【新規上場(IPO)後の持株戦略】メリットやリスク、売却タイミングを解説

はじめに

新規上場株(IPO)投資は、キャピタルゲイン獲得のチャンスである一方、さまざまなリスクを伴います。株式市場に新たに参入する企業には大きな成長余地がありますが、将来性をどう見極め、保有する株式の管理をどう行うかは、投資家にとって重要な課題です。この記事では、新規上場後の持株戦略におけるメリットとリスク、売却タイミングを見極める方法を解説します。

新規上場(IPO)株とは?基本を押さえる

「新規上場株(IPO)投資は儲かる」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

確かに、新規上場株(IPO)投資は利益が出る場合も多く、人気の投資手法と言われています。

しかし、新規上場株(IPO)投資にはメリットだけでなく、デメリットやリスク、注意点もあります。

新規上場株(IPO)投資の基礎知識

新規上場株(IPO)投資とは、新しく上場する銘柄を上場前に購入し、上場後に売却することで、キャピタルゲインを狙う投資方法です。

新規上場株(IPO)投資では、公募価格よりも高い初値がつく場合が多く、通常の株式投資よりも低いリスクで、高いリターンを狙えることが特徴です。

ただし、新規上場株(IPO)投資は必ず利益が出る投資方法ではありません。

上場する企業の目的と企業側のメリット

新規上場(IPO)とは、企業が初めて株式市場で株式を公開することを指します。
上場する企業のおもな目的は次の通りです。

・幅広い投資家から資金を調達して事業を拡大したい
・企業の知名度や信頼度を向上させたい
・創業社長(オーナー社長)が株式を売却して利益を獲得する

また、新規上場(IPO)によりこれらの目的を達成することで、企業には「M&Aなどの戦略を実行しやすくなる」「優秀な人材を確保しやすくなる」などのメリットがあります。

新規上場株(IPO株)投資のメリットとデメリット・リスクや注意点

高い確率で利益を得られるため、メリットの大きい新規上場株(IPO)投資ですが、デメリットやリスク、注意点もあります。

新規上場株(IPO株)投資のメリット

新規上場株(IPO株)投資のメリットは次の3つです。

・高い確率で利益が得られる
・成長企業に投資できる
・短期間で運用成果が出る

高い確率で利益が得られる

IPO投資最大のメリットは、高い確率で利益が得られることです。

2023年の国内IPOは96社、初値が公開価格を上回ったのは67社でした(勝率約70%)。

上記の通り、2020年〜2024年(2024年6月21日現在)の勝率は、70%〜86%となっています。

成長企業に投資できる

IPO投資は、成長企業に投資できる点もメリットです。

IPOは、主幹事証券会社による上場の適格性や企業経営の健全性・独立性、事業の存続性などの審査を経て行われるためです。

【主幹事証券会社とは】
IPOにあたり、公開時の引き受けや販売、公開までの事務手続きなど、中心になって上場のサポートを行う証券会社。

短期間で運用成果が出る

IPO投資は、短期間で運用成果が出る点もメリットです。

IPOでは、ブックビルディングの開始から、上場によって初値がつくまで2週間〜3週間程度です。

2週間〜3週間程度の期間で大きな収益が期待できる投資機会は、IPO投資以外では決して多くありません。

新規上場株(IPO株)投資のデメリット

新規上場株(IPO株)投資のデメリットは次の3つです。

・当選確率が低い
・投資できる金額が少ない
・公募価格割れする場合もある

当選確率が低い

IPO投資は高い確率で利益が期待できる反面、当選確率が低い点がデメリットです。

当選確率は公表されていませんが、概ね1%〜2%といわれています。

投資できる金額が少ない

IPOは、購入できる株式数に制限があります。一般的に、購入できる上限は100株(最低単元)であるため、投資できる金額が少ない点もデメリットになります。

公募価格割れする場合もある

高い確率で利益が得られるIPO投資ですが、初値が公募価格割れする場合もあります。

先述の通り、2020年〜2024年(2024年6月21日現在)のIPOの勝率は、70%〜86%ですが、逆に14%〜30%は公募価格割れしているということです。

公募価格割れの原因はいくつかありますが、株式の市況が悪い時は要注意です。また、IPO株は上場後に株価が乱高下しやすい点にも注意が必要です。

上場後の持株管理:保有か売却か

IPO株は、上場後に保有を続けるか、売却するかの選択を迫られることになります。

ただし、IPO株の特徴である「高い確率で利益が得られる」「短期間で運用成果が出る」という点に目を向けるのであれば、上場後に売却を検討するのがよいでしょう。

ここでは、上場後にIPO株を売却するメリットと保有を続けるデメリットについて解説します。

上場後に売却するメリット

IPO株を上場後に売却(初値売り)するメリットは次の2つです。

・勝率が高い
・株価の動向を気にする必要がない

勝率が高い

IPO株を、上場後はじめてつく価格(初値)で売却することを「初値売り」といいます。

初値が公開価格を上回る勝率は、ここ数年の平均で見ても8割程度と高いため、「初値売り」はメリットがあるといえます。

株価の動向を気にする必要がない

IPO株は、上場後に売買が殺到するため、株価が乱高下しやすいです。売り注文が集まれば、初値より大幅に下落する場合もあります。

株価の動向を気にする必要がない点は、「初値売り」の大きなメリットの一つです。

上場後に保有し続けるデメリット

IPO株を上場後に保有し続けるデメリットは次の2つです。

・長期的に株価が下落していく場合も多い
・インカムゲインが期待できない

長期的に株価が下落していく場合も多い

例えば、上場前に期待の高まった企業であっても、上場によって業績に関する情報が詳細に開示され、期待を下回った場合などです。

また、上場前に出資して企業を成長させたVC(ベンチャーキャピタル)が、上場後に株式を売却することも長期的に株価が下落する要因です。

インカムゲインが期待できない

インカムゲイン(配当)や株主優待を目的に、株式を長期保有する人も多いでしょう。

しかし、IPO株は上場前のおもに小規模の企業が発行する株式であり、調達した資金のほとんどを事業の成長に充てる傾向があります。

このため、IPO株は長期保有によるインカムゲイン(配当)や株主優待はあまり期待できません。
IPO株は、上場後に値上がりする確率が高いですが、その後、長期的に株価が下落していく場合も多くあります。

IPO投資の税金・税務

IPO投資で得た利益(売却益と配当金)には、通常の株式投資と同様に所得税・住民税・復興特別所得税の合計20.315%の税金が課せられます。

「源泉徴収あり」の特定口座であれば確定申告は不要ですが、「源泉徴収なし」の特定口座であれば確定申告が必要となります。

ただし、NISA口座を利用して成長投資枠の非課税枠の範囲内で投資した場合は、非課税となります。

まとめ:新規上場(IPO)株の投資戦略とは

新規上場株(IPO)投資は、上場後に高い確率で利益が得られることから、基本的に短期保有や初値売りがおすすめです。

しかし、新規上場株(IPO)には、成長が見込まれる企業が多いことから、長期保有でキャピタルゲインを狙う戦略も考えられるでしょう。

新規上場株(IPO)投資は、短期間の保有で利益が期待できる一方、上場後は値動きが激しく、比較的リスクも高くなるため、はじめて投資する場合は、IFA(資産運用アドバイザー)などプロへの相談を検討した方が良いでしょう。

私たちウェルス・パートナーでは、資産運用に精通したアドバイザーが無料で相談を承っております。新規上場株(IPO)投資をはじめ、資産運用に興味をお持ちの方は、ぜひ気軽にご相談下さい。

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