目次
はじめに
ヘッジファンドは、市場の上下関係に左右されずに収益を追求する投資ファンドであり、さまざまな運用手法を用いています。この記事では、日本のヘッジファンドの現状や、ヘッジファンドの購入方法、そしてヘッジファンド投資のメリットについて解説します。
ヘッジファンドとは?
ヘッジファンドは、市場が上がろうが下がろうが利益を追求するファンドで、デリバティブ(金融派生商品)やロング・ショート運用など、さまざまな手法を用いています。一般の投資信託と異なり、機関投資家や富裕層からの私募資金で運用されることがほとんどです。
ただ、過去にはヘッジファンドの破綻が市場に悪影響を与えたこともあるため、現在は規制が強化されています。
金融庁「ヘッジファンドに関する調査」
日本のヘッジファンドの数と市場規模
日本に登録しているヘッジファンドは少なく、ほとんどは小規模なものだと考えられています。また、日本のヘッジファンドの多くは中小型株を運用し、100億円から400億円程度の小規模なファンドが多いとされています。
その理由としては、海外のヘッジファンドが日本の登録をあきらめることが多く、言語的な壁や税制や規制、金融監督の文化などがあるためです。また、日本のヘッジファンド会社も海外投資家に対して積極的な情報開示をしていないことや、中小型株の取り扱いが多いため、新規資金を受け入れていないことも原因としてあげられます。
2000~2004年に金融庁が行った調査では、57社が国内で735本のヘッジファンドを設定し、その金額は約2兆5,000億円でした。その戦略は、マーケット・ニュートラルや株式ロング・ショートなどが、全体の約7割を占めています。このため、表面的にはリスクの高いヘッジファンドが設定されているわけではないとの見方もできます。
金融庁「我が国におけるヘッジファンドの現状」
ヘッジファンドの購入の仕方
プライベートバンクを利用する
プライベートバンクを利用すれば、ヘッジファンドにも投資が可能です。プライベートバンクとは、高額な資産を保有する個人や家族向けに、資産運用や相続・事業承継などの金融サービスを提供する専門的な金融機関のことです。ただし、投資金額が数億円以上と高額で、利益相反の問題もあります。また、プライベートバンク側が手数料をもらえるヘッジファンドだけを勧めている場合もあるため、単に手数料目的ではないかについて、投資家は確認が必要です。
IFAや投資助言会社を利用する
ヘッジファンドを購入する2つ目の方法は、IFAや投資助言会社などの専門家を通じて、海外のヘッジファンドに直接投資する方法です。この方法では、ヘッジファンドから手数料を受け取らず、中立的な立場から提案を受けられるのがメリットです。
ヘッジファンドのメリット
ヘッジファンドの主なメリットについて解説します。
ヘッジファンド購入によるリターン
ヘッジファンドは、市場環境に左右されずに収益を追求することができます。過去には、100年に一度とも言われた2008年の金融危機「リーマンショック」が起きたときでも、ヘッジファンドは積極的な運用方針をとり、多彩な運用手法を使って大きな収益を上げた例があります。
そのため、ヘッジファンドに投資することで、市場環境が悪くても利益を期待できる可能性があります。ただし、ヘッジファンドに投資する際は、そのリスクも考慮して投資判断をすることが大切です。
リスクを分散できる
投資信託を購入することでもリスク分散できますが、グローバル化が進む今日の世界では、世界景気の影響を免れることは困難です。株価が下落すると、世界中の株価が下落し、リスク分散していても影響を受ける傾向があるからです。
一方、ヘッジファンドは、株価に左右されにくい投資手法を用いて投資を行っているため、世界景気の影響を比較的受けにくい傾向があります。例えば、マーケット・ニュートラル、マクロ、株式ロング・ショートなどの投資手法を用いることができるので、リスクを分散できるのです。
まとめ
この記事では、日本のヘッジファンド市場、ヘッジファンドの購入方法、ヘッジファンドのメリットについて説明しました。ヘッジファンドは市場環境に左右されずに利益を追求でき、株価に左右されにくい投資手法を用いているため、リスク分散に有効な投資手段となります。しかし、リスクもあるため投資判断を慎重に行い、ヘッジファンドを購入するようにしてください。
リスク回避の資産運用。ヘッジファンドの特徴や戦略を解説
一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。