現在の資産運用が本当に合っているのか不安な富裕層の方へ

はじめに:富裕層ほど「見直し」が重要な理由

資産を築いた方々の多くは、すでに何らかの資産運用を行っているでしょう。株式、不動産、債券、預金、ヘッジファンド、保険商品など、選択肢は無限に広がります。
しかし、「このままで本当にいいのか?」「もっと効率的な運用はできないか?」と不安を抱えている方も少なくありません。

特に、金融資産が1億円、5億円、10億円を超えるようになると、資産の構造やリスクの取り方が一人ひとり全く異なるのです。
今回の記事では、資産運用の「見直し」を検討する富裕層の方に向けて、判断の指針と具体策を提示します。

その不安、本当に「思い込み」ではないか?

資産運用に関する不安は、珍しいケースではありません。これまでの運用方法が心配、銀行などに任せきりで、資産全体の状況が見えないなどのお悩みは、富裕層を含む多くの投資家に共通します。

このような不安は、単なる思い込みや漠然とした感覚だけではありません。把握しきれない構造的なリスクが潜んでいるのです。インフレが進行すると、預金の実質的な価値が目減りします。金利が上昇すれば、既存の債券価格が下落するでしょう。

不動産も市場環境や金利の動向によって、大きく価格が変動します。分散投資をしているつもりでも、実際には特定の資産や地域にリスクが偏っているかもしれません。

よくある不安例

  • 市場が不安定で、これまでの運用で大丈夫か分からない

  • 金利の上昇・インフレで債券や預金が心配

  • 不動産の価格が下がる気がして怖い

  • 銀行や証券会社任せで、全体像が分からない

  • 「分散投資」のはずなのに、リスクが偏っていないか?

あなたの資産運用、本当に最適ですか?

将来の安心や夢の実現のために、多くの方が資産運用に取り組んでいます。しかし、金融商品や投資環境は日々変化しており、数年前に選んだ運用方法が今も自分に合っているとは限りません。

実際にポートフォリオを作成したままで、過去に見直していない方も多いのではないでしょうか。現在の資産運用の状況が富裕層の皆さんに合っているのか、簡単なセルフチェック表がありますので、是非ご回答ください。現状の最適な運用方法を見つけるきっかけになるかもしれません。

― 簡易セルフチェックリスト ―

以下の10項目に「はい」「いいえ」で答えてください。

質問項目 はい いいえ
1. すべての資産構成(現金・株式・債券・不動産など)を把握している
2. 資産運用の目的(増やす/守る/次世代への移転など)が明確になっている
3. 最近1年以内にポートフォリオの見直しをした
4. インフレや金利変動を前提とした運用戦略になっている
5. 現在の金融機関からの提案内容に納得している
6. 相続・事業承継・税対策も考慮した資産設計になっている
7. 海外資産や外貨建て資産も適切に活用している
8. 家族(配偶者・子ども)との情報共有ができている
9. リスクを過度に負っている、あるいは慎重になりすぎている
10. 信頼できるアドバイザーと定期的に面談している

「いいえ」が3つ以上ある方は、資産運用の見直しを真剣に検討した方がよいタイミングです。

第3章:富裕層に多い“ズレた”資産配分の典型パターン

1. 現金・預金が過剰(守りに偏りすぎ)

現金を過剰に保有していると、守りに偏りすぎてしまう傾向があります。金利が上昇しているように見えても、実際にはインフレ率に追いついていないケースもあるでしょう。実質的な利回りはマイナスとなるケースが多いため、資産が目減りするリスクも高まるのです。

2. 日本株・日本不動産に偏重(ホームバイアス)

国内株や国内不動産に投資が偏る「ホームバイアス」も注意が必要でしょう。国内の資産に対する愛着や安心感から集中投資しがちです。しかし、地政学リスクや経済の成長性を踏まえると、リスクが高まる要因になります。

3. 外貨建て債券や海外資産の少なさ

インフレヘッジやリスク分散には、外貨建て資産の活用が欠かせないと考えます。インフレ対策やリスク分散は、外貨建て資産や海外資産を取り入れることが重要です。円安やインフレが進行した場合でも、海外資産を保有していれば、資産価値の目減りを防ぐ効果が期待できます。

実例で見る「資産運用の見直し」ビフォー・アフター

【事例1】5億円の経営者A(60代)

Before:

  • 預金:2.5億円

  • 国内株式:1億円

  • 賃貸不動産:1.5億円

現金過多でリスク資産が国内偏重であるケース

After:(IFAと共に見直し)

  • 預金:1億円(生活資金+流動性確保)

  • 国内株:0.5億円(一部利確)

  • 外貨建て債券:1.5億円(米ドル建て/分散利回り3.8%)

  • 海外REIT・インフラファンド:1億円(ドル建て・分配型)

  • 私募ファンド・ヘッジファンド:1億円(低相関投資)

