2020
07/01
経済・マーケット

はじめに

米大統領選が株式市場の潜在的なリスクとして再浮上しつつあります。

各種世論調査で、現職のトランプ大統領が野党・民主党の大統領候補指名を確定させたバイデン前副大統領に対し劣勢に立たされているからです。

ここ数週間で、株式市場全般は落ち着きを取り戻し、相場は大きく上がっています。しかし、大統領選に関する不安要素が再燃してきました。

1.株式相場に与える影響

もし、トランプ大統領が落選した場合、株式市場は大きく下落する可能性があります。

投資家の不安心理を映すボラティリティー・インデックス先物に、それがはっきりとあらわれています。

ボラティリティー・インデックス先物の水準から判断すると、今年の大統領選に関するリスクは、2012年と16年それぞれの大統領選前のおよそ3倍にまで跳ね上がっています。

背景にあるのは、新型コロナウイルス感染のパンデミックや、白人警官による黒人男性暴行死事件を受けた抗議デモを巡り、有権者の間でトランプ氏の人気が低下していることにあります。

投資家の観点に立つと、民主党のバイデン氏が勝利すると、トランプ大統領がこれまで提唱してきて株式市場が総じて好感してきた法人減税や規制緩和といった政策が修正される恐れがあります。

ウォール街のアナリストは、バイデン氏が当選し、さらには議会で民主党が上下両院を制する展開は、一般に市場にとって好ましくないとみなされると指摘しています。

ロイターが実施した調査によると、バイデン氏の支持率がトランプ氏を8%ポイントも上回りました。また、トランプ大統領の政策運営に肯定的な人は39%、否定的な人が57%という結果になりました。

また、別の調査では、トランプ大統領の抗議デモへの対応について55%余りが不満を表明しています。

オンラインの賭けサイト「プレディクトイット」が見込むバイデン氏の勝率は、トランプ大統領より9%ポイント高いという状況にあります。

ヘッジファンドは、大統領選をめぐって株式相場のボラティリティが高まることを見越し、ボラティリティが上昇した時には利益が得られるポジションを組んでいます。

トランプ大統領とバイデン氏の主要政策のうち、対照的な分野の1つとして挙げられるのが税制です。バイデン氏はトランプ大統領が17年に実施した減税を批判し、一部を撤回すると公約しています。

トランプ大統領の減税の恩恵を受けた企業には、逆風が吹くことは間違いありません。

2.日本にとってはトランプが当選した方がよい!?

日本にとっては共和党のトランプ大統領が再選してくれた方がありがたいといえます。

そもそも、「民主党は反日」であり「共和党は親日」です。例えば、民主党は第二次大戦を遂行した政党です。ルーズベルトにしても、トルーマンにしても戦前の日本にとっては敵であり、彼らの手によってなされた一連の「戦後改革」についても、多くの人々にとっては反発の対象でした。

これに対して、共和党というのは「日本の敵」ではなかったと言えます。例えば、アイゼンハワー大統領は日本への原爆投下に批判的でした。また、第二次大戦中の日系人の強制収容に関して公式謝罪と補償を行ったのも、共和党のレーガン政権です。

また、アメリカの民主党の「人権や理念」は、日本人の持つ現実主義からは鬱陶しく思われるという相性の悪さがあります。逆に、共和党が党是としている自由貿易主義は「貿易立国時代」の日本には相性が良いのです。

多くの日本人リーダーたちもトランプ大統領の再選を支持しています。

トランプ大統領は、2016年の大統領選挙戦で公言していたほどには、日米関係を悪化させようとはしていません。そして、安倍晋三首相はトランプ大統領との絆を深め、彼の信頼を得ることに最も成功した世界のリーダーです。

したがって安倍首相は、1980年代前半の中曽根康弘元首相とロナルド・レーガン元大統領や、2000年代前半の小泉純一郎元首相とジョージ・W・ブッシュ元大統領のようにトランプにうまく「対応している」という高い評価を得ています。

この絆の構築にはこれまで、安倍首相に相当の忍耐、エネルギー、そして努力を必要としました。しかし、このおかげで日本は大きな恩恵を受けています。

例えば、トランプは日本のアルミニウムと鉄鋼の輸出に関税を課し、TPPから離脱したことでアメリカが失った分(とくにアメリカ産の農産物の関税引き下げ)を、2国間協定によって日本に譲歩させました。しかし、トランプが日本に「厳しくする」と公言したほどには強い行動には出ていません。

3.トランプ落選の際の中国リスク

トランプ政権の下、中国と米国が対立を強めています。しかし、これは当然のことです。米国のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)は有名ですが、中国のBATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)はそれに迫る勢いです。

中国は14億人の人口を持ち、その市場の大きさを活かしてITの覇権を握ろうとしています。米国の人口はわずか2億人です。

トランプ大統領の圧力がなくなり、中国が自由に世界に進出するようになったら世界はどうなるでしょう。中国共産党が世界中の情報を把握し、世界の覇権を握る可能性があります。

それは、世界全体にとってのリスクです。世界の危機を救うためにはトランプ大統領に頑張ってもらう必要があります。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者14万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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