【資産家のための不動産ポートフォリオ戦略】リスク分散と成功のポイント

はじめに

資産運用においては、株式や債券などの金融資産に加えて、不動産をポートフォリオに組み入れることが重要です。不動産投資は、安定した収益の確保とリスク分散を両立する手段として、多くの資産家に支持されています。

本記事では、不動産投資のメリットや種類、ポートフォリオに組み入れる適正な割合、さらには投資の相談先について解説します。

不動産をポートフォリオに組み入れるメリット

不動産投資は、株式や債券などの金融資産とは異なる特性を持ち、ポートフォリオのリスク分散に役立ちます。

金融商品(株式・債券)とは異なる値動き

不動産市場は株式市場や債券市場とは異なる要因で動くため、不動産はリスク分散の観点からも有利な資産クラスです。株式市場の乱高下は一定期間ごとに発生しますが、不動産価格は即座に影響を受けるわけではありません。不動産価格は長期的な需給バランスや金利動向、地域の経済状況によって決まるため、株式市場の短期的な乱高下の影響を受けにくい特性があります。

安定的なインカムゲイン

不動産投資の魅力の一つは、継続的な家賃収入を得られる点です。不動産投資による賃料収入は、比較的安定して得られます。特に、賃貸需要の高い都市部の居住用不動産は、景気変動の影響も受けにくく、空室リスクを抑えながら安定的な収益を確保しやすい傾向があります。

実物資産の確保

不動産は、紙の資産(株式や債券)とは異なり、実際に形のある資産です。株式の個別銘柄では、その企業が倒産してしまうと価値がゼロになる可能性もありますが、不動産は物理的な存在を持つため、一定の価値を持ち続けます。不動産は資産保全の手段として有効であり、資産家にとって長期的に安定した資産クラスの一つとなります。

融資というレバレッジ戦略

不動産投資の大きな特徴の一つが、金融機関からの融資を活用できる点です。株式投資にも信用取引や証券担保ローンというレバレッジ方法がありますが、不動産投資では、より一般的に融資の活用によるレバレッジが可能です。

金融資産を多数保有する資産家であれば、金融機関の属性評価も高く、融資活用の選択肢も確保できると考えられます。レバレッジ戦略によって、自己資本利回りは通常の利回りの数倍にまで高められ、資産拡大の加速化が可能です。

インフレ対策として有効

出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構 国際比較統計:消費者物価指数

インフレが進行すると、現金や預貯金の実質価値は下落します。一方、不動産はインフレ時に価値が上昇しやすい資産の一つです。日本の不動産価格、特にマンション価格は最近のインフレに先行して、一貫して上昇してきました。

物件価格の上昇からワンテンポ遅れますが、収益物件の賃料もインフレに連動する形で上昇する傾向があるため、収益性を維持しやすいのが特長です。収益不動産は、インフレリスクをヘッジする手段として極めて有効といえます。

節税対策

不動産投資は、税務上の優遇措置を活用できる点でも魅力的な選択肢です。

不動産所得は、会計上の減価償却によって実際にはお金が出ていかなくても帳簿上赤字にすることが可能です。不動産所得を給与所得や事業所得と損益通算すると、所得税・住民税の課税所得が圧縮されます。

不動産は節税効果を活かした資産運用手段としても、ポートフォリオに組み込む価値があるのです。

資産家に最適な不動産投資の種類

不動産投資にはさまざまな種類があり、それぞれ異なるリスクとリターンの特徴を持っています。投資家がどのような目的で資産運用を行うのか、またどれだけのリスクを許容できるのかによって、選ぶべき不動産の種類は変わってきます。

居住用不動産と事業用不動産

不動産投資は大きく分けて、居住用不動産と事業用不動産の2種類に分類されます。

居住用不動産は、アパートやマンションなど住宅として利用される収益物件を指し、比較的安定した収益を見込めます。住宅需要は景気に左右されにくく、人々が生活を続ける限り需要がなくなりません。

事業用不動産は、オフィスビルや商業施設、倉庫、ホテルなど、企業や商業活動のために使用される不動産です。事業用不動産は、一般的に居住用不動産よりも利回りが高く、高額な賃料を設定できるケースがあります。その分リスクも大きく、景気が低迷すると企業の撤退やテナントの入れ替えが発生し、空室が長期化する可能性もあります。事業用不動産への投資は、景気サイクルを見極める力や、テナント管理のノウハウが求められるため、上級者向けの投資方法といえます。