60代の経営者Aさんは、総資産5億円のうち、2.5億円を預金、1億円を国内の株式、1.5億円を賃貸不動産として保有していました。資産の半分が現金であり、残りも国内の資産に偏っている状況でした。そのため、国内の経済リスクに大きく影響を受けやすいという課題があったのです。

資産運用の見直しを行った結果、まず預金を2.5億円から1億円に減らしました。必要な生活資金と流動性を確保しつつ、余剰資金の運用効率を高めたのです。株式も一部を売却して0.5億円とし、国内株への依存度を下げました。

新たに導入したのは、米ドル建ての外貨債券1.5億円(分散利回り3.8%)、海外REITやインフラファンド1億円(ドル建て・分配型)になります。そして、私募ファンドやヘッジファンド1億円(伝統資産と低相関の投資)です。これにより、資産の通貨や地域の分散が進み、安定した利回りとリスク分散の両立が実現しました。

この見直しによって、Aさんのポートフォリオはインフレや国内の経済変動にも強い構成になりました。資産運用の見直しは、現状の課題を明確にします。目的に応じた分散とリスク管理を行うことで、より安定した資産形成につながるのです。

 

資産区分 Before(見直し前) After(見直し後) 割合(After)
預金 2.5億円 1億円(生活資金+流動性) 20%
国内株式 1億円 0.5億円(一部利確) 10%
賃貸不動産 1.5億円 0円(売却・組替) 0%
外貨建て債券(米ドル建て) 0円 1.5億円(分散利回り3.8%) 30%
海外REIT・インフラファンド 0円 1億円(ドル建て・分配型) 20%
私募ファンド・ヘッジファンド 0円 1億円(低相関投資) 20%
合計 5億円 5億円 100%

資産運用見直しの5ステップ

  1. 現状の資産構成を可視化する(レポート化)

  2. 目的とライフプランを再確認する(資産を使う時期/目的)

  3. 今後の経済環境に合わせた前提変更を加味

  4. 第三者視点(IFA・外部専門家)を取り入れてプラン構築

  5. 半年〜1年おきの定期リバランスとメンテナンス

資産運用を見直すためには、体系的なプロセスを踏むことが重要です。最初に、自分自身の現状の資産構成をレポートなどで可視化しましょう。預金や株式、投資信託、不動産など、資産と負債を整理してください。資産全体のバランスを把握することで、現状の立ち位置が明確になります。

次に、資産運用の目的やライフプランを改めて確認しましょう。老後資金や子どもの教育資金、住宅購入など、資産を使う時期や目的を明確にしてください。これにより、リスク許容度や資産を取り崩すタイミングが可視化されます。

今後の経済状況の変化も考慮しなければなりません。金利リスクやインフレ、市場の動向などで、経済の前提条件が変わる可能性があります。このような外的要因を踏まえて、柔軟に資産運用計画を再考しましょう。

自分自身だけで判断せず、IFAや専門家の意見を取り入れることも有効です。第三者の客観的な視点を加えることで、見落としや偏りを防げます。半年から1年に一度は、資産配分のリバランスや運用状況のメンテナンスを行いましょう。

資産の値動きによって、配分が崩れることもあるため、定期的に見直すことが重要です。当初の方針に戻すことは、長期的な資産形成には欠かせません。

まずは、現在の資産構成を把握してみるのはいかがでしょうか。その後に、目的の再確認、経済環境の変化への対応、第三者の意見の活用、定期的なリバランスを実施してください。5つのステップを繰り返し実践することで、リスクを軽減した資産運用を続けることができます。

どこに相談すればよいのか?

銀行や証券会社の担当者に資産運用の相談をする場合、どうしても「自社の商品を売る」ことが目的となりがちです。提案内容が自社の商品にも偏りやすいです。富裕層の皆さんに合った選択肢を、中立的な立場からアドバイスしてもらうのは難しいかもしれません。

一方で、IFAは特定の金融機関に属さない独立した立場になります。「中立的な視点で資産運用を見直したい」「複数の金融機関の商品を比較検討したい」などの相談には、IFAが非常に有効です。

不動産や保険、相続・事業承継なども、柔軟な対応が可能になります。このように、中立的なアドバイスや幅広い選択肢を求める方にとっては、IFAは心強い存在でしょう。

特に以下のような方は、IFAへの相談がおすすめです。

  • 中立的な視点で見直したい

  • 複数金融機関の商品を横断的に検討したい

  • 海外資産や相続・承継も視野に入れたい

リバランスの重要性と実施例

リバランスとは、ポートフォリオの配分比率を定期的に見直し、本来の意図する構成に戻すことです。

例:資産5億円のポートフォリオ

当初構成:

  • 現金:10%

  • 株式:40%

  • 債券:30%

  • オルタナティブ(ヘッジ・不動産等):20%

今回は資産5億円のポートフォリオの事例で、リバランスの重要性をご紹介します。

5億円のポートフォリオ運用において、リバランスの実施は、リスク管理と利益確定の両面で重要なプロセスです。例えば、1年後に株式比率が55%に膨らんだ状況では、戦略的な資産再配分が必要になります。

