【2024年7月】資産運用のプロ世古口が1米ドル160円台でも投資した米ドル債券

はじめに

皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。

本日のテーマは、「【2024年7月】資産運用のプロ世古口が1米ドル160円台でも投資した米ドル債券」です。米ドル円の為替は37年ぶりのドル高円安で、本日2024年7月10日時点では1米ドルが161円強になっています。私自身は、元々米ドル債券のポートフォリオを多めに持っていますが、そのような為替の状況にもかかわらず、このタイミングでさらに米ドル債券を買い増し、米ドル債券ポートフォリオを増やすという投資行動をとりました。2024年7月に、私が具体的にどのような債券に投資して増やしたのかを皆様に情報共有することにより、米ドル債券投資の参考にしていただきたいと思います。

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米ドル債券4銘柄(2024年7月購入)

今回私のポートフォリオに加えた米ドル債券の4銘柄をご紹介します。

2024年7月に、いずれも1米ドル161円前後のタイミングで投資しています。発行体は全てアメリカの会社ですが、業種はバラバラで、運送・医薬・IT・医療の会社です。債券種類は全て普通社債で、残存期間が特徴的です。全て長く、一番短いもので25.3年、次に26.4年、29.1年、29.3年ですので、全て25年以上になっています。4銘柄の平均残存期間は27年です。

残存期間が長い米ドル債券に投資

私が元々持っていた米ドル債券ポートフォリオの平均残存期間は17年強です。この4銘柄の米ドル債券ポートフォリオは27年ですので、既存の私の米ドルポートフォリオと比べても、非常に長いことがわかると思います。この4銘柄を自分の米ドル債券ポートフォリオに組み込むことにより、私自身の米ドル債券ポートフォリオ全体の平均残存期間が長くなる効果があります。

次に格付けです。一番上の残存期間が25.3年の債券はBBB、26.4年の債券はBBB+、29.1年の債券はAA−、最後の29.3年の債券はAAAで最高格付けになっています。

利回りは格付けに応じて多少上下しています。BBBの債券は5.16%、BBB+の債券は5.17%、AA-の債券は4.96%、AAAの債券は4.77%です。利回りは大体5%前後の債券になっています。この4銘柄の米ドル債券の平均の残存期間は概ね27年、格付けはおそらくA+、利回りは5%、というような4銘柄の米ドル債券に投資しました。

この4銘柄の米ドル債券のなかで一番特徴的なところは、残存期間の長さです。一番短くて25.3年、平均は27年ですから、私の既存の米ドル債券ポートフォリオの残存期間と比べても、かなり長くなっています。今回、なぜこのような残存期間が長い米ドル債券に投資したのか、もう少し詳しくお話ししましょう。

残存期間が長い米ドル債券に投資した理由

米10年国債利回りと米ドル円の推移(過去3年)

今回、残存期間が25年以上の米ドル債券だけに投資した理由を端的にわかりやすくお伝えできるのが、こちらの2つのチャートです。米10年国債利回りと米ドル円の推移(過去3年)を見ていきましょう。

この2つを並べると、きれいに連動しています。米10年国債利回りが上がると米ドル円はドル高円安に進み、米10年国債利回りが下がると円高になるという連動をしていることがわかります。

一方で2014年以降(このチャートの右側の方)、今年の動きを見ると、米10年国債利回りも基本的には上がっていますが、利回りが上がるスピード以上に米ドル円はドル高円安に進んでいます。さらに今年の5月からは利回りは少し下がり気味ですが、ドル高円安が進んでいる状況です。オレンジのチャートの米ドル円が上がっており、米10年国債利回りが少し下がっているので、この間が少し離れています。

ですから、米ドル円に関してはドルが割高になり、その割に米10年国債利回りはそれほど上がっていない、むしろここ数ヶ月は下がり気味であることがわかります。この程度ドル高で米ドル円が少し割高になっていて、1米ドル160円ですから、このタイミングで米ドル債券に投資する場合、どのような米ドル債券に投資した方がよいのでしょうか。

期間5年や10年などの米ドル債券に投資するのは、トータルで考えるとリスクが高いと思います。これぐらいのドル高のタイミングで米ドル債券に投資して、確かに利回りは高いですが、5年~10年で得られる利回りでは、少し釣り合わない印象で割高に感じます。

では15年や20年ではどうでしょう。悪くはないですが、もっと長い方がいいと思います。150円台であれば、期間が20年前半でもいいですが、160円台までいってしまう場合は、もっと長くないと利回りと米ドル円のバランスがよくないと思います。1米ドル160円台に見合う残存期間の長さは20年台後半ではないかと考えます。

そのような思考で米ドル債券に今回投資しようと思いました。必然的に1米ドル160円の為替に見合う米ドル債券の期間の長さは20年後半なので、25年、27年、28年、29年の米ドル債券に分散して投資したわけです。

