はじめに
不動産売却では「不動産を実際に見ないと分からないから」などの理由から、オンライン化や非対面化が難しいのではないかといわれていました。
しかし、国土交通省が発表したガイドラインを受けて、不動産売却においても非対面化やオンライン化が進んでいます。
新型コロナ禍で進むIT重説の方法や内容について説明します。
新型コロナ禍で進む「IT重説」とは?
IT重説とは不動産取引の際におこなう重要事項説明とIT(ネット通信)をつなげた言葉です。
重要事項説明を短縮して重説です。
つまり、インターネットを使っておこなう不動産取引時の重要事項説明のことになります。
売買などの不動産取引では対面による重要事項の説明が必要でした。
しかし、不動産取引の際に何度も不動産会社に足を運ぶのは面倒です。
新型コロナ禍の問題もあります。
新型コロナ禍、そして忙しい中でも「直接対面してやり取りしなければいけない」と厳しいことを言っていると、コロナや私生活の状況によっては、不動産取引自体が難しくなります。
そこで試験的に導入されていたIT重説が2021年に本格的に導入されました。
IT重説は非対面でネットなどの通信を用いて重要事項の説明をおこないます。
IT重説を利用すれば、非対面で重要事項の説明をおこなうことが可能です。
IT重説の内容・やり方
IT重説については国土交通省からガイドラインが出ています。
国土交通省の基本的なマニュアル通りに実施すれば問題なく、IT重説をするにあたって特別な許可や認可を受ける必要はありません。
IT重説をする際は以下の4つの要件について確認が必要です。
・双方向のやりとりができるIT環境で実施しなければならない
・重要事項説明書などを事前送付しておく
・IT重説をはじめる前に重要事項説明書の準備やIT環境について確認する
・資格証明書を買主が画面で視認できたことを確認する
IT重説は不動産取引の重要事項説明ですが、感覚としてはオンライン会議やシステムを使ったネット上での打ち合わせのようなものを想像すると分かりやすいはずです。
なお、IT重説は音声のみの通信、画像のみの通信ではおこなえません。
ITの通信環境が乱れ画像や音声が見聞きしにくい状況になった場合は中断しなければならないというルールもあります。
IT重説のメリット・デメリット
不動産取引でIT重説をおこなうことにはメリット・デメリットがあります。
IT重説のメリット
IT重説の活用には3つのメリットがあります。
・非対面なので新型コロナの感染対策になる
・重説の日程の幅が広くなる
・売主、買主ともに不動産取引がしやすくなる
非対面であるIT重説は新型コロナ禍で注目されました。
新型コロナ禍では不動産取引のために何度も足を運ぶことが難しいため、「対面でなければいけない」という制約を設けてしまうと、取引自体が停滞しかねません。
非対面でおこなうことにより新型コロナの感染対策になるため、外出・対面などを気にせず手続きを進めることができます。
また、ネット通信を用いてIT重説をおこなうため、外出できない日でもネットでやり取りできる時間を捻出できれば実施は可能です。
スケジュールに幅が生まれるというメリットもあります。
IT重説のデメリット
IT重説には3つのデメリットがあります。
・ITツールがないとできない
・対応していない不動産会社もある
・通信でやり取りするのでIT重説は説明が難しい
IT重説はネット環境やパソコンなどのツールがないとできません。
不動産会社がIT重説に対応していても、買主などに環境や機器がないと実施できないというデメリットがあります。
また、不動産会社の方が対応外のケースもあるため、国土交通省がガイドラインを作成しているものの、必ず実施できるという保証もありません。
まとめ
新型コロナの影響により、サービスや取引においては非対面の動きが出ています。
不動産取引も同様で、試験的に導入されていたIT重説が本格導入され、新型コロナの流行対策をしながら手続きを進める方法として注目されています。
資産整理の際に不動産の取引をしようとしても「コロナがあるから」と積極的になれないケースがあります。
しかしIT重説の活用など、非対面の方法について知っておけば、取引や処分のタイミングを逃さずに済むかもしれません。
専門家などに相談し、使える制度は利用を検討した方がいいのではないでしょうか。