2020
11/18
経済・マーケット

はじめに

米大統領選はバイデン氏の勝利となりました。この記事では、今後、バイデン氏がどのような政策運営をおこなっていくのか、そして経済やマーケットにどのような影響があるのかについて解説します。

米大統領選はバイデン氏の勝利

11月3日から始まった米大統領選は、11月7日に民主党のバイデン氏の当選が確実になりました。また、大統領選と同時におこなわれた上院・下院選挙では、上院が共和党、下院が民主党となる見通しです。

つまり、大統領と下院は民主党、上院は共和党が支配する「ねじれ」状態になる可能性が高いのです。ですから、バイデン氏が大統領になっても、民主党が法案を通すことは難しくなります。

しかし、米国市場では「ねじれ議会」がプラスになると受け止められています。バイデン氏が公約していた富裕層や企業への増税案は共和党の反対によって阻止される可能性が高いからです。また、ハイテク企業や金融機関への規制強化などの政策も成立しにくいと見られています。

バイデン氏の政策

米大統領選で勝利が確実になったバイデン氏の経済政策では、新型コロナウイルスで大幅に悪化した経済の立て直しが最大の課題です。公共インフラや再生エネルギーには、4年間で2兆ドル(約207兆円)という投資計画で経済の押し上げを狙います。

また、社会保障などの積み増しも考えれば歳出増は10兆ドル規模とも試算され、国内総生産(GDP)の5%前後に相当します。その結果、2022年の経済成長率を3%前後押し上げると見られているのです。

これだけの歳出増をおこなうのは、戦時を除くと1930年代のニューディール政策以来になります。

ITや金融の規制強化はどうなる?

巨大IT企業や金融への規制強化も重要な課題です。民主党はグーグルやフェイスブックの事業分割まで視野に入れています。バイデン氏はIT企業の解体については述べていませんが、独占禁止法(反トラスト法)による監視強化を支持しています。ただ、共和党はIT企業の分割に反対しており、ねじれ議会がどのように影響するかに注目です。

また、民主党政権になれば、ボルカー・ルール(金融機関の高リスク取引を禁止)強化など、証券会社や銀行の規制が強まるとの見方がでています。しかし、ウォール街はバイデン氏を支持しています。金融業界は、予測不能なトランプ政権より、経験豊富なバイデン氏による安定政権を望んでいるからです。

バイデン政権の新型コロナウイルスの対策

新政権でも新型コロナウイルスへの対策は重要課題です。バイデン氏は13人の専門家からなる新型コロナウイルス対策チームを発足したと発表。流行拡大を抑える計画を作り、2021年1月20日からの就任初日から実行に移せるようにします。

米国の新型コロナウイルスの死者数は11月9日時点で23万人を超えて世界最多。バイデン氏はトランプ政権のコロナ対策を失敗と批判してきました。バイデン氏はトランプ政権からの政策転換を印象づけるため、次期政権に向けた初めての活動としてコロナ対策チームとの会合を開くとしています。

大統領選後の株価はどうなる?

バイデン氏の勝利で、株式市場では追い風が吹いています。過去の歴史を見ても、上昇基調にある株式市場は、大統領選挙後に勢いが続く傾向にあるからです。ブルームバーグの調査では、2000年以降に選挙日に向けて上昇していたS&P500種株価指数は、年末にかけてプラスになっています。

そして、1986年以降の政権発足初年度の株式相場は、平均で18.6%のプラスになっているのです。つまり、大統領選の翌年は株価が上昇しやすいといえます。もちろん新型コロナウイルスの感染拡大などの懸念材料はありますが、新大統領への期待は高いといえるでしょう。

キャピタルゲイン課税には懸念も

バイデン氏は、増税をしていく方針です。とくに、富裕層に対するキャピタルゲイン課税には懸念が残ります。ただ、上院が共和党にとどまれば、ねじれ議会が継続するので新たな法案が成立する可能性は低くなるでしょう。

一方、バイデン氏は環境重視の姿勢なので、ESG投資が活況になる可能性があります。ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)要素を考慮した投資。ESG投資は欧米を中心に浸透し、投資残高も年々増加傾向にあります。環境を重視するバイデン政権では、ESG投資がますます重視される可能性が高いでしょう。

バイデン政権誕生が日本株に与える影響

米大統領選挙の結果は、米国株だけでなく日本株にも大きな影響を与えます。NYダウに日経平均株価が影響を受けるだけでなく、為替市場にも影響があるからです。バイデン氏は法人税の増税などを提案しています。

法人税の増税は米国経済への懸念を高めるので、米ドルが売られて円高要因になります。円高になると輸入型や内需企業の株価にはプラスの影響がありますが、輸出型や外需企業にはマイナスの影響があるのです。

また、バイデン氏は脱炭素社会を目指す温暖化対策の枠組みである「パリ協定」に復帰することを宣言する予定。環境問題への対策を積極的に進めていく方針で、環境関連銘柄に恩恵がありそうです。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者3万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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