【経営者インタビュー NO.3】〜JFRカード株式会社 代表取締役社長 二之部 守氏〜(前半)

今回はJ.フロント リテイリングの子会社のJFRカード株式会社の代表取締役社長の二之部 守氏に、ウェルス・パートナー代表・世古口俊介がお話を伺いました。

「JFRカード株式会社」とはどのような会社でしょうか。

ウェルス・パートナー:基本的なご質問で恐縮なんですけれども御社JFRカード株式会社様というのはどういった事業を中心に行われている会社様なのかという基本的な情報から皆さまにお伝えできればと思いますが、ご説明を簡単にいただいてもよろしいでしょうか。

JFRカード:当社はJ.フロント リテイリングという上場会社の持株会社100パーセントの子会社で、グループの決済・金融事業を担っています。事業活動としては大丸松坂屋カードの発行を行っています。今後は加盟店事業の展開も予定しています。また、金融事業として生命保険、それから損害保険の保険代理店事業を営んでいます。カードに付随したキャッシング等の貸金業、それから、様々な金融機関と提携しようとしています。

現在展開しているのは、オリックス・クレジットと提携をしたカードローン事業です。「QIRA(キラ)ローン」というローン商品を導入しました。通常のカード会社と業態は非常に似通っていますが、会社規模としてはさほど大きい企業体ではなく、J.フロント リテイリングというグループの戦略に則って、その中で決済・金融事業を拡大していくという立ち位置です。

事業の多様化、「あたらしい幸せ」を発明する

ウェルス・パートナー:クレジットカード事業が中心だとは思うんですけれども、今まさに多様化していこうとされている真っ只中という認識でよろしいのでしょうか。

JFRカード:そうですね。保険代理店事業に関しては以前からも推進していますが、この3月1日から当グループの大丸興業という商社から保険代理店事業を吸収、統合しました。これから法人向けの損害保険等も販売していこうと考えています。

クレジットカードはもちろんお客様とつながる一番中心的な商品なんですが、それだけではなくグループ全体のビジョンである“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する”という大きな目標を掲げています。その中で決済・金融事業として、お客様の生活、それから将来の充実した暮らし、あるいは健康、そういったもののコンサルティングを行いながら、お客様の暮らしを支援していくという戦略なので、クレジットカードはお客様とつながる中心となる商品というふうに考えてもらえればいいかなと思います。

「インバウンド需要」が減った百貨店の売上

ウェルス・パートナー:昨年のコロナ禍からビジネスについてどのような影響があるかについても教えていただいてもよろしいでしょうか。

JFRカード:大きい影響を受けています。様々なメディアに取り上げられています。まず昨年の3月からインバウンド需要がほぼなくなりました、売り上げのかなりの部分を占めていたインバウンドによる売り上げは百貨店からなくなりました。それから外出自粛です。緊急事態宣言もそうですが、やはり来店顧客数が減少しています。

新型コロナウイルス前と比較すると店舗によっては、緊急事態宣言の影響もありますが売上が半分程度に減少しているお店もあります。
そのような形で、リアルを中心としたビジネスがコロナによってインバウンド、そして来店顧客という部分で大きく影響を受けているというのは、大丸松坂屋百貨店だけではなく、大きなリテイル、特に百貨店あるいは都市部にある小売店舗も同じだと思います。

百貨店のDX化で変化したことは

ウェルス・パートナー:そういう中で百貨店様はDX化というものを多分、各社進められているとは思うんですが、御社としての取り組みというのは何かあられたらぜひ教えていただけないでしょうか。

JFRカード:クレジットカード、あるいは決済・金融というのは物があるわけではないので、コロナ以前からデジタルへの舵はきっていました。決済自体は実際クレジットカードがなくても当然オンラインの世界でも決済はできますし、デジタルという意味ではリアルな場ではスマホで決済ですとか、タッチ決済、非接触型の決済というのは進めてましたので、大きくは変わっていません。

また、カードリニューアルにあわせて、ウェブサイトの刷新を行ったり、新ポイントプログラム「QIRA(キラ)ポイント」を導入して消費者向けのウェブサイトを立ち上げました。あとはSNSもインスタ、Facebook、それからTwitterを立ち上げて、デジタルでもお客様とつながっていくという意味ではコロナに関わらず当初の予定通り進めてきています。

リアルの場、特に店頭でお客様との接点が非常に少なくなっていますので、それをどういうふうにカバーしていくのか。店頭にお客様がいらっしゃっても特に新規のカード入会獲得などは、以前のようにカウンターに20分間座ってカードを申し込むというようなことは非常に困難になっています。どのようにオンラインでストレスフリーにカードを申し込めるのか、既存のお客様であればどのようにお客様とコミュニケーションできるかというのは、より重要性が増していると考えています。

