目次
はじめに
(世古口):皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。資産に関する様々な情報をお届けしています。
今回は当社で不動産の売買をお手伝いいただいている不動産アドバイザーの中武さんと共にお送りできればと思います。中武さん、よろしくお願いします。
(中武):よろしくお願いします。
(世古口):どうでしょうか?直近だと、今回このようなタイトルでお話するということなのですが、不動産の売却などの相談が、実感として増えているのか、それほど変わらないのか。実感としては、どのような感じでしょうか?
(中武):直近では、やはり価格の上昇も伴っていて、増えている感覚です。
(世古口):数年前や2010年代より増えているということですか?
(中武):そうです。特に2010年代に購入されたお客様というのは、場合によっては、1.5倍や2倍になったり、購入時よりも価格が上がっているケースもあるので、売却の相談自体が増えているという状況です。
(世古口):なるほど。ありがとうございます。
そのようなところで、今回は富裕層の方の不動産売却の検討が非常に増えていることもありますので、不動産の専門である中武さんと共に、そのような不動産をどのように売却していくのがよいのか、賢い売却のタイミングについてお話する内容にできればと思いますので、よろしくお願いします。
▼今回の内容はYouTubeでご覧いただけます
東京23区中古マンション価格指数と日経平均株価
(世古口):まず、売却のポイントをお伝えする前に、前提として、今、不動産の価格が非常に上昇しているということを端的に表しているのが、このチャートですのでご覧いただければと思います。こちらは東京23区中古マンション価格指数なので、都内23区内の中古マンションや一棟マンションなどの価格推移の平均指数を表したものです。あとは日本の株価の平均値である日経平均株価。この2つのチャートを比較したものです。
濃い青色のチャートが日経平均で、薄い灰色のチャートがマンション価格指数です。このチャートを合わせて見ると分かるように、平均株価が2006年からリーマンショックで少し下がっていますが、2009年以降は右肩上がりで上昇していくと共に、マンション価格指数も上昇する形で推移しているということになっていると思いますが、こちらの推移を見ていかがですか?
(中武):特に2020年以降は、かなり大幅に上がっていると思います。このグラフ自体は2006年時点のマンション価格を100として、今250という形なのですが、2006年から2020年までは1.5倍ほど、150程度ですが、この4年で一気に250までいっていて、かなり右肩上がりの中でも傾斜をつけて、ドンと右肩に上がっているようなグラフになっています。
(世古口):平均に過ぎませんが、2006年に買っている人は、この18年で2.5倍になっていて、アベノミクスが始まる前の2012年や2013年に買っていても、倍になっています。2020年に買った人も170なので、1.7倍とか1.8倍になります。
(中武):そうです。
(世古口):4年ほどでこれぐらいになっているというのは中々すごいことです。
(中武):すごい数字です。それに伴って、平米価格と言われる1平米あたりの価格も、もちろん上昇していますし、成約の件数自体も上昇しています。
(世古口):なるほど。
(中武):ですが売却の件数は、若干下がっているような状況です。
(世古口):買いたい人のほうが多いという状況ということですか?
(中武):そうです。ですので、需要が高まっていて、価格が上がっていると言えます。
(世古口):なるほど。ありがとうございます。
このように、過去18年の不動産価格を見ると、基本的に過去18年、どのタイミングで買っていても、今売却すると利益が出るという状態になっています。これが不動産を売却したいというご相談をいただいている理由の一つだと思います。また、あとは結構前から不動産を持っている方だと、5億円の物件を持っていた人は、10億円や10何億円になっているとすると、その方の資産全体に占める不動産の割合が、かなり大きくなったりするわけです。
そうすると、不動産に偏りすぎだということで、資産配分の見直しで、売却のご相談をいただくことがあります。やはりそのような方が非常に多い印象です。
(中武):はい。
(世古口):こちらが、直近のマンション価格指数です。
不動産の賢い売却タイミング4つのポイント
(世古口):それでは、本題の「富裕層が実践する不動産の賢い売却タイミング」についてお話します。本題の売却のタイミングを見極める4つのポイントがあると考えていますのでご説明していければと思います。この点に関しては、主に中武さんからご説明いただければと思いますので、よろしくお願いします。
ポイント1)不動産市況の見極め
(世古口):一つ目は、不動産市況の見極めです。先ほどのチャートでご覧いただいたような不動産価格の動きの見極めということでしょうか?
