目次
はじめに
トランプ関税発動後の資産運用にどう取り組むべきかは、多くの投資家にとって重要な関心事となっています。トランプ大統領の掲げる相互関税が市場に与える影響を理解し、どのように対策を講じればよいのか、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、トランプ関税が資産運用に与える影響や、それに伴うリスク管理方法、そして関税政策に対応したポートフォリオの調整方法について詳しく解説します。この記事を読むことで、大きな変動が予想されるマーケット環境下でも、より堅実な資産運用戦略を築くためのヒントを得られるでしょう。
トランプ関税の影響と市場の反応
トランプ関税の発動は、世界中の多くの市場に大きな影響をもたらしました。
ここでは以下の項目に分けて、トランプ関税の影響と市場の反応を解説します。
- トランプ関税が発動されるまでの背景
- 米国市場への直接的な影響
- 日本市場への波及効果
トランプ関税が発動されるまでの背景
トランプ政権の経済政策は、アメリカファーストを掲げ、国家の経済力を強化することを目的としています。
トランプ大統領は、主に次のような不満を抱えており、「一方的で不公平な取引だ」として他国を批判してきました。
- 「多くの国がアメリカ製品には高い関税をかけているのに、アメリカは低関税で甘すぎるのではないか」
- 「他国の高い関税の影響でアメリカ企業と労働者が不利な立場に置かれている」
このような背景により、トランプ大統領は他国に同等の関税を要求する相互関税の導入に至りました。
米国市場への直接的な影響
トランプ関税が導入された直後、米国株式市場は不安定な動きを見せました。投資家は報復関税による貿易摩擦の影響を懸念し、一部の銘柄に売りが集中する傾向が見られました。特に、輸出に依存する製造業やテクノロジーセクターでは、短期的な株価下落が観察され、これが主にサプライチェーンの混乱と輸入コストの上昇を懸念した結果とされています。
ここで、実際に今年に入ってからのS&P500の動きをみてみましょう。
画像出典 : https://www.franklintempleton.co.jp/market_info/us/letter/28476.html
S&P500は、2月19日に史上最高値を付けたものの、4月2日に発表された相互関税が市場の想定よりも厳しい内容となったことで急落。また、4月4日に中国が米国への報復関税を公表し、世界的な貿易戦争が深刻化する懸念から大幅に下落しました。
その後、二転三転するトランプ大統領の発言のたびにS&P500をはじめとした株価指数は大きく値が動き、投資家の不安心理を表すVIX指数(恐怖指数)も一時60を超えるなど高い水準にあります。
また、相互関税で米景気が後退するとの警戒感に加え、関税政策を巡って二転三転するトランプ政権への不信感から米国債を売却する投資家も増えています。
米国債については世界2位の保有国である中国が、報復措置や相互関税交渉の切り札として売却することも懸念されており、今後もトランプ関税の行方によって市場に大きな混乱が起こるものと考えられます。
加えて、トランプ関税の影響は為替にも及んでいます。直近では米国の景気が後退するとの思惑からドルが売られドル安が進み、2025年4月22日現在では円相場が140円程度で推移しています。
日本市場への波及効果
トランプ関税が発動された際、日本市場への影響は無視できないものでした。
2025年4月第2週の日経平均株価は、4月7日に過去3番目に大きい2,644円の下落、10日には過去2番目に大きい2,894円の上昇を見せるなど乱高下し、すべての営業日で1,000円を超える大きな値動きとなりました。
また、ドル売りが加速したことで円高も急速に進んでいます。
トランプ関税は日本の基幹産業である自動車の販売台数や、近年輸出が増えているコメや水産物への影響が大きいと見られています。
トランプ関税による影響について野村総研は「自動車に対する関税25%を含め日本の実質GDPを約0.7%押し下げる」と予想。大和総研は「実質GDPは短期的に0.6%、2029年までの中期的には最大1.8%程度下押しされる」と試算しています。
一方、トランプ関税はマーケットだけでなく、実生活に大きな影響を与える可能性が指摘されています。
相互関税により企業業績が悪化すれば、ここ数年続いてきた賃上げムードにも大きな障害となりかねません。
加えて相互関税によるモノやサービスの値上げ、そして消費の停滞は国内経済に大きな重しとなるでしょう。
トランプ関税後の資産運用の基本戦略
トランプ関税は、多くの市場に影響を及ぼしましたが、まだ不透明な部分が多く、今後マーケットにどんな影響を与えるか予想が困難な状況です。
いずれにしても短期・中期ではボラティリティの高い相場が続く可能性が高く慎重に運用戦略を考えていくべきでしょう。
ここでは以下の点から、トランプ関税後の資産運用の基本戦略について解説します。
- 安全資産の見直しとポートフォリオの再構築
- 国際分散投資の重要性
- リスク管理と資産防衛策
安全資産の見直しとポートフォリオの再構築
トランプ関税後の資産運用において、債券を中心とした安全資産の見直しが鍵となるでしょう。
特に株式や不動産の保有割合が高い方は、債券の比率を増やすなどポートフォリオの再構築を行うタイミングといえるかもしれません。
直近ではトランプ関税発動後から売りが続いてきた米国債に「底を打った公算がある」「海外からの買い需要が旺盛」という見方も出てきています。
また、特にボラティリティが高く、マーケットの状況が読めない状態であれば、一時的にキャッシュ率を高めるなどの対策が有効かもしれません。
いずれにしても、安全資産の保有割合を見直し、トランプ関税のニュースに振り回されない安定したポートフォリオを構築すべきでしょう。
国際分散投資の重要性
トランプ関税の発動によって、国際分散投資の重要性はますます高まると考えてよいでしょう。相互関税の影響は国によって大きく異なり、また今後にトランプ大統領がどんな政策をとるのか不透明だからです。
このため、比較的安定しているとされている米国債であっても運用資金を集中させるのは、おすすめできません。
また、ポートフォリオ構築においては関税の影響を受けにくい資産を選ぶことが求められます。具体的には、関税の対象外の地域や商品に焦点を当てた投資が考えられます。国ごとの経済状況の違いを活かし、各地域のリスクと潜在的な成長を考慮した戦略が重要です。
リスク管理と資産防衛策
トランプ関税の発動後、多くの機関投資家は資産がどのような影響を受けるか慎重に分析を進めています。特に影響を受けやすいのは輸出入に直接関係する資産クラスで、製造業や農業関連の株式はその典型です。これらは関税の変動によって価格に大きな変動が生じやすく、リスクを正確に評価する必要があるでしょう。
また、ボラティリティが高まる中でのヘッジ戦略は重要で、オプションや先物取引を活用した戦略も検討に値するかもしれません。
ただしリスクヘッジ戦略には、正しい知識と経験が必要です。
投資のプロであるIFA(ファイナンシャルアドバイザー)などに相談するのもよいでしょう。
まとめと今後の展望
トランプ関税は、世界中の投資家の資産運用戦略に大きな影響を与えると考えられます。
関税政策の行方が不透明なため、短期・中期ではさまざまな資産のボラティリティが高まると考えてよいでしょう。
ただし、このような不安定なマーケット環境にある現在は、資産運用戦略やポートフォリオを見直す絶好のタイミングといえるかもしれません。
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