目次
はじめに
資産ポートフォリオを構築する上で不可欠な要素として、外国債券が注目されています。外国債券は、日本の債券に比べて金利が高い場合が多く、安定した収益を得られることから、多くの投資家がポートフォリオに組み入れています。
しかし、外国債券には為替リスクや金利変動リスク(価格変動リスク)といった特有のリスクがあるほか、発行体の信用度にも注意が必要です。この記事では、外国債券の基本的な仕組みやメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。外国債券についての知識を深め、効果的で安定した資産運用を目指しましょう。
外国債券の基本知識
まず、外国債券を知るうえで必要な基礎知識を押さえておきましょう。
外国債券の定義とは
外国債券とは、債券の発行体・債券市場・通貨のいずれかが外国である債券のことです。
一般的には、アメリカ国債やアメリカの企業債(社債)など、外国の政府や地方公共団体、企業が発行する債券を指す場合が多いようです。
画像出典 : https://www.tokaitokyo.co.jp/otome/investment/bond/what.html
債券とは、国や地方公共団体、企業が投資家から資金を調達するために発行する借用証書のようなものです。
債券に投資すると、定期的に決まった利率で利息が支払われ、満期の際には原則として元本が返済されます。
なお、外国債券は投資家から見ると、国や企業へ「お金を貸す」ということになるので、発行体の信用状況(信用格付け)は大切な要素となります。
外国債券の特徴と利回り
外国債券は、国内債券に比べて利回りが高い場合が多く、高い利息収入を得られることが特徴です。
例えば、格付けが高いことで知られるアメリカやオーストラリア、イギリスの10年国債利回りは4%弱〜4%台前半で、日本の10年国債の利回り0.7%弱を大きく上回っています(2024年1月24日正午現在)。
参考 : ロイター : 金利・国債データ
外国債券のリスク
外国債券の投資には、以下のリスクがあります。
為替変動リスク
外国債券は、利息や償還金を円で受け取る際に為替の影響を受けます。
為替が円安に振れた場合は利益を受けられますが、円高に振れた場合は期待した収益が得られない、または損失が生じる場合もあります。
発行体の信用リスク
発行体の財務状況によっては、利息や元本が支払い不能(デフォルト)となる可能性があります。
このため、外国
債券投資にあたっては、信用格付けを参考にして、発行体の信用度を確認することが大切です。
外国債券のメリット
外国債券には、利回りの高さ以外にも次のようなメリットがあります。
収益性をコントロールできる
外国債券は種類によって利回りが異なります。国債だけでなく、より利回りの高い普通社債や劣後債を組み合わせることによって、ポートフォリオ全体の収益性(利回り)をコントロールすることができます。
ただし、劣後債は債券の格付けが劣るほか、償還に条件が付されている場合もあります。また、ネット証券で購入できないケースが多いため、投資にあたってはIFA(資産運用アドバイザー)に相談するのがよいでしょう。
リスクを分散できる
外国債券は国内株式や外国株式と値動きが異なるため、ポートフォリオへ組み入れることで、リスクを分散することができます。
また、外国債券は価格変動が少ないため、保有比率を増やすことで、ポートフォリオ全体のリスクを軽減する効果もあります。
手間なしで安定した収益が得られる
外国債券は一度購入すると、満期まで決まった利率で利息が支払われます。
このため、長期間手間なしで安定した収益(インカムゲイン)が得られる点も大きなメリットです。
外国債券の比較方法
外国債券を比較するうえでのポイントは、次の通りです。
外国債券の利回りを比較
外国債券の利回りは、発行体や債券の種類によって異なります。
一般的には、信用リスクの低い債券ほど利回りは低く、信用リスクの高い債券は利回りも高くなります。
また、債券の利回りは常に変化するため、時系列で利回りを比較し、投資時期を見極めることも大切です。
外国債券の格付けからリスクを比較する
外国債券は、信用格付機関によって格付けされています。このため、格付けからリスクを比較することも必要です。
画像引用先 : https://info.monex.co.jp/help/bond/terminology03.html
なお、格付けは格付機関によって異なりますが、BBB以上が「投資適格格付」とされています。
外国債券投資の実践
外国債券投資においては、適切なポートフォリオの構築とリスク管理が重要です。
適切なポートフォリオを構築するには、自身のリスク許容度と期待する収益を明確にし、さまざまな資産クラスへの分散を考慮する必要があります。
また、定期的にマーケット状況を確認し、場合によってはポートフォリオを組み直すなど、リスクを管理していくことも大切です。
外国債券を購入する方法
外国債券を購入するには、証券会社やIFAを通じて行うことが一般的です。
購入にあたっては、利回りの高さだけでなく、自身の投資目標やリスク許容度に合わせて、適切な外国債券を選ぶことが重要です。
外国債券投資の注意点
外国債券投資にあたっては、為替リスクや発行体の信用度リスクなどを考慮する必要があります。リスクを正しく理解し、十分な情報収集を行った上で投資を行うことが大切です。
外国債券は、安定した高い収益を確保する手段として注目されています。しかし、その投資にはリスクが伴うため、慎重な選択とリスク管理が重要です。外国債券についての基本的な知識を身につけ、効果的な資産運用を実践しましょう。
株式会社ウェルス・パートナー
代表取締役 世古口 俊介
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。
2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者1万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
メディア掲載情報:「m3.com」「ZUU online」「MONEY zine」「マネー現代」でコラムを連載中