区分マンションと一棟アパート・マンション

居住用不動産のなかでも、区分マンションと一棟アパート・マンションでは、投資の規模やリスクの度合いが異なります。

区分マンション投資は、一室単位で購入するため比較的少額から投資を始められますが、所有するのは一部屋のみのため、空室が発生すると収入がゼロになるリスクがあります。賃料収入に対し、管理費や修繕積立金などのコストが比較的高額になるため、利回りは低いのが一般的です。

一棟アパート・マンション投資は、建物を丸ごと所有するスタイルで、「一棟もの」と呼ばれます。賃料収入の規模が大きくなり、経営の自由度も高くなります。複数の入居者がいるため、1室が空室になっても収入が完全に途絶えることはなく、リスクの分散が可能です。

デメリットとしては、物件価格が比較的高額になるため、購入時にまとまった資金が必要になり、管理コストも大きくなる点が挙げられます。

都心と地方

不動産市場は、立地によって異なる特徴を持っています。

都心部の不動産は、賃貸需要が安定しており、売却時の流動性も高いのが魅力です。特に東京23区では、一貫して人口流入が続いているため、長期的に安定した運用が可能です。その分物件価格は高く、利回りは限定的になります。

地方の不動産は、都心に比べて購入価格が低く、高い利回りを確保しやすいのがメリットです。ただし、地方は人口減少の影響を受けやすく、長期的に空室リスクが高まる可能性もあります。高利回りを重視する投資家にとっては魅力的ですが、エリア選定や市場調査が重要なポイントとなります。

国内不動産と海外不動産

不動産投資は、国内だけでなく海外にも視野を広げることで、さらに多様な投資機会を得られます。

国内不動産投資のメリットは、法律や市場環境がよく理解でき、リスク管理がしやすい点にあります。一方、大きなトレンドとして、日本は少子高齢化が深刻になってきており、地方の不動産市場では、人口減少による空室リスクや資産価値の下落が避けられない見込みです。

海外不動産投資、特に新興国への投資は、高い利回りを期待できる点が最大の魅力です。経済成長にともない不動産価格が急上昇している国もあり、大きなキャピタルゲインを狙えます。

ただし、政変などのカントリーリスク、為替リスクなどもあり、正確な情報が入手しにくいという特性もあります。信頼できる現地パートナーが不可欠であり、慎重な調査と戦略が求められる分野です。

不動産を組み込んだポートフォリオの適正な割合

不動産をポートフォリオに組み入れる際には、金融資産とのバランスを慎重に検討する必要があります。

金融資産とのバランス

不動産のほかに、株式、債券、金などのコモディティ、ヘッジファンドなどのオルタナティブ、暗号資産などの資産クラスがあります。これらをポートフォリオに組み入れ、リスク分散を図ります。

株式は、国内株式と海外株式があります。経済成長とともに資産価値が上昇する可能性が高いものの、市場の変動による影響を受けやすいのが特徴です。債券にも国内債券と外国債券があります。比較的安定した利回りを提供し、ポートフォリオ全体のボラティリティを低減させる役割を果たします。

金は、インフレヘッジとしての機能を持ち、経済危機時には資産価値が上昇しやすいためリスク耐性を強化できます。

暗号資産は、インターネット上でやりとりできる財産的価値ですが、日本では税務上雑所得となるなど金融資産とは認められていない段階です。高いリターンが期待できる一方、価格変動が非常に激しいため、ポートフォリオに組み入れるには極めて慎重な態度が求められます。

リスク許容度に応じた比率の決定

ポートフォリオの比率は、投資家の「リスク許容度」に応じて調整します。リスク許容度とは、投資家が資産運用をする際にどの程度のリスクを受け入れられるかを示す指標です。

リスク許容度には、以下のポイントがあります。

年齢

一般的に、年齢が若いほどリスク許容度が高い傾向があります。

収入

高い収入を得ている人は、リスクを取った結果として損失が出た場合でも、生活に支障をきたしにくくリスク許容度が高くなる傾向があります。

保有資産

大きな資産を持つ人は、損失を受け入れやすくリスク許容度も高くなります。

投資経験

投資経験が豊富な人は、価格の変動に対する耐性が高く、心理的にリスクを受け入れやすくなります。

性格

慎重な性格の人はリスクを避ける傾向が強く、逆に積極的な性格の人は高いリスクを取っていく傾向があります。

具体的なポートフォリオの一例

不動産を組み込んだポートフォリオの一例として、以下のような資産配分が考えられます。

国内株式5%

海外株式15%

海外債券25%

オルタナティブ(ヘッジファンド)6%

不動産40%(うち借入30%)

