります。

ここでは、米国債投資のメリットとリスクについて解説します。

米国債投資のメリット

米国債投資の大きなメリットは、高い利回りです。先述のとおり米国10年債利回りは約4.5%(2025年1月末現在)と歴史的に見ても高い水準です。高い利回りで安定した利息収入を得られる点は、投資家にとって大きな魅力といえるでしょう。

また、これだけの高い利回りながら信用度の高さも大きなメリットの1つです。米国債は世界で最上位クラスに信用度の高い債券とされており、主要な信用格付け機関による格付けも非常に高いAA+を維持しています。

加えて米国債は流動性の高さも保有するメリットの1つです。米国債は市場規模が大きく、満期前でも時価で売却し、速やかに現金化できる点は大きな魅力といえるでしょう。

また、中途売却が容易であることから、金利が低下して債券価格が上昇した際には、売却して値上がり益を得るといった柔軟な運用が可能になります。

米国債に関わるリスク

米国債は信用度の高さが魅力の1つですが、信用リスクはゼロではありません。米国債の信用リスクとは、米国政府が債務を履行できない可能性を指します。この信用リスクは極めて低いと考えられていますが、政治的対立などが原因で一時的にリスクが高まることがあります。

具体的には、債務上限引き上げを巡る政治的混乱や、金融市場への影響などに注目すべきでしょう。

また、金利変動リスクにも注意が必要です。金利変動リスクとは、金利上昇によって米国債の価格が低下するリスクのことです。

金利が上昇した場合、高い金利で発行される新発債の方が有利となるため、すでに発行されている債券の価格が低下するためです。米国債を満期まで保有する場合は問題ありませんが、中途売却する場合は時価売却となるため、金利変動リスクには注意が必要です。

加えて米国債はインフレリスクにも注意が必要です。インフレリスクとは、物価上昇が米国債の実質的な価値を減少させる可能性を指します。債券は原則として価格上昇が見込めないため、インフレが進行すると実質的な資産価値が目減りします。このため、長期保有を考える際はインフレ動向の予測が重要となります。

米国債利回りが高い時の投資戦略

記事執筆時点で米国債利回りは歴史的にみて、非常に高い水準にあります。

このような状況の中、高い利回りながら信用度の高い米国債は、やはり魅力的な投資対象といえるでしょう。

特に長期債に関しては、現在の高い利回りで長期間金利を固定して運用できることから、絶好の投資タイミングといえるでしょう。

また、米国債以外では高格付け長期社債も魅力的な投資対象です。高格付長期社債とは、期間が20年以上、債券格付けA以上の債券です。

債券投資における一番のリスクは「発行体のデフォルト」ですが、米国債や高格付け長期社債は、デフォルトリスクを下げながら、長期間高い利回りで固定することが可能です。

大きなリスクを取らずに4%台後半から5%台の利回りを狙えるのは、大きな魅力といえるでしょう。

米国債利回りが高い時の投資戦略は、次のNoteで詳しく解説しています。併せてご覧ください。

米国債利回りが高い時に有利な債券は?【お客様からの質問シリーズ76】|藤村大星(富裕層向けIFA) 米国債利回りが高い時に有利な債券は?【お客様からの質問シリーズ76】|藤村大星(富裕層向けIFA) こんにちは ウェルスパートナー(https://wealth-partner-re.com/)で富裕層向けIFAをしている藤村大星(https://twitter.com/wp_fujimura)と申します。 米国債利回りが高止まりしている中で有利な債券はあるのかというご質問をいただいたので解説します。 (1)米国債でも利回り約4% 米国債は投資商品の中では、リスクの低い資産に分類されます。 現在は、そのような資産で4%の利回りが狙える状況です。 以下のチャートから分かるように米国債利回りは約20年ぶりの高値圏です。 米国景気の後退懸念による利下げの予想されていたタイミングで この記事を読む >

米国債の購入方法

米国債券を購入するためには、まず証券口座を開設する必要があります。

ここでは、米国債券投資を始める手順と米国債の購入方法について解説します。

米国債券投資を始める手順と米国債の購入方法

米国債券投資を始めるには、希望の証券会社に証券総合口座を開設します。

証券会社にもよりますが、証券総合口座の開設には最低で一週間程度かかります。また、証券総合口座を開設すると、同時に米国債券投資に必要な外国証券取引口座も開設されます。

証券総合口座の開設が完了したら、購入代金を入金します。

購入代金を入金したら、Webでログイン後に取り扱い銘柄から買付銘柄を選択し、必要書面を確認して注文を行います。

【米国債券の購入方法】

  • 証券総合口座の開設
  • 購入代金の入金
  • Webでログイン後に米国債券を購入

なお、新発債の場合は購入期間が決められており、期間内しか購入することができません。

また、発行金額が決まっており、その金額に達した場合は、購入期間中でも購入できないので注意が必要です。

一方、既発債の場合は購入期間が決まっていないものの、購入できる数量に限りがあります。

まとめ:米国債を安全に投資するために

米国債への投資は、安定性と信頼性を重視する投資家にとって魅力的な選択肢ですが、注意すべき点もあります。

また、米国債投資であっても銘柄や残存年数などの分散、ポートフォリオ設計が必要となるため、可能であればIFA(資産運用アドバイザー)をはじめとしたプロに相談するのがよいでしょう。

私たちウェルス・パートナーは、これまで数多くの富裕層の方々から米国債券投資のご相談をいただき、さまざまな提案と資産運用の支援を行って参りました。

米国債券投資を検討している方、債券運用を学びたい方は、ぜひウェルス・パートナーの無料相談をご検討ください。

無料相談は対面だけで無く、オンラインミーティングツールZoomで承ることも可能です。

また、土日の相談も承っておりますので、ぜひ気軽にご相談ください。

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債券の価格は、市場の金利水準の変化に対応して変動しますので、償還前に換金する場合には、損失が生じるおそれがあります。また、発行者の経営、財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込むことがあります。詳しくは「外国証券の国内店頭取引について」及び「公社債の売買取引について」をご覧ください。
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