新型コロナウイルス対応でなぜ赤字の病院が増えているのか

はじめに

新型コロナウイルスの影響で多くの病院が経営赤字を出していると報じられています。
新型コロナウイルスに対処すれば、病院にはその分の治療費が入るのではないか。
どうして新型コロナ患者を含めて処置が増えるのに赤字なのか。
ニュースを見ていて疑問に思うことはないでしょうか。

新型コロナ禍中でなぜ病院の多くが赤字になっているのでしょう。
気になる時事問題について解説します。

新型コロナ感染下の病院の経営状況

日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会の3つの団体は、新型コロナウイルスの影響で病院の経営状態がどうなっているか調査(2020年7月~8月「新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況の調査」)を行いました。

調査によると、新型コロナの影響で病院の約7割が赤字であるという結果です。
特に新型コロナへの処置を行っている病院は赤字になっている割合が多く、約8割が経営赤字という結果でした。
新型コロナウイルス患者の受け入れをしていない病院の赤字の割合が約6割なので、新型コロナの処置をしている病院の方が赤字になっている割合が高いことがわかります。

なぜ治療により報酬が入るはずの病院が赤字になってしまうのでしょう。

新型コロナの対応でなぜ病院が赤字になるのか

新型コロナによって病院がなぜ赤字になるのか。
赤字の理由は6つあります。

新型コロナ患者に対応するため一定の病床を確保しなければならない

新型コロナ患者の処置をするために一定数の病床を確保しなければならず、コロナ以外の患者の入院病床の確保が難しくなります。
他の病気の患者の処置に使える病床が限られてくるため、処置できる患者数が少なくなるなどの原因で収益が悪化するという結果です。

新型コロナによって病棟の閉鎖などの措置を講じなければならない

新型コロナによって病棟の閉鎖などの措置を病院側が講じなければならないため、病気の治療や入院に使える病棟も限られます。
病棟の閉鎖などがあると処置できる患者数も少なくなり、結果として収入減に繋がるのです。

他病気の患者の治療や手術を後回しにしなければならない

新型コロナ患者の対応がなければできるはずだった緊急性を伴わない手術や治療数が減りました。
新型コロナの急患などを処置しなければならないなどの理由から、通常の手術や治療ができず、収入が減っている状況です。

新型コロナ患者以外に回せる人手が少なくなっている

新型コロナ患者に回す看護師や医師などを一定数配置しなければならないことから、やはり通常の手術や治療に人員的な影響が出てしまいます。
人員も足りず処置や手術が難しいことから、収入が減ってしまうのです。

新型コロナの診療報酬で疑問や混乱があった

新型コロナの診療報酬については、臨時的な取り扱いについて厚生労働省から通達が出されています。
しかし、通達だけでは不明瞭な部分も多く、診療報酬を算定する際に疑問が出ることもあります。
また、現場は常に処置と診療報酬が発生しているわけですから、通達だけでは足りないことも多く、診療報酬の算定が難しいのが現状です。
病院の収入状況にも影響が出ます。

新型コロナ患者受け入れによる風評被害

新型コロナ患者を受け入れると、「感染したらどうしよう」などの危機感や「受け入れをしているらしい」などの噂の流布により、他の病気の患者が通院を控えてしまいます。
他の患者が病院に来なくなってしまうと、当然ですが病院の収入は減になるのです。

まとめ

新型コロナウイルスにより、病院は患者数が増えたのではないか。
患者数が増えたのだから、診療による収益も増えているのではないか。
このように想像してしまうかもしれません。
しかし、実際のニュースや数字を見れば、病院の多くが経営面での苦境に立たされていることがわかります。

新型コロナに対処するためにも医療機関はなくてはならない存在。
コロナ禍が収まった後の地域医療にも関わります。

医療関係のニュースは「健康」「病気の治療」という面で、多くの人が無関係ではいられません。
今後の情報もチェックしたいものです。

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