目次
はじめに
皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
今回のテーマは、「会社売却富裕層が資産運用に失敗する4つのパターンとは」です。
会社を売却し、大きな資金を得られたいわゆる「会社売却富裕層」の方々から、資産運用に関するご相談をいただく機会が数多くあります。
売却直後のキャッシュの状態でご相談に来られるケースもあれば、ご自身でさまざまな証券会社などを通じて運用を始めたものの、結果的に失敗してしまい「これからどうすればいいか」とご相談に来られるケースも少なくありません。
数多くの事例を見るなかで、失敗してしまうパターンには明確な共通点が存在します。今回は、会社売却富裕層の方々が陥りがちな資産運用の典型的な失敗パターンを4つご紹介します。これらを反面教師として、正しい資産運用の考え方を知るきっかけにしていただければ幸いです。
本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の推奨や投資成果を保証するものではありません。実際の投資判断にあたっては、ご自身の資産状況やリスク許容度を踏まえた慎重な検討が必要です。
失敗パターン1:理解を超えた複雑な資産に投資してしまう
1つ目のパターンは、仕組みやリスクを十分に理解できていないにもかかわらず、「名前に惹かれる」「魅力的に思える」「すごそうだ」という漠然としたイメージだけで複雑な資産に投資してしまうケースです。
事業を成功させてきたオーナー経営者の方ほど、プライベート・エクイティ(PE)やプライベート・デット(非公開な形で行われる貸付)、認知度の高いヘッジファンドといった専門的な手法に惹かれやすい傾向があります。しかし、具体的にどのような仕組みで運用されているのか、どのようなリスクがあるのか、流動性は確保されているのかといった実態を把握していないことが多く見受けられます。
また、複雑な仕組みが組み込まれた「仕組債」や、お任せで運用できるラップ口座なども同様です。「オーダーメイドだから」「大手証券会社が力を入れているから」といった理由で投資したものの、実際の運用内容とご自身の認識に大きなギャップが生じてしまうことがあります。
その結果、「思ったように値上がりしない」「想定以上に価格変動が激しい」「株価下落によって仕組債の条件が発動し、時価が大幅に下がってしまった」「プライベート・エクイティの流動性がなく、5年〜10年先まで資金が戻ってこない」といった想定外のトラブルに直面することになります。
ご自身の理解の範囲を超えた投資商品は、期待する結果と実際の成果が乖離しやすいため、避けた方がよいでしょう。
失敗パターン2:身の丈を超えたリターンを求め、リスクを取りすぎる
2つ目のパターンは、現役時代の感覚のまま高い期待リターンを求め、リスクを取りすぎてしまうケースです。
事業会社を経営していた元オーナー経営者の方は、事業投資における年間10%〜20%といった高い成長率やリターンの感覚が身についています。そのため、個人資産の運用においても「年利10%以上は欲しい」「15%は目指したい」と高リターンを求めてしまいがちです。
しかし、会社売却後の資産運用において、過度なハイリターンを追求することはリスクの取りすぎにつながります。
今まで頼りにしていた事業は売却して手元を離れており、毎月の事業収入ではなく、手元に残ったキャッシュそのものが資産の基盤となります。本来、事業という定期的な収入源を失った状態の会社売却富裕層は、リスク許容度自体はそれほど高くありません。
それにもかかわらず、現役時代の癖で高いリターンを狙って大きなリスクを取り、大幅な損失を出して途中で運用を諦めてしまうケースが多く見られます。
会社売却後の資産運用では、一つの考え方として、年間6%~7%程度を目標とする運用例もありますが、適切な目標は資産状況やリスク許容度によって異なります。この範囲のリターンを目指す運用であれば、リスクを適切にコントロールしながら安定的な資産形成を図りやすくなるでしょう。
