2019
10/29

はじめに

オプション取引と聞いても、投資初心者の方は、イメージすら湧かないのではないでしょうか。しかし、株式の現物価格の変動リスクをオプション取引でヘッジすることや、オプション取引を組み合わせて、相場が大きく上昇しても下落しても利益を出す可能性のある魅力のある取引です。

投資を始めたばかりの方は、オプション取引を実際に行うことは少ないと思いますが、これから資産運用を考えている方が知っておくべきオプション取引の概要とその活用方法を分かり易く解説します。

オプション取引とは

「オプション」というのは、もともと英語で、「選択とか権利」という意味で、「オプション取引」とは、「権利を取引する」すなわち「権利を売ったり、買ったりする」ということです。すなわち、予め約束された数量のある特定の商品を、予め決められた価格で、予め約束された日までに買ったりする権利(コール・オプション)、売ったりする権利(プット・オプション)を売買することです。

しかし、日常の生活では、このような取引はあまりないので、一度聞いても直ぐには理解が難しいかも知れません。

(1)オプション取引のイメージ

例えば、有名スマートフォン会社が半年後に価格未定の新モデルを発売することになりました。その際、今の時点では価格は分かりませんが新モデルのスマートフォンを「3万円で買うことができるチケット」を千円で購入したと仮定しましょう。

ア 新モデルが3万円より高い場合
半年後、新モデルが4万円で発売されました。しかし、もうすでに「3万円で買うことができるチケット」を持っているので、新モデルのスマートフォンを3万円で手に入れることができます。

イ 新モデルが3万円より安い場合
一方、新モデルの価格が2万円で売り出された場合、「3万円で買うことができるチケット」を放棄して、2万円で新モデルを買うことができます。ただし、「3万円で買うことができるチケット」代の千円はムダになりますが、放棄した方がお得です。

このように、将来、商品をある価格で手に入れる権利を買うことで、そのまま権利を行使することも出来ますし、放棄することも出来るのです。

(2)コールオプションとプットオプション

オプションには商品などを買う権利のコールオプションと、商品などを売る権利のプットオプションの2つがあり、オプション取引の対象商品を原資産といい、前もって決まっている売買価格を行使価格といい、先の例のチケット代にあたるのをプレミアムと言います。

ア コールオプション
前もって決めた価格(行使価格)で「商品を買う権利」のことをコールオプションと呼びます。将来、ある商品を買う際に価格が上昇してしまう可能性がある場合にコールオプションを買っておきます。

売買時の市場価格が行使価格より高くなった際には、権利を行使して、商品を市場価格より安い価格で買うことが可能です。一方、売買時の市場価格が行使価格より低くなった際には、一般的には権利を放棄します。市場で買えば行使価格より安く買うことが可能だからです。

イ プットオプション
コールオプションとは逆に、前もって決めた価格(行使価格)で「商品を売る権利」のことをプットオプションと呼びます。将来、ある商品を売る予定があり、その価格が値下がりする可能性がある場合にプットオプションを買っておきます。

売買時の市場価格が行使価格より下がった際には、権利を行使することで市場価格より高く売ることが可能です。一方、売買時の市場価格が行使価格よりも高くなった際には、一般に権利を放棄します。市場で売る方が行使価格で売るよりも高く売ることが可能だからです。

3.コールオプションの「買い」と「売り」

商品の価格が将来、上昇すると予測する時には「コールの買い」を行い、一方、商品が一定の価格以上には上昇しないと予測する時は「コールの売り」を行います。

コールオプションの「買い」と「売り」は以下の図のような形になりますが、重要なことは「買い」では、損失は限定的で、利益は無限大ですが、「売り」では、逆に利益は限定的で、損失は無限大でるということです。

そのようなことから、投資初心者がコールオプション取引を行う場合は、まずは「買い」から入るようにしましょう。

4.プットオプションの「買い」と「売り」

商品の価格が将来、下落すると予測する時は「プットの買い」を行い、一方、商品の価格が一定価格以下には下落しないと予測する時には「プットの売り」を行います。

プットオプションの「買い」と「売り」は以下の図のような形になりますが、重要なことは、コールオプションと同様に、「買い」では、損失は限定的で、利益は無限大ですが、「売り」では、逆に利益は限定的ですが、損失は無限大であることです。

そのようなことから、投資初心者がプットオプション取引を行う場合は、コールオプション同様、まずは「買い」から入るようにしましょう。

5.オプション取引による現物取引のヘッジ

オプション取引を色々と組み合わせて、相場の状況に適した取引の形を作ることが出来ます。ここでは、その一例として、現物のETF(日経225連動型)の値下がりリスクをヘッジする手法を解説します。

まず、現物のETF(日経225連動型)を買ったとしましょう。この現物のヘッジとして、プットの買いを加えると、理論上では、値下がりのリスクを一定の範囲に抑えることが可能となります。

下の図を見て下さい。①(赤線)が日経225のプットの買いの利益と価格の関係で、②(青線)が現物のETF(日経225連動型)の利益と価格の関係となります。そして、①と②を合体した利益と価格の関係が③(緑色)となります。

緑色の線を見ると、ETFの価格が上昇すれば利益が無限大となりますが、ETFの価格が下がっても、損失はオプション料だけとなり、ETFの値下がりをヘッジできる訳です。

6.まとめ

オプション取引は、色々と組み合わせて、相場の状況に適した取引の形を作ることが出来る魅力のある取引です。ここでは、その一例として、現物のETF(日経225連動型)の値下がりリスクをヘッジする手法を解説しましたが、取引の組み合わせを間違えると、大きな損失を出す可能性があります。

オプション取引を駆使して利益を上げるためには、このような取引を含んだポートフォリオを組むことができる投資のプロにご相談ください。きっと効率的な資産運用が可能となると思います。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者14万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

<ご注意事項>

  • 当社の所属金融商品取引業者等は株式会社SBI証券、東海東京証券株式会社、エアーズシー証券株式会社です。
  • 当社は所属金融商品取引業者等の代理権は有しません。
  • 当社はいかなる名目によるかを問わず、その行う金融商品仲介業に関して、お客様から金銭および有価証券のお預かりを行いません。
  • 各商品等へのご投資には、商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。

[金融商品仲介業者]

商号等:株式会社ウェルス・パートナー

登録番号:関東財務局長(金仲)第810号

[所属金融商品取引業者]

商号等:株式会社SBI証券

金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第44号、商品先物取引業者

加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本STO協会、日本商品先物取引協会

商号等:東海東京証券株式会社

金融商品取引業者 登録番号:東海財務局長(金商)第140号

加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人日本STO協会

商号等:エアーズシー証券株式会社

金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第33号

加入協会:日本証券業協会

ご相談はこちらから
お名前*
お名前カナ*
メールアドレス*
電話番号*
第一希望日*
ご希望のお時間*
第二希望日*
ご希望のお時間*
面談場所*
ご相談を希望するアドバイザー
当日は代表の世古口が同席する場合がございます。
大まかな保有資産額を教えてください。*
ご年収を教えてください
当社を知ったきっかけ*
ご相談内容
利用規約*
上記でご入力いただいた内容は、当社からの連絡や情報提供などに利用するためのもので、それ以外の目的では使用いたしません。
また、その情報は、当社以外の第三者が利用することはございません。(法令などにより開示を求められた場合を除きます)
詳しくは、個人情報規約をご覧ください。
https://wealth-partner-re.com/policy/