繰り返しになりますが、ウェブサイト、それからアプリも2021年1月から導入したんですが、アプリ、SNS等でなるべくお客様とつながって情報を提供しています。お客様が何かアクションを起こしたいときにはWEB等で受けられるように、様々な施策を進めています。

日本は電子決済の成長の余地がある

ウェルス・パートナー:私の母親も70歳なんですけれど、ずっと現金払いしかしていなかったのですが、コロナでやっぱりできるだけ接触したくないということで、初めてクレジットカードを持ってというところで、コロナのマイナス面もあれば、プラス面について教えてください。

JFRカード:やはり現金って汚い……汚いというと言葉悪いですけれども、いろいろな雑菌が付いていたりなど誰が触っているか分からないということです。特に食品を扱うような小売店舗とかは、もうとにかく現金ではなくて、クレジットカードやスマホやQRやタッチ決済でお支払いくださいという取り組みを店舗側が進めています。一昨年から経済産業省主導でポイント還元ということが行われました。その後コロナが到来し、ポジティブな部分としては、コロナによるキャッシュレスの進展は確かにあるかな、と思いますね。

ウェルス・パートナー:日本は電子決済がかなり遅れているというふうに様々なメディアで報道されているとは思うんですが、逆に言うと伸びしろはまだまだ大きいという認識でよろしいでしょうか。

JFRカード:そうですね。日本、またはアメリカでもそうですが、ATMがどこにでもあり、ATMが間違いなくお金を出してくれたりなど、古いインフラが非常に正確で効率的だったので、キャッシュ(現金)が残ったと思います。キャッシュが未だ大きく残っているということは、まだまだ成長の余地はありますね。電子決済、クレジットカードに限らずですが、成長の余地は大きいと思っています。

今年1月に大幅なカードのリニューアルをした理由とは

ウェルス・パートナー:2021年1月に御社のカードが大幅なリニューアルを行ったということを拝見したんですが、リニューアルした理由や変更点を教えていただいてもよろしいでしょうか。

JFRカード:クレジットカードも他の商品も同じですが、やっぱりニーズに合わせて商品を見直すということはどこの会社でもやっています。当社の場合、現在のクレジットカードを導入してから15年ほど大きく商品を見直してきませんでした。時代も変わってきている、デジタルも進化している、お客様とどうコミュニケーションとっていくのかを含め見直しましょう、というのがリニューアルのひとつの理由ですね。

それから、世古口さんのお母さんもそうかもしれませんが、当社のお客様も非常に高年齢層の方が多く、50代、60代、70代も含め、百貨店のお客様は他のリテイルに比べると高年齢層に寄っています。その中でも将来を考えると、しっかりと30代、40代のお客様にもアピールしなければいけない。将来を定め、30代、40代の女性をメインターゲットに置き、もう一回見直しをはかりました。30代、40代の女性にも百貨店には来てはいただいているのに、振り向いていただけるようなクレジットカードではなかったので見直しを行った、ということが二つ目の理由ですね。

JFRグループはグループの戦略として、大丸松坂屋百貨店だけではなくPARCO、それからGINZA SIXなどグループで様々な商業施設を展開しているんですが、そういった「街をつくっていきましょうというのに取り組んでいます。他のリテイルと違うのは当グループはマルチブランドで大丸松坂屋、PARCO、GINZA SIX、BINOなどをそれぞれのエリアで展開しており、いくつかのエリアで集中して店舗を持っているので、その街を地域と共に発展させていくことを目指しています。

その中の役割を果たすものとして、QIRAポイントという新しいポイントプログラムをグループの戦略に沿って地域貢献、あるいはお客様にとって価値を提供していけるかという観点から導入をしました。リニューアルをしたカードには、様々な優待サービスを付けた点はありますが、旅行とか外食などに寄っていた優待サービスに、女性のお客様が多いので、健康で美しくなれるなどの特典やサービスを今回は追加しました。これをさらに充実していきたいと考えています。

ウェルス・パートナー:ありがとうございます。PARCOであったりGINZA SIX、大丸さんて皆さん行かれる方の年齢層ってかなりバラバラですよね。若い方から高齢の方まで。

JFRカード:そうですね。それがグループの強みだとも思っています。
例えば比較すると高島屋さんというのは基本、高島屋というブランドで事業を展開されていますが、当社はPARCOもあり、GINZA SIXもあり、BINOという商業施設もあります。
今後名古屋では2026年に開業予定ですが、高層ビルにホテルが入ったような複合施設作っていったりとか、いろんな形で施設を展開していきます。名古屋であれば栄の地域で、あるいは大阪であれば心斎橋の地域で複数の商業施設があり、様々なブランドの商業施設があり、そこで働いてる方、住んでいる方、遊びに来られる方にとって、その地域でお得になったりあるいは楽しかったりという経験価値をグループとしても提供していきたいですし、ポイントや支払い手段としてのクレジットカードなどの役割を当社がグループの中で担っているということです。

