皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
目次
はじめに
本日のテーマは、「資産数十億円以上の会社オーナーでも資産運用がめちゃくちゃな理由」です。資産が数十億円ある有名な会社の社長や代表であると、さぞや資産をきちんと管理し、完璧に資産配分を整え、優秀な投資先だけに投資するような資産運用をしていると思いがちですが、実はそのようなことはありません。逆に、数億円~十億円程度の資産背景の会社オーナーの方が、よほどしっかりと考えて資産運用されている方が多いです。今回は、資産数十億円以上の会社オーナーだからこそ、めちゃくちゃな資産運用をしている理由をお話しします。皆さんの資産運用の反面教師にして、参考にしていただければと思います。
資産運用がめちゃくちゃな理由
資産運用がめちゃくちゃな理由をまとめました。主に4つあります。
理由1)証券会社や銀行との「お付き合い投資」が多すぎる
資産数十億円以上の会社オーナーとなると、有名な上場会社のオーナーや、未上場でもかなり優良な会社ですので、いろいろな金融機関とのお付き合いがあります。証券会社や銀行と何かしらの取引があると、「お付き合い投資」が発生します。お金を預けたり、借りたり、証券会社で監事をやってもらっているなどの付き合いがあると、会社オーナー個人にも「投資してください」「こういう運用をしませんか」という提案が日々あるわけです。会社との付き合いがありますので、運用せざるを得ない状況になります。そうなると、10~20のいろいろな金融機関でさまざまな投資をすることになってしまいます。すると、どこの金融機関にどのような資産があるのか自分でもわからなくなり、到底、ご自身の資産を把握・管理できる状態ではなくなってしまっている方が非常に多いのではないかと思います。
ある会社オーナーは、その証券会社では運用していないと思っていたら、実は数千万~1億を運用していたというケースもあります。お付き合いのある金融機関が多過ぎて、お付き合い投資をし過ぎているのが、資産運用がめちゃくちゃになっている理由の一つではないかと思います。取引先なので仕方がない面もあるとは思いますが、ご自身の大事な資産ですので、お付き合いに値するかどうかを見極めましょう。お付き合いし過ぎると、ご自身の資産管理が困難になっていきますので、運用先は絞った上で、ご自身で管理できる範囲で銀行や証券会社を選定した方がよいと思います。
理由2)忙しすぎて十分に投資対象を検討できないまま投資
資産が数十億円以上の会社オーナーともなると、分刻みで動いて超多忙なわけです。ですから、いろいろな銀行や証券会社から提案される案件を精査する時間がありません。しかし、先程もお話ししましたが、お付き合いで投資しなければならないので、十分に検証しないまま投資を実行してしまっていることが、資産運用がめちゃくちゃになっている理由の一つかと思われます。
ご自身の投資の考え方と合わなかったとしても、提案されている案件が自分の考えと合っているかどうか検証していないわけです。「これでいいよ。やりましょう。」と精査せずに投資しているため、ご自身の考えとは合わないものに投資しているケースがすごく多いです。
理由3)資産、年収が多すぎてリスク許容度の概念が崩壊
資産が莫大にあり、年収も数億円ある方が多く、ご自身が持っている会社もあるため、リスク許容度が高いです。確かにリスクを取った投資をしてもよい属性の方ではありますが、もはや、その概念が崩壊している方も結構いらっしゃいます。
実際に、私の会社オーナーの友人やお客様の中にもいらっしゃいます。ある会社オーナーがカンボジアに旅行に行き、空港からタクシーに乗ってホテルに向かっている時に、タクシーの運転手から、「数千万円の土地を買わないか」と提案されたそうです。そのような提案をする運転手もどうかと思いますが、その会社オーナーは運転手のプレゼンを聞いて「いいね!」と、ホテルではなく土地に行ってその場でその土地を買うことになり、契約書まで結び、翌日にお金を払ってしまいました。そのような決済をしてしまう会社オーナーがいて私も驚いたのですが、それ以外にも、聞いたことのない海外の詐欺まがいの暗号通貨の案件に数千万~1億円の投資をしてしまったケースもあります。
とにかく、資産・年収・会社もありますし、リスクをどこまで取ってもよいと思って投資している方がいらっしゃいますが、それでは、ご自身が求めている資産運用である可能性は極めて低いです。リスク許容度の範囲を超え、ネジが外れてしまっている状態の方もいらっしゃいます。ご自身のリスク許容度を正確に把握していない方が多いのではないでしょうか。ご自身が亡くなったらご家族の資産になるわけですから、ご自身の意思でしっかりと管理・運用し、提案案件を精査していく必要があります。
理由4)日本には資産全体を管理してくれるサービスがない
サービスを提供する供給側、日本の金融機関などの理由になります。日本には、超富裕層の会社オーナーの資産全体を把握し管理してくれるサービスがないのも理由の一つではないかと思います。会社オーナーは超多忙で、取引金融機関も多く、ご自身で資産管理するのが現実的に難しい方がいらっしゃいます。ですから、資産管理を代行してくれる会社があれば、資産運用したいという方は多いのですが、日本にはそれを実現できる会社やサービスがありません。これも資産運用がめちゃくちゃになっている理由の大きな一つではないかと思います。
本日は「資産数十億円以上の会社オーナーでも資産運用がめちゃくちゃな理由」という内容でお届けさせて頂きました。
株式会社ウェルス・パートナー
代表取締役 世古口 俊介
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。
2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者1万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
メディア掲載情報:「m3.com」「ZUU online」「MONEY zine」「マネー現代」でコラムを連載中