(中武):そうです。結論は個人の方で制限がなければ、売却はいつのタイミングで行っても大丈夫です。不動産の市況、要は価格が上昇している局面で売却するのか、下がっている局面で売却するのかという見極めはすごく大事です。
わざわざ不動産の価格が下がっているときに、売却する必要がないのであれば、その間は、待っていても大丈夫だと思いますし、価格が上昇している局面であれば、そこは見極めて売却という選択肢を取ってもいいです。価格が決まっていく原因は、不動産の市況もありますが、その他にも要因があります。例えば金利です。不動産は金利が上がると、皆さん買いづらくなります。
ですので、今で言うと、今後恐らく日本も金利が少しずつ上がっていくと予想されるため、金利が上がりきる前に売却するのも、一つの手だと思います。
(世古口):金利は、借り入れで投資をするのが不動産の前提ですので、借り入れコストが掛かって、不動産投資の利回りと借り入れ金利の差が縮まることにより、投資のメリットが薄くなるということですか?
(中武):そうです。
(世古口):不動産価格と金利、この2つの動きをどのように見極めるかによって、売却を考えるということが大事です。
(中武):はい。
(世古口):そこも含めて、今のように不動産価格が上がっていて、金利が上昇してくるかもしれないというタイミングだと、そろそろ潮時だと思って売却される方も多いようです。増えているということです。
(中武):ですので、直近で売却のご相談が増えているのだと思います。インフレ下ではありますが、金利が上がっていくということは、ニュースなどでも大々的にやっていると思いますので、そこから予想を立てて、どのようになっていくか、売却という選択肢を取られる方が多いのだと思います。
(世古口):わかりました。ありがとうございます。
ポイント2)物件状況の変化
(世古口):二つ目のポイントに行きたいと思います。二つ目は、物件状況の変化です。こちらはどのような内容でしょうか?
(中武):物件を保有されていたら、何かしら状況が変わるタイミングがあると思います。例えば、投資用の不動産であれば、入居者がついていた場合、今家賃の相場が少しずつ上がっていますが、その家賃相場の入れ替えのタイミングで、賃料が上がったタイミングは、高く売れやすいです。
ですので、そのようなタイミングで売却という選択肢を取るのも一つのポイントだと思います。
(世古口):昔から入っているテナントだと、日本のレジデンスでは基本的にずっと入居していると賃料を上げられないと思いますので、5年ごと、あるいは何年ぶりに入居者が変わると、一気に賃料が上がって、昔買った時よりも高く売却できるという状況になることが結構あります。
(中武):はい。その他ですと、例えば、少し広めのマンションをお持ちの方の場合です。40平米や、1LDK・2LDKのマンションをお持ちの方で、それを貸し出していて、入居者がいる物件の場合があると思うのですが、そのような物件だと、その入居者が出たタイミングで、誰もいない状態で売ったほうが、高くなる場合が実はあります。
これは、今まで投資用として市場に出ているような物件になってくるのですが、出たタイミングでいくと、実需と言われる住宅ローンを利用して、皆さんが普通に住まわれる用の物件として、売却できるのです。
そして、投資用の物件よりも、実際に住む実需の物件の方が、相場が高くなっています。
(世古口):それは素朴な疑問ですが、住みたいという感情が乗ってくるからということでしょうか?
(中武):というよりも、住宅ローンは借りやすいです。投資用のローンは、皆さんが借りられるわけではないので、門戸が広くなる分、投資価格も上がっていきます。
(世古口):物件金額に対して借り入れできる比率も、住宅ローンより低いですし、金利も投資の方が高いので、住宅ローンのほうが借り入れ条件が有利です。
(中武):そうです。
(世古口):価格はもう少し高くても良いという理屈になるということでしょうか?。
(中武):はい。また、物件状況の変化で修繕の面があります。築年数がどんどん経っていって、修繕の手間が増えていったり、一棟ものの不動産などでは、大体15年に一回程度、大規模な修繕を施さなければいけないタイミングがありますので、そのタイミングの少し前であったり、修繕の手間が増えてきたタイミングで売却するというのはありかと思います。
(世古口):なるほど。最近は資材の価格が上がっていますので、修繕費は結構高くなっている傾向があります。買った時から少し古くなってくると、状況が変わってくるということはありそうです。
(中武):そうです。物件状況の変化はそういったところです。
(世古口):こちらが二つ目のポイントです。
ポイント3)税金・減価償却
(世古口):三つ目のポイントは、税金・減価償却です。こちらはどのような内容でしょうか?
(中武):売却のタイミングを見極める上で、税金は欠かせない要素です。例えば、個人名義で不動産を持っている方が、購入してすぐに売却すると、税金的に不利になります。売却時の税金は、5年以内に売却すると利益の40%を取ります。
ただ、5年以上保有すると利益の20%の税金で良いというルールがありますので、保有年数に応じた税金の譲渡所得税に関する点です。
(世古口):なるほど。大変な違いです。5年を境にそこまで変わるのであれば、絶対に5年以降に売却します。
(中武):はい。また相続税も一部関わりがあると思います。元々親世代が相続税対策として買っていた不動産で、亡くなってしまい、相続で不動産がきた場合も、その不動産を売却するタイミングになるかと思います。
(世古口):相続対策という役割を終えた後の不動産ということですか?
