2022
11/01
資産管理会社

資産管理会社とは

資産管理会社とは、多額の所得税を払う経営者や地主等の資産家の方々が、その資産を所有・管理することを目的として設立する法人のことをいいます。一般的な企業とは異なり、資産家向けの会社として存在するため、主にその資産は不動産や株式で、その収入は賃料収入や配当収入になります。

資産管理会社を持つビジネス上のメリット

個人の最大所得税は約55%となる反面、資産管理会社の実効税率は約23%です。このような税率の差からも資産管理会社を持つことが、オーナーご自身の所得税の節税に繋がると言えるでしょう。さらに、奥様やお子様へ役員報酬や株の配当として所得分散を行うことで、手許に残る現金を増やすことも可能となります。将来的な相続時の納税資金の留保にも役に立つでしょう。

また、会社を経営するオーナーの方であれば、資産管理会社に株式を持たせることで、安定的な経営権を確保し株価対策を行うことも可能となります。資産管理会社が事業会社の株式を保有することで、仮に相続が発生した場合でも、相続財産はあくまで資産管理会社の株式であり、事業会社の株式が簡単に社外流出することはないといえるでしょう。

さらに、不動産を多くお持ちの方の中にはご存知の方も多いと思いますが、法人を持つことで個人事業では経費にできなかった給料等の他に、生命保険や社宅といったものが経費になることも資産管理会社を持つ大きなメリットです。特に、不動産に関わる経費である減価償却やローンの支払利息も経費として計上できる点は大きな利点といえます。

税務面のメリット・デメリット

①会社からの配当をうけるケース

 会社から配当を受ける場合、配当を受領する立場と、配当をする会社が上場会社か否か、そして受領者の株式保有比率によって課税の仕方が変わります。例えば
非上場会社又は3%以上保有している上場会社からオーナー個人が配当を受領した場合、最大で最高税率約55%が課せられますが、資産管理会社(借入なし))で受領した場合は、課せられる税率は約35%です。

配当課税は毎期生じる可能性が高いので、個人で保有する場合、上記のように将来受け取る配当金の約半分が毎年税金として徴収されることを考えると、一時的な税金負担はありますが、保有株式を資産管理会社へ移管する方が得られるメリットが多いと考えます。

②株式を譲渡したケース

株式を譲渡した場合、個人と法人で課税のされ方が変わります。株式を譲渡した際、個人の税率は約20%であるのに対し、資産管理会社の法人税率は会社の規模や所得によって各種税率は変わりますが約20~35%となります。
このことからも株式の時価と簿価の差額である含み益が多い場合は、個人で保有する方が税金は少なくなるので、将来上場を目指しているオーナーの方で売り出しを考えている方は、その売り出し部分は個人で保有していた方がメリットが大きいといえます。

③相続が発生したケース

遺産が現預金や投資用の株式(上場株式)のみの場合は分割もしやすいため、争いには繋がりにくいのですが、「非上場株式」や「不動産などの実物資産」が大部分を占める場合は、遺産分割の難易度が高くなり“争族”に繋がりやすいと言われています。特に、株式の場合は上場株式か非上場株式かで相続税の評価方法が異なります。資産管理会社は非上場株式であり換金できる市場がないため、税法に即して評価されることになります。

例えば、資産規模にもよりますが、子供が複数おられる場合には、資産管理会社を子供の数だけ設立し、各資産管理会社に不動産や上場株式を別々に所有させ、その資産管理会社の株式を相続させることによって不公平感がなくなり、相続時の争いが起こりにくくなるといえます。

資産管理会社のデメリット

 資産管理会社を活用する上での注意点は、法人特有の“コスト”がかかることです。
主に、資産管理会社を持つと決めた時から①設立コスト、②維持コスト、③資産移転コストがかります。

具体的に、設立する際には法人登記の登録免許税や定款等の手続きを含めて、目安として約30万円程度コストとしてかかります。また、毎年納めるべき税金やその処理を行う税理士への報酬等は法人を維持するコストとしてかかります。最後に、盲点なのが資産移転コストです。原則として、資産管理会社を保有するお金はオーナー個人が自由に使うことができないため、通常役員報酬や配当という形でオーナー個人にお金を移しますが、その受け取ったお金には所得税(最高約55%)が発生します。

まとめ

今回は資産管理会社の基本と付随するメリット・デメリットについて簡単に紹介しましたが、ご理解いただけたでしょうか。検討することが多く自分で考えるのが億劫という方は税理士など専門家に相談するのもいいでしょう。今回の記事が皆様の資産形成に少しでも役立つことをお祈りしております。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者3万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

<ご注意事項>

  • 当社の所属金融商品取引業者等は株式会社SBI証券、東海東京証券株式会社、エアーズシー証券株式会社です。
  • 当社は所属金融商品取引業者等の代理権は有しません。
  • 当社はいかなる名目によるかを問わず、その行う金融商品仲介業に関して、お客様から金銭および有価証券のお預かりを行いません。
  • 各商品等へのご投資には、商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。

[金融商品仲介業者]

商号等:株式会社ウェルス・パートナー

登録番号:関東財務局長(金仲)第810号

[所属金融商品取引業者]

商号等:株式会社SBI証券

金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第44号、商品先物取引業者

加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本STO協会、日本商品先物取引協会

商号等:東海東京証券株式会社

金融商品取引業者 登録番号:東海財務局長(金商)第140号

加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人日本STO協会

商号等:エアーズシー証券株式会社

金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第33号

加入協会:日本証券業協会

ご相談はこちらから
お名前*
お名前カナ*
メールアドレス*
電話番号*
第一希望日*
ご希望のお時間*
第二希望日*
ご希望のお時間*
面談場所*
ご相談を希望するアドバイザー
当日は代表の世古口が同席する場合がございます。
大まかな保有資産額を教えてください。*
ご年収を教えてください
当社を知ったきっかけ*
ご相談内容
利用規約*
上記でご入力いただいた内容は、当社からの連絡や情報提供などに利用するためのもので、それ以外の目的では使用いたしません。
また、その情報は、当社以外の第三者が利用することはございません。(法令などにより開示を求められた場合を除きます)
詳しくは、個人情報規約をご覧ください。
https://wealth-partner-re.com/policy/