仮に利回りが3%台になったり、それに伴って為替が150円や140円になったりした場合、これほど長い米ドル債券に投資する必要はないでしょう。そのようなときは、期間が10年や15年の米ドル債券に投資するのがよいと思います。為替と利回りの状況により、適切な米ドル債券投資をする残存期間があるのです。

今回の為替と利回りのタイミングの場合、このように期間が長い20年後半の米ドル債券でポートフォリオを組むことがベストと判断し、今回はこの4銘柄に投資するに至りました。

まとめ

今回のテーマである「世古口が1米ドル160円台でも投資した米ドル債券たち【最新情報】」をまとめました。ポイントは4つです。

ポイント1)米ドルの割高を打ち消す期間25年以上の超長期債

先ほどのチャートを見ていただいて、米ドル円は相当上昇していることがわかりました。しかし、その割に直近は利回りがついてきていない状況なので、今までの対比で見ても、米ドル円は若干割高であることがわかると思います。

この割高感を打ち消すために必要なのは、米ドル債券の残存期間の長さです。1米ドル160円に見合う、今の利回り水準に見合う残存期間の長さは、25年以上の期間、超長期債になると考えます。

前回米ドル債券に投資したのは、2024年3月か4月でしたが、そのときの為替は150円台でした。そのタイミングの場合、20年や25年の期間でもよいと思ったのですが、この程度ドル高にさらに進んでくると、20年後半や25年以上の超長期債が適切な期間だと考えて投資に至りました。

ポイント2)利回り5%キープで円高クッション効果を最大化

直近でドル高円安が進んでおり、1米ドル160円は紛れもなく37年ぶりのドル高円安水準です。37年前に同じ水準で、そこからの期間には、同程度の円安水準はありませんでした。

とはいえ、当然ドル安円高に進む、逆戻りするリスクもあると考えるのが普通です。そうすると、円高になるリスクをどのようにヘッジするのかが大事になってきます。円高リスクをヘッジできるのは利回りの高さです。利回りが高ければ高いほど円高になったとしても、米ドル債券のトータル利益で考えたときの損益分益為替は切り下がることになるので、利回りの高さがそれなりに高い必要があると考えます。

4%よりも4.5%、4.5%よりも5%、今回のような4銘柄は平均5%なので、これぐらいあると円高クッション効果が相当大きくなります。ですから、今回の米ドル債券4銘柄は平均4%くらいを目指してポートフォリオを組みました。

ポイント3)複利27年後の損益分岐為替44円の勝ち筋イメージ

円高クッション効果の続きですが、仮に利回りが5%の複利運用で平均残存期間が27年だったとすると、27年後の損益分岐為替は44円です。つまり、27年後に44円よりも米ドル円が円安だったら、米ドル債券投資のトータルで利益が出ていることになるわけです。この44円よりも円高だったとしたら、トータルでマイナスになっていると考えます。

27年後の未来がどうなっているかわかりませんが、44円はさすがにないでしょう。損益分岐為替を44円と考えると、この米ドル債券投資の勝ち筋のイメージの方が圧倒的に強いと思います。

この円高クッション効果や損益分岐為替の話をすると、「絶対にドル安円高になるんだ」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、もちろんそうとは限りません。むしろ円高にならず、日本の経済力や海外の経済の成長力を考えると、ドル高円安になる可能性の方が中長期的には高いと思います。

もちろん44円という円高になることはないと思いますが、この米ドル債券のトータルでプラスになる水準は、27年という運用期間を考えると、これぐらいまで円高の水準に切り下げることができます。利回り5%でさらに27年と長く運用することによる円高クッション効果は、これぐらい厚いということがいえるわけです。

今の利回りが160円と考えて160円スタートで計算していますが、160円から44円は116円ドル安円高にならないと損益分岐為替を突破して円高にはならないので、期間の長い米ドル債券はやはり負け筋は少ないと考えます。

ポイント4)債券ポートフォリオの平均残存期間は17年強から19年強に延長

お伝えしたように、元々私が持っている米ドル債券ポートフォリオの場合、米ドル債券全体の平均残存期間は17年強でした。さらに、非常に長い残存期間20年後半の米ドル債券たちを今のポートフォリオに加えることで、平均残存期間は19年強になりました。

元々17年強でも長めだったのですが、さらに19年強になり、平均の利回りはおそらく5.3%程度ですので、平均で考えても19年の期間で平均で5.3%の利益をとっていける利回りで運用できるようなポートフォリオになっています。より円高になることのリスクヘッジや期間の長さ、利回りが下がることのリスクヘッジができているポートフォリオになったと考えています。

本日は「【2024年7月】資産運用のプロ世古口が1米ドル160円台でも投資した米ドル債券」という内容でお届けさせていただきました。

今回の内容については「世古口俊介の資産運用アカデミー」でもご視聴いただけます。

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