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はじめに
「安定した収益を得られる」という理由で米国債の購入に興味があるけれど、どう始めれば良いかわからないという方も多いのではないでしょうか。また、米国債投資がはじめての方には何かと不安や疑問に感じることも多いはずです。ものです。そこで、この記事では初心者から上級者の方に向け米国債の買い方について詳しく解説します。この記事を最後まで読めば、自信を持って米国債の購入を始めることができるようになります。
米国債とは何か?
米国債とは、アメリカ政府が発行する債券です。信用力が高いことから個人投資家だけでなく機関投資家が投資したり、各国の政府が外貨準備のために保有しています。
米国債の魅力は何といっても高い利回りです。記事執筆段階(2024年7月19日)現在の米国債券10年の利回りは約4.2%。2024年前半に比較するとやや利回りが低下していますが、それでも日本国債とは3%以上の利回り差があります。
参考 : ロイター 金利・国債
また、米国債は流動性の高さも魅力です。満期前でも時価で売却可能、数日程度で現金化できます。
米国債のリスクと注意点
米国債は安全性が高いとされる資産ですが、リスクが全くないわけではありません。米国債には大きく分けて次の4つのリスクがあります。
・デフォルトリスク
・金利変動リスク
・為替リスク
・インフレリスク
米国債は安全資産といわれていますが、デフォルトリスクがゼロではありません。このため、米国債だけでなく、社債や先進国国債などへの分散投資を検討する必要があるでしょう。
金利変動リスクとは、金利上昇によって米国債の価格が低下するリスクのことです。金利が上昇した場合、高い金利で発行される新しい債券の方が有利となるため、すでに発行されている債券は価格が低下するためです。米国債を満期まで保有する場合は問題ありませんが、中途売却する場合は時価での売却となるため、金利変動リスクには注意が必要です。
為替リスクとは、円高によって米国債の円換算価格が変動するリスクを指します。ただし、債券は定期的に利息が支払われるため、一定期間保有することで為替リスクを避けることができます。詳しくは次の動画をご覧ください。
インフレリスクとは、物価上昇によって資産価値が実質的に目減りしてしまうリスクのことです。米国債に限らず債券はキャピタルゲインを得られません。このため、安定した利息収入が得られるものの、インフレに弱い点に注意が必要です。
米国債の購入前に押さえておきたいポイント
米国債は米国の政策金利によって利回りが決まります。このため、適切な購入タイミングがある点に注意が必要です。
2024年7月現在、アメリカは歴史的にみても金利が高い状態にあり、米国債の利回りも高い状況にあります。
しかし、FRB(連邦準備制度理事会)は9月のFOMCにおいて利下げを開始する可能性が高まっており、投資家の間では米国債投資への駆け込み需要が発生している状況です。
あくまで現在の予想ですが、利下げは年内に2回行われ、2025年にも段階的に利下げが行われる見込みとなっています。
参考までにウェルス・パートナーが予想する今後1年間の米国債券利回りは次のとおりです。
このとおり、米国債券は2024年12月末で0.5%、2025年6月末で0.9%程度利回りが低下する見込みです。
予想通りであれば、現在の米国10年国債の利回りは、1年後には劣後債でも得られなくなってしまうということになります。
このため、現在の高い金利の恩恵を受けたいのであれば、9月のFOMC前に投資する必要があるでしょう。
また、利下げ開始後に現在と同等の利回りを得るには、米国債だけでなく普通社債や劣後債もポートフォリオへ組み入れる必要があります。
米国債の市場動向と分析方法
米国債の市場動向を理解するためには、経済指標や政治イベントの動向を確認することが重要です。
特に利下げが確実視されている現状では、FOMCで投票権を持つFRB理事やニューヨーク連銀総裁などの発言には注目する必要があるでしょう。
直近では、パウエルFRB議長やウォラーFRB理事の発言から、7月末のFOMCで利下げが開始される予想が大きく後退、大方の予想通り9月のFOMCで利下げが開始される見込みがさらに強まっています。
長期債投資のリスクとデメリット
米国債の利回りが高止まりしていること、そして今年後半に利下げの可能性が高まっているため、最近では「高い利回りで長期間運用したい」、つまり長期債へ投資したいという方が増えています。
