申告漏れと脱税の境界線はどこなのか?使い分けを解説

はじめに

2020年12月18日に国税庁は「海外にある遺産の申告漏れが平成13年統計開始後の過去最多」だったことを発表しました。
申告漏れは過去最多の149件になっており、総額は77億円という結果です。

149件の申告漏れのうち悪質だと税務署に判断されて重加算税を請求された件数は25件になっています。
この25件という数字は前年比の3倍の件数です。

海外の遺産の申告漏れが過去最多ということで、2020年末から2021年初にかけてあらためて「申告漏れ」がクローズアップされました。

そもそも税金の「申告漏れ」と「脱税」は何が違うのでしょうか。
そして、申告漏れと脱税の使い分けはどうなっているのでしょう。
申告漏れと脱税の違いや境界線について説明します。

税金の「申告漏れ」とは申告不足や申告ミスのこと

税金の「申告漏れ」とは、相続税などの税金を申告するときのミスや不足のことを指します。

たとえば相続税の申告をしたとします。
相続税申告の際に被相続人の遺産をしっかりと調査したつもりでしたが、海外にある遺産を見逃していました。
海外にある財産を見逃して申告したため、相続税の申告・納税に不足が出てしまったわけです。
このようなケースを申告漏れといいます。

また、相続税の手続きの際に一部の遺産を把握していながらミスで漏れてしまいました。
このようなケースも基本的に申告漏れといわれます。

申告漏れと脱税の違いは「悪質さ」である

相続税などの税金の申告漏れのニュースの際に「脱税」が使われることがあります。
税金の申告漏れと脱税は何が違うのでしょうか。

脱税と申告漏れの最大の違いは「悪質さ」です。
申告漏れはミスや申告不足なども含みますが、脱税の場合は明らかに悪意があって行った申告不足などを意味します。
たとえば、海外の遺産をミスにより把握できず相続税申告して過小な相続税を納めてしまった場合は基本的に申告漏れです。
あくまでうっかりミスですから、悪意や悪質さがほぼないからです。
対してわざと海外の遺産を含めずに申告した場合は脱税に該当する可能性があります。

申告漏れは「うっかりミス」も含みますが、脱税の場合は「わざと」「故意で」「わからないと思って」という悪質なケースを意味するわけです。

申告漏れと脱税の使い分けや境界線

申告漏れと脱税は「申告時のミスや不足」という点で似ています。
申告漏れと脱税には法的な定義づけもなされていないため、どこまでが申告漏れでありどこからが脱税なのかという境界線が問題になるのです。

申告漏れと脱税の使い分けは大まかに次のようになっています。

申告漏れと脱税はメディアによる使い分け

申告漏れと脱税の使い分けはメディアによります。

すでにお話ししたように、申告漏れと脱税には法的な定義がありません。
そのため、悪質さの有無や程度がひとつの境界線になっているのです。
有名人の税金申告漏れが悪質だと判断すればメディアは脱税という言葉を使うことがあります。
ただし申告漏れにも脱税にも法的な定義がないため、メディアによって使い分けや境界線が変わります。

刑事罰やペナルティの有無による使い分け

申告漏れの中でも悪質なものに対しては刑事罰やペナルティが科されることがあります。
刑事罰やペナルティを科される悪質な申告漏れを脱税と呼び分けるケースもあります。

ペナルティを科されるかどうかは税務署の判断次第です。
税務署が悪質だと判断した申告漏れを脱税と呼び分けるわけです。

悪質な申告漏れについては重加算税の対象になる他、懲役や罰金などの刑事罰の対象になる可能性もあります。
また、脱税があると以降は税務調査の頻度が高くなるともいわれているのです。

まとめ

申告漏れと脱税については法的な境界線や定義がないため、メディアによって独自の使い分けが行われています。
この他に申告漏れの中でも特に悪質で刑事罰などの対象になったケースを脱税という場合もあります。

2020年は海外遺産の申告漏れが過去最多となりました。
相続税だけでなくいろいろな税金のチェックや申告への目が厳しくなることも予想されます。

税金については税理士に相談し、失敗のない申告や納付を行うことが重要ではないでしょうか。

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