自分に合ったプライベートバンクをどう選べばいいのか? 最新のプライベートバンク事情を解説!(中編)

はじめに

資産がたくさんある方であれば、一度はプライベートバンクの利用を検討されたことがあるのではないでしょうか。私は日系、アメリカ系、スイス系の金融機関のプライベートバンク部門で11年間、プライベートバンカーという営業担当者としてお客様の資産を預かり、資産運用してきました。

実際に働いていた私だからこそ知っている現在のプライベートバンク事情と自分に合ったプライベートバンクの選び方をご紹介します。

日本人が利用できるプライベートバンクは大きく分けて以下の5つに分類されます。

日本の大手銀行のプライベートバンク部門
1.日本の証券会社のプライベートバンク部門
2.日本の信託銀行のプライベートバンク部門
3.スイスのプライベートバンクの日本拠点
4.海外拠点のプライベートバンク(オフショアPB)

▼前編では日本の大手銀行、証券会社、信託銀行のPB部門の特徴をご紹介しました。
自分に合ったプライベートバンクをどう選べばいいのか? 最新のプライベートバンク事情を解説!(前編)

後編では日本に拠点があるスイスのPB、海外に拠点がある海外のPB、そして自身に最も適したPBを選ぶにはどうしたらいいかをお話しできればと思います。

④ スイスのプライベートバンクの日本拠点

日本に拠点がある外資系のプライベートバンク(以下、PB)は、スイスのNo.1、No.2の銀行であるUBSとクレディスイスが有名です。過去には多くの外資系プライベートバンクの日本拠点が存在しましたが、ほとんどが撤退してしまいました。

強みはほぼ全ての債券にアクセスできることと有価証券を担保に融資が提供できる2点です。富裕層は資産を2倍、3倍にするより減らないけど資産を半分にしない運用を求める傾向があり、株式よりは債券で資産運用する傾向があります。

そういった中で、多くの債券にアクセスできるのはスイス系PBの強みだと考えています。不思議ですが、日系の大手証券のPBだとあまり提案しない外債をスイス系のPBでは当たり前のように提案します。

もう一つの強みがそういった債券を担保に融資ができることです。日本の株式を担保に融資できる金融機関は多いですが、債券を担保に融資ができる金融機関はあまりなく、スイス系のPBのストロングポイントです。

債券は株式より価格が安定している傾向にあるので、担保に向いており、借入を行い再度、債券に投資することで2階建てで債券運用するというのが富裕層の鉄板の資産運用のようです。

⑤ 海外拠点のプライベートバンク(オフショアPB)

海外拠点のPBとは、外資系でさらに拠点が日本ではなく海外にあるPBのことを指します。海外拠点のPBが日本拠点のPBより優れている点が2あり、商品ユニバースの広さとレバレッジ比率の高さです

商品ユニバースの広さとは、日本の金融機関より圧倒的に多くの金融資産に投資、アクセスが可能ということです。

なぜなら、日本の金融のレギュレーションは非常に厳しく、日本の金融商品を販売しようとすると高いコストが発生し、金融機関が元をとれないと判断したら、扱わないからです。

海外はこのレギュレーションコストが圧倒的に安く、規制も緩いため、日本より圧倒的に多くの資産に投資できるのです。

海外PBのもう1つの強みがレバレッジ(借入)です。日本の金融機関、外資系PBより圧倒的に高いレバレッジをかけて資産運用することが可能です。日本だと投資元本をせいぜい1.5倍か2倍くらいにして運用するのが限界です。

これが海外のPBだと3倍、3.5倍にして運用することが可能です。レバレッジをかけて投資効率を高めることができるのが、海外PBの大きなメリットと言えるでしょう。

日本人がアクセスできる海外拠点のPBとはどういった会社があるのでしょうか。代表的なのは日本にも拠点があるUBS、クレディスイスのスイス、シンガポール、香港拠点。日本には拠点がないが日本の富裕層向けデスクがあるシンガポールや香港のバンクオブシンガポール(BOS)やスイス系のジュリアスベア、サフラサラシンが代表格です。

日本人が口座を作る海外のPBはほとんどがシンガポールか香港です。最近は、香港のデモのせいでシンガポールの人気が高まっています。

中編ではスイスのPBの日本拠点、海外PBについて紹介しました。後編では自分に合ったPBの選び方についてお話ししたいと思います。

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