株価上昇後の総資産額の計算です。(例:株式55% = 6億円×55% = 3.3億円)他の資産クラスの現在価値も同様に算出します。

調整量の計算
総資産が仮に6億円に増加した場合:

  • 株式:6億円×40% = 2.4億円(現在3.3億円→9,000万円売却)
  • 債券:6億円×30% = 1.8億円(現在1.35億円→4,500万円追加)
  • オルタナティブ:6億円×20% = 1.2億円(現在0.75億円→4,500万円追加)

株式比率を40%に戻すことで、市場変動によるポートフォリオのボラティリティを軽減します。債券とオルタナティブ資産への配分増加で、株式相場の反落に備えた緩衝材も用意するのです。

 

資産5億円のポートフォリオ

資産クラス

目標比率 現在比率 差異
現金 10% 10% 0%
株式 40% 55% +15%
債券 30% 22.5% -7.5%
オルタナティブ 20% 12.5% -7.5%

1年後:株価上昇で株式が比率55%に増加

上昇した株式の3,500万円分を売却することで含み益を確定します。相対的に割安な債券とオルタナティブ資産に再投資することで、バリュエーション面でも有利なポジションを構築するのです。

オルタナティブ資産への追加投資は、伝統的な資産との相関性の低さから、分散効果を高める必要があるでしょう。特に5億円規模の資産運用では、小幅な比率変動でも絶対額が大きいため、計画的なリバランスが大切です。

 

資産クラス 当初比率 1年後比率 リバランス後比率 1年後評価額(例:総額6億円) 目標額(6億円×当初比率) 売却/購入額(調整額)
現金 10% 10% 10% 6,000万円 6,000万円 0円
株式 40% 55% 40% 3億3,000万円 2億4,000万円 ▲9,000万円(売却)
債券 30% 22.5% 30% 1億3,500万円 1億8,000万円 +4,500万円(購入)
オルタナティブ 20% 12.5% 20% 7,500万円 1億2,000万円 +4,500万円(購入)

 

上記の表の通り、1年後の株式の比率が大きく上昇した後に、株式を9,000万円売却します。その資金で債券とオルタナティブ資産をそれぞれ4,500万円ずつ購入するのです。

当初の目標配分である、現金10%、株式40%、債券30%、オルタナティブ20%に戻すことで、バランスの調整が行えます。

※将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。

富裕層に求められる視点「守りと攻めのバランス」

資産の分類 目的
守る資産 流動性・元本維持 預金、国債、短期債券
増やす資産 長期成長・利回り 外国債券、REIT、PEファンド
分散資産 相関低減 ヘッジファンド、金、通貨分散

富裕層の皆さんにとって、資産運用を考える際、最も重要な視点が「守りと攻めのバランス」です。資産を単に増やすだけでなく、長期的に守り抜くための戦略が求められます。

ここでいう「守り」とは、資産を減らさないことを最優先に考えることです。例えば、債券や定期預金、不動産などが「守り」の資産に該当するでしょう。一方で「攻め」とは、積極的に資産を増やすことを目的にした運用です。株式投資やハイリスク・ハイリターンの投資商品がこれに当たります。

資産配分を考える際、どちらか一方に偏るのではなく、「守り」と「攻め」をバランスよく組み合わせてください。リターンを狙う一方で、過度なリスクは避ける意識を持ちましょう。資産を大きく減らさないことを優先的に考えてください。

実際の資産運用では、リスク許容度に応じて、ポートフォリオを組むことが一般的です。たとえば、守りを重視する場合は、債券や不動産などの安定資産の比率を高めます。攻めを重視する場合でも、全資産をリスク資産に投じてはいけません。

「守りと攻めのバランス」を取ることで、資産の成長と安定を両立させるのです。

まとめ:今こそ「問い直す力」が資産を守る

資産運用は「始めたら終わり」ではありません。むしろ、資産を築いた後こそ、その資産をどのように守るのか、どのように次世代へ引き継ぐのかが大切です。

経済環境や自分自身のライフステージは日々変化します。株価や金利の変化だけではなく、家族構成や目標の変化など、様々な要因で資産運用に影響を与えます。そのため、一度決めた運用方針や資産配分を放置することで、知らず知らずのうちにリスクが上昇するのです。当初の資産運用目的から、ずれてしまうことも少なくありません。

もし、今の資産運用の状況に、少しでも不安を感じているなら、それは「行動すべきサイン」でしょう。まずは現状をしっかり把握し、運用の目的やリスク許容度を見直してください。必要に応じて、専門家に相談することで、リスクを軽減した資産運用が期待できます。

資産を次世代に引き継ぐときには、相続や贈与に関する知識も必要です。家族とコミュニケーションを取り、将来のビジョンを共有することも欠かせません。

「問い直す力」とは、経済の変化を冷静に見極めて、自分自身の資産運用を見つめ直す力です。この力を持つことで、資産を守り、安心して次世代へ引き継ぐことができるのです。定期的な見直しと柔軟な対応を心がけ、大切な資産を守りましょう。

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