金3%

現金6%

このポートフォリオでは、不動産が全体の40%となりますが、そのうち30%は金融機関からの借入なので自己資本は10%です。

前述の通り、不動産市場は比較的安定的なインカムゲインを実現します。また、海外債券を25%と多めに配分、ヘッジファンド6%を加えてもいるので、市場の変動リスクに対する防御策を講じ、ポートフォリオの安定性を高めています。

国内と海外を合わせて株式は20%のポジションとなり、資産の成長性も確保しています。

不動産投資の相談先はどこにするべきか

不動産投資をポートフォリオに組み込む場合、専門家への相談が欠かせません。不動産投資には、金融商品への投資とは別個の専門的な知識が求められます。

不動産会社

不動産投資は、収益物件を取得し運用するものなので、まずは不動産会社(宅地建物取引業法者)との関わりが必須となります。

不動産会社といっても業務内容は広く、マイホームなどの実需物件を主に取り扱っている会社や開発業務を行っているデベロッパー、物件管理を業務とする管理会社などに分類されます。不動産投資に関わる会社としては、収益物件を販売する不動産販売会社、売買の仲介を行う不動産仲介会社、投資戦略をアドバイスする不動産コンサルタントなどがあります。

不動産販売会社は、投資用不動産を自ら売主として販売しています。用地を仕入れて賃貸アパート・マンションを建て、投資家に販売する手法や、中古の区分マンションや一棟アパート・マンションを仕入れて、リフォームを施し、投資家に販売するビジネスモデルもあります。

不動産仲介会社は、買主と売主の間に立ち、物件の売買を仲介する役割を担います。収益物件と実需物件では性格が異なるため、収益物件を専門に扱う会社に相談するようにします。

不動産コンサルタントは、投資戦略の策定や資産管理に関するアドバイスを提供する存在です。企画提案のみのケースと実際の物件取得・運用までをカバーするケースがあります。

銀行・信託銀行

金融機関は、不動産投資の融資に関する相談先となります。

中でも信託銀行は、融資にとどまらず不動産の仲介や鑑定、コンサルティング業務、不動産を含めた資産管理(アセットマネジメント)業務なども取り扱っています。

ファイナンシャルプランナー(FP)

ファイナンシャルプランナー(FP)は、資産運用全体のアドバイスを提供する専門家です。ライフプランやキャッシュフロー管理、税金対策などの知識を持つため、資産運用戦略を相談する際に役立つといえます。

ただし、多くのFPは保険や証券を主に扱っており、不動産投資の専門知識を持つ人は限られています。また、日本では多くのFPが保険会社や証券会社と提携しており、中立的な立場で資産運用のアドバイスをするプランナーが少ないのも現実です。

IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)

IFA(IndependentFinancialAdvisor)は、特定の金融機関に属さず、中立的な立場で資産運用のアドバイスを行う専門家です。株式や債券、投資信託などの金融資産と不動産投資を組み合わせた総合的な資産運用について相談できるため、ポートフォリオ全体のバランスを考えながら投資を行いたい人に適しています。

ただし、IFAにも得意分野があるため、不動産投資の経験が豊富なアドバイザーを選ぶようにしましょう。

税理士

不動産投資には、税金対策が不可欠です。所得税・住民税の節税対策や相続税対策など、不動産の取得・保有・売却にともなう税務は多岐にわたります。税理士を選ぶ際は、不動産投資の知識が豊富で、実際に投資家のサポート経験がある専門家が望ましいでしょう。

金融資産と不動産を総合的に相談できる専門機関

不動産投資は、資産全体のバランスを考慮しながら運用することが求められます。不動産だけではなく、株式、債券、金、ヘッジファンドなどあらゆる資産クラスに精通する、統合的なコンサルティング機関が理想だといえるでしょう。

まとめ

ここまで、不動産をポートフォリオに組み入れるメリットと、不動産を含むポートフォリオ作成の注意点について解説してきました。

1億円以上の資産をお持ちの資産家の方が、不動産投資を含むポートフォリオを安定的に運用するためには、信頼できる専門家との連携が不可欠です。

弊社、ウェルスパートナーでは、不動産・金融資産を含めた全資産を対象とした最適なポートフォリオのご提案を行っております。経験豊富なアドバイザーが、あなたの資産形成を強力にサポートいたしますので、ぜひ一度ご相談ください。

お忙しい方や遠方にお住まいの方には、オンライン相談も承っております。お気軽にお問い合わせください。

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