ウェルス・パートナー:ありがとうございます。すごいですね。3世代にわたって、子どもはPARCOに行って、親はGINZA SIXに行って、おじいちゃん、おばあちゃんは大丸に行っていうのがあり得ることは、まさに御社だけの特長かと思います。

JFRカード:そうですね。そういう側面もあるかもしれません。ただPARCOそんなに若くないですけどね。

ウェルス・パートナー:そうですか。

JFRカード:PARCOは設立50周年なので、10代のお客様は少ないと思うんですが、20代後半から30代、40代が中心なっています。

百貨店の強みを武器に「QIRA(キラ)フィナンシャルラウンジ」を設立

ウェルス・パートナー:なるほど。ありがとうございます。私たちも富裕層向けに資産運用のご提案などをしている会社ですので、QIRAフィナンシャルラウンジ様について、もう少しお伺いさせていただきたいんですけれども。お客様としては若い世代の人が多いんですか。それとも比較的シニアの方?どういうご相談が多くて利用されているのかなっていうことをお伺いしてもよろしいですか。

JFRカード:ラウンジという形で昨年の11月にオープンしたんですが、新型コロナウイルスによる2回目の緊急事態宣言と3回目の緊急事態宣言の影響もあり、当初予定していた活動がなかなか難しいことが現状です。また、顧客層はあまり富裕層に絞っているわけではありません。ただ、百貨店のお客様で外商顧客といわれる富裕層、あるいは中小企業の経営者の方が多いので、そのようなお客様向けに様々な情報やご相談に乗れるような体制を作っていきたいと考えています。

また、30代、40代の女性を中心にした層に対しても様々なプログラムでアプローチしていこうと考えています。ラウンジ自体は一つの箱なので、そこで少人数でのセミナーを行ったりですとか、プライバシーが保てる環境の中で、様々なご相談に乗ることができる場所。そして情報発信拠点のようなスタジオのように使っていきたいと考えています。このような世の中でもあるので、必ずしもQIRAフィナンシャルラウンジで対面でセミナーを展開するのではなくて、既に実施していますが、少人数向けにやっているセミナーや勉強会などをライブ配信したり、アーカイブでお客様がいつでも見られるようにするなど、そのようなことをしていきたいと考えています。

なので、入り口としては外商からの個人的なアプローチもあれば、30代、40代向けの、例えば現在も実施している、OLの方のためのマネーセミナー、マネー美人養成講座などでお客様に情報を提供し、そこから保険や金融商品のご相談などにつなげていくというモデルです。

QIRAフィナンシャルラウンジのような場所はあくまでもシンボリックな部分でもありますし、実際大きい商談になってくると当然、対面でご相談ということもあります。そのような場合は当然、ファイナンシャルプランナーがその場でご相談に乗ったりすることもありますし、オンラインでのご相談も可能です。一方で、リアルのところはオープンしてからの緊急事態宣言の状況もあり、残念ながらあまり活用できていません。これからコンテンツも含めて、しっかり認知度を高め、お客様に「ラウンジ発のいろんな情報があるね」という認識を作っていきたいなと考えています。

今後の事業展開について

ウェルス・パートナー:御社に関するご質問で最後のご質問なんですが、ちょっと重複する部分があるかもしれませんが、御社として今後の事業展開の方向性について教えていただいてもよろしいですか。

JFRカード:やはりお客さんとのリレーションは、基本は決済部分であると考えています。J.フロント リテイリングというグループはリテイルのグループです。リアルの世界のグループなので、そこにお客様に来ていただく、あるいはそこで物やサービスを購入していただく。そして決済手段としてのクレジットカードを使っていただき、そこでリレーションをつくり、そのリレーションのうえで他の金融サービスをクロスセルしていくということがひとつですね。

もうひとつは、加盟店事業についてです。やはりリアルの世界のグループとして、魅力的な街づくりを行っていこうと考えています。そのときのテーマが“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”です。幸せといっても様々な形があって、健康などもあります。例えばビジネスモデルの転換として、百貨店内に医療モールをつくるなどの取り組みも行っています。

そのような形で街づくりを行っているグループの戦略への支援として、クレジットカード会社として加盟店事業も行っていきます。お客様向けには決済を通じてリレーションを構築し、金融商品をクロスしていく。決済の受け皿として、グループと共に街を魅力的にしていく加盟店事業を展開していく、というふうに考えていただければと思います。

ウェルス・パートナー:はい。ありがとうございます。

(【経営者インタビュー NO.3】〜JFRカード株式会社 代表取締役社長 二之部 守氏〜(後半)に続く・・・)

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