(中武):そうです。相続が起こってすぐに売却してしまうと、若干、国税に目を付けられる可能性があります。10ヶ月から1年くらいは相続後も保有して、そこから売却になれば自然な流れかと思います。
(世古口):実際に多いですね。相続された後に、売却のご相談をいただくことは結構多いです。
(中武):多いです。また、減価償却も一つ大事な要素です。減価償却は税金を計算する上でキャッシュアウトがないのに費用として計上できる経費のことです。
(世古口):前提として、減価償却は建物が日々劣化していくので、この劣化する部分のことを経費として見なして、毎年費用に計上できる。税金の計算上、費用として引くことができるようにする制度という理解でよろしいでしょうか?
(中武):そうです。減価償却は、本体の部分である構造や躯体と、設備の部分の二つに分けることができます。これは何かと言うと、構造や躯体の部分は、建物の大元の部分です。これは、47年などで毎年47分割して、経費として落ちていきます。
それとは別に、設備の部分があります。これはお風呂やエアコン、キッチンなど、そのような設備の部分です。それが15年で15分割して毎年経費として落ちていきます。
この設備の部分の減価償却は、購入いただいてから15年で終わってしまいますので、それ以降は若干、所得税が増えてしまいます。経費として落ちる部分が少なくなる分、利益が増えるので所得税が増えてしまいます。
そのようなタイミングがありますので、そのタイミングで売却するのは検討しても良いかと思います。
(世古口):元々建物部分には、建物本体と設備に分かれていて、設備は減価償却に含まれているため、毎年1000万円ずつ償却できましたが、15年が終わって設備部分の償却ができなくなると、費用が500万円減ってしまったりすることによって、その結果、利益が増えて税金も増えてしまって、納税負担が増えるので、設備の償却が終わる前や終わった直後に売却するということになりますか?
(中武):そうです。ここのタイミングは中々ご自身では把握しきれない部分だと思いますので、プロに見ていただいた上で、タイミングとしてはこの程度がベストだという形でアドバイスすることは可能かと思います。
(世古口):税金は分かりやすいですが、減価償却はそこまで意識していない人が多いかもしれないです。
(中武):はい。
(世古口):わかりました。ありがとうございます。
ポイント4)ライフステージの変化
(世古口):四つ目のポイントは、ライフステージの変化です。資産配分などに関わるところですので、私から簡単にご説明できればと思います。
やはり不動産を持たれる方も、購入した時のご年齢や、あとはお仕事や収入、資産状況と、購入してから5年後であれば、5年後の状況は、やはりご年齢や職業の状況など、そういったものによって変わっていきます。
基本的に人間は年を重ねるので、10年前よりも今の方が、リスク許容度が下がっています。10年前は取れていた不動産投資のリスクが、今は取れないという状況になっていることも結構あるわけです。
今の年齢にしては借入の比率が高すぎたり、相続が近いのに流動資産が少ないので、もし万が一のことがあったら、納税資金が足りなくて子供が困ってしまうということもあります。やはり、このようなライフステージやお仕事によって変わります。
元々仕事をしていて、もし不動産投資で損してしまったとしても、本業からの収入があるのでやっていけるのですが、不動産投資をした今は、仕事をしていない状態で収入がなく、リスク許容度が低いので、この不動産投資が自分の手に余っているという状況の変化は結構あって、ライフステージの変化によって、そろそろ不動産を売却したほうが良いのではないかと考える方は、結構多いと思います。
不動産価格の推移や物件状況、税金とは別の問題で、本人のタイミングになるのですが、実際これを基準に売却を選択される方もいらっしゃると思います。あとは、ライフステージの変化と共に、相続が起こり、その不動産が亡くなったご本人様からお子様に移ることによって、ライフステージが本人からお子様になります。
そのお子様は、今まで不動産投資をしていなかった方が多いです。ご年齢も若くなるし、収入も少ないケースが多いので、その物件次第ではあるのですが、修繕の手間が多かったり、投資リスクが高かったりすると、やはり自分が持つべきではないと思って、売却をするために、私達に相談いただくケースが多いです。それらのライフステージの変化は、一つの売却のタイミングになると思いますので、最後の4つ目に入れさせていただきました。
こちらに関して補足はありますか?
(中武):特に大丈夫です。
(世古口):ありがとうございます。
これらが今回、富裕層が実践する不動産の賢い売却タイミングになっております。
本日は、「富裕層が実践する不動産の賢い売却タイミング」という内容でお届けしました。

株式会社ウェルス・パートナー
リアルアセットマネージャー
早稲田大学商学部卒業後、大和ハウス工業株式会社へ入社。
富裕層・地主に賃貸住宅での土地活用ソリューション提案に従事。東急リバブル株式会社にて投資用不動産の売買仲介を経験後、株式会社ウェルスパートナーに入社。マネー現代など大手メディアでの記事執筆も行う。