はじめに
株式投資の利益には、値上がり益である「キャピタルゲイン」と、配当や株主優待などの「インカムゲイン」の2つがありますが、投資スタンスとして「短期投資」と「長期投資」があります。
短期投資と長期投資のどちらにもメリット・デメリットがあるので、両者の違いを知って投資スタイルを決定するようにしましょう。
短期投資とは
短期投資とは、値上がりしたらすぐに売却する投資手法のこと。保有する期間について明確な決まりはありませんが、投資をして3カ月以内で利益を確定する手法のことを短期投資というのが一般的です。
短期投資で代表的なものが、1日の中で売買を完結させ、ポジションを翌日に持ち越さない「デイトレード」や、数日から数週間での利益を狙う「スイングトレード」があります。
デイトレードは購入と売却を繰り返し、利益をコツコツ積み上げていく手法です。長期投資に比べると値動きの幅が小さいので、リスクも少ないといえるでしょう。ただ、取引を繰り返すと手数料が多くかかるので、ネット証券など手数料が安い金融機関を利用することが必須です。また、常にマーケットを見なければいけないので、サラリーマンなど日中働いている人には向いていません。
一方、スイングトレードは数日から数週間ポジションを持ち越すので、日中忙しい人にも向いている手法です。デイトレードよりも大きな利益を狙えますが、リスクも大きくなるので、損切りポイントを決めておくなどのリスク管理が重要になります。
短期投資のメリット
短期投資の最大のメリットは、短期間で利益を確定できるという点です。短ければ数分で利益を確定できるので利益を実感しやすいのです。また、短期売買はチャートを利用したテクニカル分析が主体になるので、世界経済の見通しや企業業績を必要以上に分析する必要がありません。
短期投資のデメリット
利益を積み上げていくことができる点が魅力の短期投資ですが、逆に損失が膨らむリスクもあります。また、マーケットの動向を頻繁にチェックする必要があるので、神経を使う投資手法です。
さらに取引回数が増えると手数料がかかります。順調に利益をだせなければ、コストが大きな負担になることに注意しましょう。
長期投資とは
長期投資とは、保有した株式を長期で保有することをいいます。どのぐらいなら長期投資という決まりはありませんが、10年以上保有することを前提として考えるのが通常です。
長期投資では、値上がり益であるキャピタルゲインだけでなく、配当などのインカムゲインも狙えます。株式を企業の決算日までに保有していると、保有株式数に応じて配当がもらえます。
配当の金額は企業によって異なりますが、国内上場株式では保有する株式の金額の2%程度が目安です。
長期投資のメリット
長期投資のメリットは、日々の株価変動に一喜一憂する必要がないので、ゆとりを持って投資を続けられることです。株価が下がってしまっても、現物株投資なら株価が戻るまでじっくりと待てます。
短期的な相場の値動きを監視し続ける必要はないので、仕事などで忙しいサラリーマンには最適な方法といえるでしょう。短期売買のように頻繁に取引しないので、コストがかからないというメリットもあります。
長期投資のデメリット
保有期間が長くなると、それだけ価格変動リスクも高くなります。このため、複数の銘柄に分散投資してリスクを軽減させることなどが必要です。長期的な株価の上昇を狙うには「ファンダメンタル分析」が適しています。ファンダメンタル分析とは、世界経済の状況や個別企業の業績を分析する手法です。
ファンダメンタル分析は、テクニカル分析に比べて習得に時間がかかります。銘柄選びに自信がないという人は、株式を対象にした投資信託を選ぶといいでしょう。
また、長期投資は利益を得るまでに時間がかかります。長期投資を続ける間には、リーマンショックなどの大きな金融危機が発生することがあります。株価が大きく下落するときでも、株式を保有し続けることができるかが、長期投資が成功するかどうかの分岐点と考えることもできます。
短期投資と長期投資どちらがいいか
短期投資と長期投資には、それぞれメリット・デメリットありますが、投資初心者は長期投資でじっくりと運用することを目指すようにしましょう。
短期投資はうまくいけばいいのですが、日中に仕事をしながらでは機敏な対応は困難です。長期投資ならキャピタルゲインだけでなく、インカムゲインも狙えます。配当や株主優待などのインカムゲインをもらいながら、長期でじっくり投資するというスタンスなら投資を続けることも難しくありません。
ただし、長期投資でもリスク管理は大切です。複数の銘柄に分散投資することや、一度にまとめて購入するのではなく、複数回にわけて購入するなどしてリスクを軽減させるようにしましょう。
まとめ
今回は、短期投資と長期投資の違いについて解説しました。それぞれメリット・デメリットはありますが、投資初心者には長期投資をおすすめします。ただし、長期投資でもリスクを軽減させるために、複数の銘柄に分散投資するようにしましょう。