目次
はじめに
富裕層の方々にとって、不動産投資は資産管理や節税の手段として重要な存在となっています。しかし、一方で不動産投資には様々なリスクが潜んでおり、失敗に繋がる可能性もあります。本記事では、富裕層が不動産投資で陥りやすい失敗事例について解説していきます。
リスク1:不動産価値の下落リスク
不動産価値は、景気変動、国内外の経済状況の変化、金利上昇、 為替、物価などさまざまな要因により変動します。
2008年のリーマンショック時や2011年の東日本大震災発生後、不動産市場は混乱が生じ、不動産価格は下落しました。急激な不動産価値の下落により、元本割れに直面した投資家も多くいました。
不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンと言われ、預貯金や債権等より投資リスクがあります。また不動産マーケットには、一定のサイクルがあると言われています。不動産のサイクルは、①取引額の増加・利回り低下(不動産価格の上昇)→②取引額の減少・利回り低下→③取引額の減少・利回り上昇(不動産価格の下落)→④取引額の増加・利回り上昇、という流れで動くと言われています。不動産投資をする際には、現在のマーケットがどの局面にあるのかを把握し、今後の動向を分析することが重要です。
リスク2:空室および賃料滞納リスク
不動産投資の大きなリスクの一つは空室率です。経済変動や人口動態の変化によって需要が変動し、稼働率が低下した場合、想定した家賃収入が得られなくなります。
昨今、新型コロナウイルス感染症によって、働き方や企業ニーズに変化が生じ、オフィスの稼働率低下が話題になっています。また、日本は少子化高齢化に伴う人口減少社会をむかえており、賃貸市場は減少する予測がたてられています。
空室の期間が長引くと、投資家は予定していた収入を得られず、ローン返済などに支障をきたす場合もあります。リスクヘッジのために、空室リスクの低い不動産の選別や入居者フォローの充実が必要です。
また、入居テナントが賃料を滞納するリスクがあります。投資する前に賃貸借契約およびテナントの属性確認を徹底が必要です。新規テナントと賃貸借契約を締結する時は、厳密な入居審査を行うべきです。
リスク3:金利上昇によるローン返済リスク
低金利期に不動産投資を行った場合、金利上昇によりローンの返済負担が増加する可能性があります。
今年7月に日銀金融政策決定会合で、イールドカーブ・コントロールの運営の柔軟化を決定し、長期金利が上昇に転じました。
金利が上昇するとキャッシュフローが悪化するため、資金計画の見直しが必要です。また、借入金のリスクヘッジ手段として、金利固定や長期契約などの選択肢も検討するべきです。
リスク4:自然災害等リスク
地震、台風、大雨、洪水、津波等の自然災害が発生した場合、投資物件に重大な被害を受けるおそれがあります。これらの被害を軽減するため、投資物件の選定は慎重に実施すべきです。
行政から公表されているハザードマップや危険度分布などの活用に加え、専門家に自然災害リスクの調査を依頼することで、リスクを把握して投資できます。
また火災、事故等の人為的な災害が発生するリスクがあるため、火災保険など適切な保険を付保する必要があります。
リスク5:品質リスク
スーパーゼネコンによるずさんな施工不良が大きな問題になっています。投資した不動産に設計や施工等の不備が発生した場合、想定外の改修費用が発生するだけでなく、賃貸収入が減少するリスクがあります。
不動産投資前に、専門家に依頼してエンジニアリングレポート(不動産の法的調査や現況調査、将来の修繕費用等の算出、土壌調査、地震リスク分析など正しく把握するレポート)を取得することが効果的です。
また不動産は経年劣化しますので、取得前に修繕改修費用を算出し、適切なタイミングで工事を実施する必要があります。
リスク6: 悪徳業者や詐欺による被害リスク
不動産投資市場には信頼性のない業者や詐欺行為を行う者も存在します。評判や信頼性のない業者からの不適切な勧誘に惑わされたり、契約内容や物件情報の提供について不正な手段を用いられることもあります。投資を検討する際には、目先の利益にとらわれず、信頼できる業者選びや契約内容の細かな確認が重要です。
まとめ
不動産投資は、資産形成や収益の増大に有効な手段ですが、注意が必要なリスクも存在します。投資前にはしっかりとリスク管理を行い、十分な情報収集と検討を行うことが重要です。不動産投資の落とし穴にハマらず、成功するためには慎重な運用が求められます。
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