現状で考えると確かに長期債投資は大きなメリットがありますが、リスクやデメリットもあるので注意が必要です。
期間が長いとデフォルトリスクが増大する
債券投資のもっとも大きなリスクは、発行体の倒産により生じるデフォルトリスクです。
発行体の倒産リスクは、「信用力がない発行体」・「満期までの期間が長い」ほど高まります。
米国債の場合、発行体の信用力には問題がありませんが、ポートフォリオに他の債券が含まれている場合には、やはり満期までの期間に注意が必要です。
参考までに、投資適格とされる格付けBaa(BBB)のデフォルト率は10年で3%程度です(1990年から2020年までの累積デフォルト率)。
長期債に投資する場合は、普通社債かつ発行体格付けA-以上にする、銘柄や期間を分散するなどのリスク管理が大切になります。
長期債は短期債より価格変動が大きい
すでに紹介したとおり、債券の価格は金利によって変動します。
金利上昇=価格下落
金利下落=価格上昇
そして利率などの条件が同じであれば、期間が長いほど金利による価格変動は大きくなります。
このため、満期まで債券を保有するのであれば問題ありませんが、何らかの理由で中途売却する場合や、値上がり益を狙うために長期債へ投資している場合は注意が必要です。
また、債券価格は金利だけでなく、信用不安も大きく関係しています。
信用不安が高まると、投資家は債券を手放したいと思い、売却が増えるため債券単価が下落するためです。
つまり、急激な金利変動や信用不安が起こった場合は、債券価格が大きく変動するリスクが生じる可能性があるということです。
米国債の購入方法
米国債の購入方法は次のとおりです。
・証券総合口座の開設
・購入代金の入金
・米国債を注文する
米国債を購入するには、まず証券会社へ証券総合口座の開設が必要です。証券会社にもよりますが、証券総合口座の開設には最低で一週間程度かかります。
証券総合口座の開設が完了したら、購入代金を入金します。
購入代金を入金したら、Webでログイン後に取り扱い銘柄から買付銘柄を選択。必要書面を確認して注文を行います。
IFA(資産運用アドバイザー)を利用した米国債投資
最近まで、米国債の利回りが高かったために、「米国債だけに投資していれば良い」と考える方が多くかったのですが、利下げが開始された場合には、ポートフォリオへ普通社債や劣後債と呼ばれる債券を組み入れる必要が出てくるでしょう。
ただし、普通社債や劣後債は米国債よりもリスクが高いため、「どのようにポートフォリオを組んでいくか」は大切なポイントになります。
そこで、ぜひ相談したいのがIFA(資産運用アドバイザー)です。IFAとは、おもに富裕層の方々の資産運用をサポートする金融のプロフェッショナルです。
例えば私たちウェルス・パートナーでは、「米国債券で利回り5%の運用を目指したい」というお客様へ、次のポートフォリオを提案させていただきました。
このポートフォリオに米国債は含まれていませんが、発行体や債権種類、格付け、残存年数をうまく分散することで、リスクを大幅に低減しながら、年利回り5%を実現しています。
債券ポートフォリオを構築するには、債券に関する専門知識と経験が必要です。自分でポートフォリオを組むことができない場合は、やはりIFAへ相談することをおすすめします。
まとめ-米国債投資で成功するために
本文中で触れたとおりアメリカでは利下げ開始が見込まれており、米国債投資で成功するためにはタイミングが重要です。
言い換えれば、利下げ開始直前の現在は絶好の投資タイミングといえるかもしれません。
また、利下げが開始後は、ポートフォリオへ普通社債や劣後債を組み入れるなど、「いかにして利回りを底上げするか」が米国債投資を成功させるポイントになるでしょう。
私たちウェルス・パートナーは、これまで数多くの富裕層の方々から債券投資のご相談をいただき、ご要望に応じて最適なポートフォリオを提案して参りました。
無料相談は対面だけで無く、オンラインミーティングツールZoomで承ることも可能です。
また、土日の相談も承っておりますので、ぜひ気軽にご相談ください。
米国債の無料個別相談はこちらから
株式会社ウェルス・パートナー
ポートフォリオマネージャー
早稲田大学商学部卒業後、株式会社群馬銀行へ入社。富裕層と会社経営者を中心とした資産運用のコンサルティング業務に従事。銀行での提案には限界があると感じ、もっと付加価値の高い提案をしたいと思い株式会社ウェルスパートナーに入社。富裕層、会社経営者の資産配分最適化や具体的な金融資産の投資実行サポートを行う。