目次
はじめに
皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
今回のテーマは、「医師に選ばれる安定運用|高格付け米ドル債券ポートフォリオの魅力」についてです。
医師の先生方の中には、「利回りは多少低くても構わないので、安定性の高い、いわゆる『守り』の高格付け債券に投資したい」とお考えの方が多いのではないかと思います。
実際、現在はそうした『守り』の高格付け債券であっても、比較的高い利回りが得られる状況にあります。医師の先生方にとって、米ドル建て債券が投資チャンスと言えるタイミングにあるため、今回はその具体的な内容について詳しくお伝えしていきたいと思います。
米国10年債利回り米ドル債券ポートフォリオ
では、まずこちらのチャートをご覧ください。こちらは、過去3年間の米国10年債利回りと米ドル/円の推移を並べて表示したものになります。
このチャートをご覧いただくと、冒頭でお話しした「守りの高格付け米ドル債券でも、比較的高い利回りが得られる」ということが、お分かりいただけるのではないかと思います。
まず、青い線が米国10年国債の利回りの推移を示しています。過去3年間を振り返ると、多少の上下はありつつも、基本的には利回りが右肩上がりの傾向が続いています。直近では、2025年3月〜4月頃にかけて一時的に利回りが下がったものの、その後再び上昇し、現在ではおよそ4.3〜4.4%の利回り水準となっています。つまり、皆さまが投資対象としてご検討されているような社債などでも、同様に利回りが上昇傾向にあると言えます。
一方、オレンジ色の線は米ドル/円の為替レートの推移です。こちらも同様に、過去3年間を見ると、平均的には米ドルが右肩上がりの『円安』傾向が続いています。ただし、直近ではややドル安・円高方向に動いており、チャートの右端(現時点)では1ドル=141〜142円台となっています。たとえば、2025年1月には157円近辺まで円安が進んでいましたので、そこから比べると、円高方向に振れてきていることが分かるかと思います。
基本的には、この2つのチャートをご覧いただくと分かるように、米国10年債利回りが上がればドル高・円安に、利回りが下がればドル安・円高になるというように、一定の連動関係があります。
とはいえ、タイミングによってはこの2つの動きが逆行する場合もあります。たとえば、米国10年債の利回りが上昇しているのに、為替はドル安・円高方向に動いているというケースです。実際、現在がまさにそのような状況です。チャートの一番右端、赤い矢印で示した部分を見ていただくと、米国10年債の利回り(青い線)は上昇している一方で、米ドル/円の為替(オレンジの線)は円高方向に動いており、その差が大きく開いていることが確認できます。
つまり、現在は「債券の利回りは上昇している」のに、「為替はドル安・円高に動いている」という、2つの要素が有利に重なっている都合のよいタイミングなのです。
今から米ドル建て債券への投資を検討されている方にとって、まさに「今が投資チャンス」と言えるタイミングではないでしょうか。
では次に、こうしたように「利回り」と「為替」の動きに差が生じていたタイミングが、過去にどれくらいあったのかを見ていきましょう。過去3年のチャートを振り返っても、今回のような条件が重なったタイミングというのは、それほど多くありません。
たとえば、2023年10月頃には、現在と同じくらい米国債の利回りと為替の差が開いた時期がありました。また、2023年前半にも2回ほど似たような局面がありましたが、今ほど大きな乖離があったわけではありません。
つまり、過去数年を見ても「米国債の利回りが高く、かつ、円高が進んでいる」タイミングというのは珍しいということです。そのため、このような局面はまさに「投資のチャンス」と言えます。
特に、守りを重視した高格付けの社債や米ドル建て債券への投資を検討されている医師の先生方にとっては、「高い利回りで投資できる」うえに、「円高という為替環境でドル建て資産を取得できる」という、良いタイミングだといえます。実際に、そうした背景から、現在こうした債券への投資を進めている先生方も増えてきています。
米ドル債券ポートフォリオ最新設計実例(2025年4月)
それでは今回のテーマである「守りの高格付け米ドル債券ポートフォリオ」の最新設計について、具体的に見ていきたいと思います。今回は、2025年4月時点の条件をもとに作成した、実際のポートフォリオ例をご紹介いたします。
今回ご紹介するポートフォリオでは、10本の米ドル建て債券に分散投資を行っています。
発行体は左側の列に記載されており、アメリカの保険会社や日本の保険会社、日本の商社、アメリカの銀行、そして米国債が3本含まれています。また、IT系のアメリカの企業も3社加わった構成になっています。
