はじめに
皆さんこんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
今回は「富裕層の資産運用に役立つ証券担保ローン機能がある金融機関TOP3」という内容でお届けしたいと思います。
株式や債券、投資信託などを担保にしてお金を借りて、その資金を運用する、有価証券を担保にしてローンを組むことを有価証券担保ローンと呼びます。
有価証券担保ローンは富裕層のニーズが高く、日本ではあまり一般的ではないですが、海外ではレバレッジ運用といわれ、かなりポピュラーに利用される資産運用のしくみです。
最近では、有価証券担保ローンに関して、よくご質問をいただいたり、問い合わせをいただくので、今回は有価証券担保ローンに関するおすすめの金融機関TOP3を紹介していきます。
第3位 東海東京証券
まず第3位は、東海東京証券です。東海東京証券は、愛知県が地盤の上場している証券会社なのですが、東京支店もあるので東京の方でも利用可能です。
東海東京証券の特徴としては、担保にできる資産のメインが日本株ということです。日本の上場してる会社の株式、例えば日産やソニーなどの株式を担保にお金を借りることができます。
東海東京証券の大体の金利は、その方の資産背景や属性にもよるのですが、私たちのお客様だと、1%前後くらいの場合が多いです。
1%を基準にして、属性があまり高くない方だと1.5%〜2.0%程度と上がっていきますが、とても資産背景がある方だと、1.0%〜0.76%くらいまでの範囲で金利が低くなるイメージです。
どれくらいの借入ができるか(LTV)は、 例えば保有する日本株が1億円の価値だとして、その株式を担保にするとLTVは60%、担保余力が6,000万円あるということなので、6,000万円借入れできる。
このような「借り入れできる比率」をLTVと呼びますが、おおむね東証一部(旧名称)に上場している株式の場合で、大体6割から7割くらい借入れできる、東証マザーズ(旧名称)の場合は50%から銘柄によって60%と少し下がるイメージです。
東海東京証券の最大の特徴は、シングルストックの証券担保ローンに強い点だと思います。シングルストックとは、1銘柄の株式を担保にしたローンです。このシングルストックのローンは、意外とできる金融機関が少ないです。
これは、金融機関からすれば、1銘柄に担保が集中していると、その株が暴落したり、倒産したときのリスク、借りた方がお金をが返せなくなるリスクが高いからです。
お金を貸す金融機関として、シングルストックの証券担保ローンというのは、実はやりたくないのですが、東海東京証券は結構積極的に貸し出してくれます。
シングルストックの証券担保ローンにどのようなニーズがあるかといえば、上場会社の創業者や創業メンバーの方で、売却できない上場株式をたくさん持っている。株式に流動性があり、時価もついているが、経営や資本政策の問題から、すぐに売却できないという方が、その株式を担保にしてお金を借りるためによく使われています。
このようなニーズにはまっているのが、東海東京証券の特徴だと思います。
上場創業メンバーのオーナーが保有する株式を担保にして、1銘柄だとリスクが高く、LTVは下がるのですが、それでも4割〜5割くらい貸してくれます。
その方の属性によりますが、かなり甘めの評価で自社株担保でもお金を貸してくれるということで、結構重宝しているというのが東海東京証券です。
第2位 大和証券
第2位は、大和証券です。大手の証券会社なので皆さんご存知だと思うのですが、証券業界で野村証券・大和証券・日興(SMBC日興証券)とあるので、2番目に大きな総合証券です。
特徴としては、大和証券も日本株が担保のメインで、外国の債券なども一応担保に取れますが、その銘柄を担保にできるかどうかの確認に時間がかかったり、実際にできなかったりということもあるので、メインは日本株と考えた方がよいと思います。
東海東京証券より優れているのは、その方に優良な背景があればあるほど、金利の面で融通が利いたり、LTVも高属性の方であれば深く設定してくれるという点です。
東海東京証券と似ているのですが、属性がよい方の場合は大和証券の方が条件がよいことも多いので、どちらも検討されるのがよいと思います。
