皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
目次
はじめに
本日のテーマは、「医師からIFAへの資産運用相談が急増している理由」です。ここ最近、医師の先生方から当社のようなIFAへの資産運用相談が急増していると身をもって感じています。医師の先生にお客様対象を限定しているかのような印象をもつほど多くのご相談をいただいています。今回は、なぜ、医師の先生方から私たちのようなIFA事業者・金融業者への投資運用相談が増えているのか、背景や理由について、私なりの考えも含めてご説明できればと思います。
IFAの仕組み
ご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんので、IFAの仕組みを簡単におさらいします。「IFA」とは直訳すると、インディペンデント・ファイナンシャル・アドバイザー(Independent Financial Advisor)=独立系の投資アドバイザーという意味です。金融商品仲介業者とも言われています。こちらのイラストを見ていただくと立ち位置が分かりやすいです。従来は、一番上のお客様(医師の先生)と右下の証券会社との2者の関係が基本でした。こちらに、ここ十数年で生まれたのが左下のIFA(金融商品仲介業者)です。私たちIFAが資産を直接お預かりするのではなく、証券会社に資産を預けていただくのですが、金融商品の提案や受発注はIFAがさせていただいて、実際のお客様のお金の動きは全て証券会社で行われるという形の仕組みになっています。内閣総理大臣からIFAの免許を取得して、このような金融事業の営業をしています。
では、IFAは何がよいのでしょうか。従来の、医師の先生(お客様)と証券会社のみの関係性の場合を考えると、証券会社は金融商品を作るメーカーのようなものですので、例えると、トヨタ自動車のようなものです。トヨタがレクサスを作った場合、レクサスを売るという選択肢以外はありません。「お客様、レクサスを買いませんか?」と提案しても、お客様からは「レクサスはあまり好きではないので買いません」と言われた時に、レクサスを作ったコストがあるので、売らなければ在庫になってしまいます。ですから、どうしてもレクサスを押し売りして、お客様は買いたくもないレクサスを買ってしまうのです。
これが投資の場合だと損をしてしまうこともありますので、それによってクレームがきたり問題になったりして良くない、となりました。そこで生まれたのがIFAです。IFAの場合は、トヨタとは違い、金融商品を作っていないので、販売しなければいけないプレッシャーはありません。ですから、トヨタのレクサス、日産の○○、ベンツの〇〇など、いろいろな金融商品を扱うことができます。尚且つ、何かを売ってコストを回収しなければいけないプレッシャーがありませんので、お客様(医師の先生)にとって本当に欲しい金融商品を提案できて、お客様にメリットがあるわけです。このような背景から生まれたのがこちらのIFAなのです。
まとめ
IFAの基本的な仕組みについてご説明しましたので、本題の「医師からIFAへの資産運用相談が急増している理由」について、まとめながらご説明します。ポイントは4つです。
ポイント1)老後資産形成・インフレ・高金利などの時代の流れ
時代の流れが背景にあるからではないかと考えます。老後の資産形成をどうした方がよいかということもありますし、NISAも国の政策として取り入れられ、いろいろなメディアで謳われています。また昨今では日本もインフレ、物価が上がってきましたので、何もしないと資産が目減りしていく状況になっています。その他にも、アメリカの金利が非常に上昇しているので、債券投資をすれば5%の利回りが得られる時代になってきています。このような資産形成の必要性・インフレ・高金利という時代の流れの中で、医師の先生方は資産の大半が円預金で眠っている、何もしていない状況が相まって、何かしなければいけないという動きに繋がっているのではないかと思います。そういったところにIFAへの相談が増えている背景があるのではないでしょうか。
ポイント2)銀行や証券会社のお客様のニーズを完全に無視した提案や取引
先ほどのIFAの仕組みでご説明しましたが、銀行や証券会社のお客様のニーズを完全に無視した提案や取引など、度が過ぎるケースが見られます。やめた方がいいような仕組債をやり、仕組債がダメだったらファンドラップ、それがダメなら次の金融商品というように、いたちごっこになってしまいます。そこにはお客様のニーズはなく、会社の利益しかないということを、お客様の富裕層の方・医師の先生方もお気付きになるわけです。提案の内容や営業担当者の話し方一つで、自分に利益がないことを分かってしまいます。そのような提案を繰り返してきたツケが回り、本来、銀行や証券会社に行くべき相談がIFAに回ってきている状況ではないかと思います。
ポイント3)地方の医師の先生方には資産運用の相談相手がいない状況
東京や大阪などの都心の医師の先生は、銀行や証券会社などのそれなりに優秀な担当の方やプライベートバンクがあるので相談できますが、地方の医師の先生方には、現に資産運用の相談相手がいない状況です。私たちのお客様に地方の医師の先生もたくさんいらっしゃるのでお話を聞くことがあります。信用金庫や地方銀行などでは、債券の金融商品は日本国債や個人向け国債などに限られ、定期預金の話しかできない相談相手しかいないとのことです。これでは相談相手がいないに等しい状況と言えるでしょう。ですから、医師の先生全般でIFAの相談が急増しているのですが、特に地方に住んでいらっしゃる医師の先生からの相談が増えている傾向にあると思います。
ポイント4)資産運用を一任したい忙しい先生にはIFAはピッタリ
医師の先生方のご職業の特性上だと思いますが、いろいろなお仕事がある中で、医師の先生方は特にお忙しいお仕事ではないかと思います。その先生によっては、めったに休みがない、ずっと病院にいるという先生が私たちのお客様にもいらっしゃいます。もちろん資産運用も大事なのですが、そのように忙しいことで、ご自身で重要な意思決定ができなかったり、検証する時間がなかったりする先生が多く見られます。ですから、あらゆる他の職業の方より医師の先生の方が、できるだけ信頼できるアドバイザーに資産運用を一任したいという思いが強いのではないかと思います。そのような先生にとっては、信頼できるIFAは相性がいいと言えるのではないでしょうか。
ただし、IFAはかなり玉石混交な面もあると思っています。銀行や証券会社のように、コンプライアンスがものすごく厳しいわけではありません。IFAの中でも相談相手をしっかり選ばないと、銀行や証券会社に相談するよりもひどい結果になってしまうという話を聞くこともあります。IFAは良いとは思いますが、選ぶ時はしっかりと相手を選んでご相談いただく必要があります。
本日は「医師からIFAへの資産運用相談が急増している理由とは」という内容でお届けさせて頂きました。
株式会社ウェルス・パートナー
代表取締役 世古口 俊介
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。
2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者1万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
メディア掲載情報:「m3.com」「ZUU online」「MONEY zine」「マネー現代」でコラムを連載中