債券の種類としては、普通社債が4本、国債が3本、期限付劣後債が3本という構成で、バランスの取れた内容になっています。すべて米ドル建てで、各債券に2,000万円ずつ投資し、合計で2億円規模のポートフォリオとなっています。
残存期間については、一番短いもので5.1年、その後6.4年、8.9年、11.7年、14年、18.3年、22年、24.6年、26.4年、28.8年と、5.1年から28.8年まで幅広く分散されています。平均残存期間は16.6年と、比較的長めの運用設計となっています。
債券の格付けについては、上から順にBBB+、A、A-、AA-などが並んでおり、米国債はもちろんAA+です。IT系のアメリカの企業も比較的格付けの高い(AAクラス)企業が中心となっています。期間が短めの債券(10年前後まで)には、BBB~Aクラスの債券が多く組み込まれており、期間が長いものほど格付けを高めに設定しています。その結果、ポートフォリオ全体の平均格付けはAA−という水準となっています。
利回りに関しては、右側の列をご覧いただくと、4%後半~5%前後の債券が中心で、複数の5%台債券も含まれています。ポートフォリオ全体で見た平均利回りは4.8%という水準です。
このように、高い平均格付け(AA-)を保ちつつ、平均4.8%という水準の利回りを確保できているのは、まさに現在のような環境だからこそ可能になっている設計だと考えています。
まとめ
では、今回のテーマ、「医師にオススメ!守りの高格付け米ドル債券ポートフォリオ」をまとめます。ポイントは4つです。
ポイント1)現在は高利回りかつ円高の希少な投資機会
最初のチャートでもお伝えしたとおり、現在は、米ドル債券の利回りが高水準にあり、かつ、米ドル安・円高が進行しているという、貴重なタイミングとなっています。そのため、医師の先生方にとっては、まさに投資のチャンスと言えるのではないかと考えています。
ポイント2)平均格付けAA-で利回り4.8%も可能
先ほどご紹介した高格付けの平均債券ポートフォリオについてですが、このポートフォリオは、債券の平均格付けがAA−という水準となっています。それにもかかわらず、平均利回りは4.8%を確保できており、条件の良い環境が整っている状況です。
ポイント3)残存期間の長さに応じて格付けを調整
守りを重視しつつ、利回りも高めていくということが望ましいと考えています。そのためには、債券の残存期間の長さに応じて、格付けを調整していくことが大切になります。先ほどご紹介したポートフォリオを見ていただくとお分かりいただけるように、残存期間が10年程度までの債券については、BBB~Aといった、やや格付けを下げた債券を選定しています。一方で、残存期間が10年以上の債券については、すべてAAクラスの債券を選んでいます。これは、債券の保有期間が長くなるほど信用リスクが高まるため、期間が長い債券ほど格付けを高くするという考え方に基づいています。逆に、期間が短い債券はリスクが比較的低いため、格付けを少し下げてでも高い利回りを狙っていくという戦略をとっています。このように、残存期間と格付けをうまくコントロールしながら設計している点が、今回のポートフォリオにおける非常に重要なポイントになっていると考えています。
ポイント4)残存期間を長くし中長期的に円高リスクを中和
今のタイミングでは、債券の利回りが一時的に高くなっている状況にありますので、比較的長めの残存期間を設定することが望ましいのではないかと考えています。高い利回りを長期間にわたって確定的に得られるという点は、大きなメリットです。また、医師の先生方の中には、今後さらにドル安・円高が進行するのではないかという懸念をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。ただし、残存期間が長ければ長いほど、この4.8%という確定利回りを享受できる期間も長くなります。そのため、債券から得られるトータルの収益、つまり「確定利益」によって、為替リスクを中和することも可能になります。そういった意味でも、現在の市場環境を踏まえると、残存期間を比較的長めに設定するという選択肢は、有効な投資判断になるのではないかと考えています。
本日は、「医師に選ばれる安定運用|高格付け米ドル債券ポートフォリオの魅力」という内容でお届けさせていただきました。

株式会社ウェルス・パートナー
代表取締役 世古口 俊介
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。
2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者1万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
メディア掲載情報:「m3.com」「ZUU online」「MONEY zine」「マネー現代」でコラムを連載中