コロナショックとリーマンショックはの違いは?!2つを比較してわかりやすく解説します!

はじめに

新型コロナショックの世界的な感染拡大が続く中、株式市場は不安定な動きになっています。米国の代表的な株価指数であるNYダウは、2月の高値29,568ドルから3月には18,213ドルまで下落し、下落率は38.4%に達しました。

日経平均株価も1月の高値24,115円から16,358円まで33%下落。コロナショックは、2008年のリーマンショックに相当する下落といわれています。

この記事では、リーマンショックとコロナショックとの類似点や相違点を踏まえながら、今後の動きを展望していきます。

リーマンショック(2008年)とは

リーマンショックとは、2008年9月の米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻を機に発生した世界的な金融危機のことをいいます。当時はサブプライムローン(米国の信用度の低い借り手向け住宅ローン)が急増し、それを証券化した金融商品のビジネスに多くの金融機関が関わっていました。

しかし、住宅ブームが落ち着くと返済遅延が発生し、金融機関は巨額の損失を被ったのです。

リーマンショックは、金融市場のバブルが崩壊して起こりました。借入をしてまで家を買わなくていい人(返済能力が低い人)が住宅ローンを利用し、金融機関の破綻を契機に問題が噴出したのです。

サブプライムローン危機では、金融機関の破綻や危機が相次ぎました。そして過剰債務を抱えた米国の個人需要が一気に減退し、失業が増えたのです。失業増や危機が約2年続いた後、雇用や賃金・消費の回復まで約5年を要し、「失われた7年」と呼ばれました。

コロナショックとは

今回のコロナショックによる株安は、「ウイルス」に起因しています。WHO(世界保健機関)は、3月11日に新型コロナウイルスについて「パンデミック(感染爆発)」との認識を示しました。

新型コロナウイルスの感染は3月29日時点で世界177カ国・地域に広がり、世界全体の感染者は64万人を超えています。

今回のコロナショックの原因は、ウイルスまん延とその防止策による経済的ショックです。とくに、政府が感染防止のために人々の行動を抑え込んだことで、需要ショックが起きました。

リーマンショック時の米長期金利は4%程度ありましたが、今回のコロナショックが発生した時の金利は1%程度と低い状態だったので、金融政策は効きにくくなっています。

それでも、各国の中銀は積極的に金融緩和をおこなってきました。FRB(米連邦準備制度理事会)は3月3日に0.5%、15日には1%の利下げを決定してゼロ金利政策を再開しました。

0.5%の利下げは、リーマンショックの株価急落を受けて以来です。しかしリーマンショックの時、前年の2007年からFRBは合計5%の利下げをしましたが、2009年にかけて株価は下落しています。金融政策だけでは、株価が暴落する相場では効果がないともいえるでしょう。

リーマンショックとコロナショックの違い

リーマンショックとコロナショック前後のNYダウの下落率は、以下の通りです。

通常、金融機関への支援には中央銀行の金融政策が行われ、家計や企業の支援には政府の財政政策が必要です。リーマンショックでは、金融政策に重点が置かれ、景気への影響を緩和するために財政政策が実施されました。

今回のコロナショックでは金融危機が起きていないので、財政政策の規模とスピードが重要です。

トランプ政権は、新型コロナウイルスに対処する2兆ドル(約220兆円)の大型経済対策法案を成立させました。景気対策の規模はGDP(国内総生産)の1割で過去最大。当初は1兆ドルの案でしたが、米経済が4~6月期に2桁のマイナス成長に転落するとの観測が強まりました。財政支出の規模は2倍になり、2008年のリーマンショック時の7千億ドルを大きく超えているのです。

リーマンショック時の経済対策は、金融機関への公的資金がメインでしたが、今回は家計と企業に大量のお金を直接注ぎ込みます。大人に1,200ドル、子どもに500ドルを支給し、家計への直接支援は5,000億ドル規模になる予定です。

また、中小企業向けに3,500ドルの融資枠も用意されました。企業は給与と雇用を維持すれば政府への返済は不要で、事実上の給与の肩代わり策になります。

企業の救済にはさらに5,000億ドルが用意されました。今回は短期的な経済ショックには目をつむり、企業の倒産を防ぐことで景気の長期悪化を避けることが狙いです。

リーマンショックでは金融機関が危機的な状況に陥ったことで信用収縮が発生し、金融システムの機能は大きく低下しました。短期金融市場では流動性が枯渇し、世界的に株価が暴落して経済活動が停滞しました。

リーマンショックの株安は金融機関が原因だったので、各国の政策も金融機関への支援が中心になり、景気対策は実体経済への影響を緩和するために打ち出されたのです。今回のコロナショックは、金融機関が余剰資金を抱えている状況で、金融システムも安定しています。

それでもマーケットが混乱しているのは、新型コロナウイルスの株安が「ウイルス」だからです。新型コロナウイルスの感染力の強さで、多くの国や地域でヒトやモノの行き来が停滞しています。

これがリーマンショックとの違いで、当時とは異なる対処法が求められているのです。

まとめ

新型コロナショックの暴落は、リーマンショックと似ている点が多いといえます。世界で同時に、需要消滅・生産停止が起こっているからです。景気悪化のスピードもリーマンショックと似ているので、株価の反応もリーマンショックに近くなっています。

しかし新型コロナウイルスの感染拡大は、いつかピークを迎えるものです。また、世界各国で金融緩和や経済対策が積極的に行われています。下落スピードが速かったので日柄調整は十分でありませんが、リーマンショックと同レベルまで株価が下落することはなく、近い将来、反発局面に向かうと考えています。

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