また、東海東京証券と同様に、上場会社のオーナーなどのシングルストック、自社株担保のローンにとても強みを持っています。
私達のお客様でも50億円くらいの株を担保に10億円くらい借り入れを行い、金利設定も0.5%くらいという、非常に優良な金利、LTVもかなり高い60%〜70%くらいで設定してもらっている、というかなりの好条件でローンを組んでいただいています。
したがって、東海東京証券と大和証券は、シングルストックのローンを考えてるときは、どちらにも打診して条件を確認し、好条件の方で借入れすればよいと思います。
第1位 UBS銀行・クレディスイス銀行(日本支店)
第1位は、UBS銀行・クレディスイス銀行の日本支店です。別の銀行ですが、同じような内容なので、同率1位ということにしました(その後UBS銀行がクレディスイス銀行を統合)。
クレディスイスというのは、私がもともといた銀行で、UBSとともに、スイスが本拠地のプライベートバンクです。
UBS銀行がNo.1で、クレディスイス銀行がNo.2です。
これらの銀行の日本支店が1位です。両銀行は日本に進出していますので、日本支店で口座を作り、お金と株を預けて担保にしてお金を借りるということです。
1位の理由は、担保にできる金融商品の幅が広いということです。
例えば、大和証券や東海東京証券の場合はメインが日本株で、外国株や債券はあまり担保にすることができません。
UBS銀行・クレディスイス銀行は、外国株や投資信託、クレディスイスで扱ってる投資信託も担保にできますし、最近ではファンドラップ(一任勘定)も担保にしてお金を借りることができます。
1位の理由としては、担保にできる資産の幅が広い、その部分が一番の強みだと思います。
したがって、資産がたくさんあり、さまざまな資産に分散されている方であれば、その資産を担保に好条件でお金を借りることができるので、このような方には、かなりメリットのある銀行だと思います。
UBS銀行・クレディスイス銀行の金利基準は1%程度です。大体1%が基準となり、非常に資産背景がある方の場合は交渉して、1%未満〜0.78%くらいまでを条件にしてもらえたり、少し金額が小さい場合などは、1.数%から1.5%くらいになることが多いと思います。
それから、LTVは担保にする資産主体ではあるのですが、債券であれば、格付けにもよりますが、大体60%〜80%くらい、投資信託の場合は70%くらい、外国株も同様のイメージです。
UBS銀行とクレディスイス銀行が、大和証券や東海東京証券よりも、明確に優れてない点もあります。それは、シングルストックの証券担保ローンに弱い点です。
したがって、上場オーナーが自社株を担保にお金を借りるときのLTVは非常に低く、10%であるとか、そもそも貸せないということが多いです。
なぜかといえば、クレディスイス銀行の評価の仕方としては、単純に「時価×掛け値」ではなく、1日の流動性や2日分の流動性しか貸せない、時価総額いくら以上でないと難しいなど、さまざまな厳しいリスクの判定があり、スイス系のPBということもあってかなり評価が厳しいためです。
このため、シングルストックの場合は高いLTVが出ないことが多く、上場オーナーの方などであれば、東海東京証券の方がよいと思いますが、資産がかなり分散されている方だと、UBS銀行やクレディスイス銀行の方が良い結果になる可能性が高いと思います。
まとめ
おさらいすると、富裕層の資産運用に役立つ証券担保ローン機能がある金融機関のTOP3は、第3位が東海東京証券、第2位が大和証券、1位がUBS銀行・クレディスイス銀行の日本支店だと思います。
今回は「富裕層の資産運用に役立つ証券担保ローン機能がある金融機関TOP3」というテーマでお届けしました。
株式会社ウェルス・パートナー
代表取締役 世古口 俊介
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。
2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者1万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
メディア掲載情報:「m3.com」「ZUU online」「MONEY zine」「マネー現代」でコラムを連載中