失敗パターン3:金融機関・担当者を信用してほぼ丸投げする
3つ目のパターンは、大手金融機関や担当者の肩書、人からの紹介を理由に全幅の信頼を寄せ、運用の判断をほぼ丸投げにしてしまうケースです。
「三大メガバンク系の証券会社だから」「海外の有名なプライベートバンクだから」「昔からの長い付き合いだから」「信頼している知人からの紹介だから」といったブランドや人間関係を背景に、提案された内容をそのまま受け入れてしまう会社売却富裕層の方は少なくありません。
もちろん金融機関や専門家に提案してもらうこと自体は問題ありませんが、提案された運用方針が本当にご自身の希望や目的に合っているのかを、ご自身で確認・把握しないまま投資を進めてしまうのは危険です。
金融機関や担当者を過剰に疑う必要はありませんが、提示された提案に対しては一定の客観性を持ち、疑問点や違和感がないか見極める姿勢が大切です。必要に応じて他の金融機関や担当者の提案と比較検討を行ったうえで、真に合理的で自分に寄り添った提案をしてくれるパートナーを選択することが求められます。
失敗パターン4:友人・知人に紹介された怪しい案件に投資する
4つ目のパターンは、親しい友人や尊敬する知人から紹介された無許可のファンドや怪しい投資案件に資金を投じてしまうケースです。
「知り合いの経営者も投資している」「売却仲間の紹介だから間違いない」と信用して購入してしまうケースですが、客観的な第三者視点で見ると、ポンジ・スキーム(投資詐欺)であったり、実態のない暗号資産やマイニング関連の投資であったりと、非常にリスクの高い案件であることが少なくありません。
メディア等で話題になるような著名で成功した企業オーナーであっても、こうした投資話に騙され、十数億円規模の損害を抱えてしまう事例は後を絶ちません。どれほど信頼している方からの紹介であっても、怪しい案件には十分な注意が必要です。
投資案件の安全性を確認する基本的な基準の一つとして、「金融当局から正式に許可や登録を受けた事業者・商品であるか」「販売者・提案者が適切な登録を持っているか」という点が挙げられます。少なくとも管轄当局の公的な登録を受けた商品・提案者であれば、詐欺的なスキームである可能性は大幅に低くなります。提案の出どころや商品のライセンス状況をしっかり確認することが判断の基準となるでしょう。
なぜ失敗に陥ってしまうのか
これまで挙げた4つのパターンは、一見するとどれも当たり前で基本的な注意点に思えるかもしれません。「自分が理解できる商品に投資する」「適切なリスクの範囲で運用する」「丸投げせず見極める」「公的な許可のない怪しい案件には手を出さない」といった原則は、資産運用の基本です。
しかし、会社売却富裕層の方々の多くは、これまで事業に集中されてきたため、投資経験があまり豊富ではありません。投資経験が少ない状態で、会社売却によっていきなり数億円から数十億円という多額のキャッシュを手にするため、「資金の大きさ」と「運用ノウハウ・経験」との間に大きなギャップが生じてしまいます。
その結果、判断に迷ってパニックになったり、思考を放棄してしまったりして、失敗パターンに陥りやすくなります。
創業から覚悟を持って育て上げ、手放した大切な会社から得た資産だからこそ、運用を始める前によく検討し、客観的で信頼できる専門家とともに慎重に計画を立てていくことが大切です。
本日は「会社売却富裕層が資産運用に失敗する4つのパターンとは」という内容でお届けしました。
多額の売却資金を適切に守り、増やしていくためには、ご自身の目的やリスク許容度に合わせたポートフォリオ設計が不可欠です。ウェルス・パートナーでは、会社売却を経験された富裕層の皆様に、中立的な立場から資産運用のアドバイスを行っております。「手元の売却資金の具体的な運用方針を固めたい」「現在検討中・運用中の提案内容が自分に適しているか客観的に確認したい」など、資産の最適化に関するご相談がございましたら、どうぞお気軽に個別相談をご活用ください。