全国でコロナ倒産が増える中での「異変」の背景にあるものとは?わかりやすく解説します

はじめに

全国で新型コロナウイルスが流行しています。海外からの観光客は前年比で9割減少しました。インバウンド需要はゼロに等しい状況です。

インバウンドを補うための日本国民の消費も、緊急事態宣言による外出自粛要請により、落ち込んだままです。
この状況がいつおさまるのかは、誰にもわかりません。

新型コロナウイルスに対する決定的なワクチンが開発され、この病気がインフルエンザのような対処可能な病気となるまでこの状況は続くことでしょう。

コロナショックは、特に消費者に近い飲食業、小売業、観光業などの中小企業に襲いかかっています。

1.コロナ倒産が増える中での「異変」

そのような状況にもかかわらず、都内の倒産件数は4月、前年実績比で1割減となる見込みです。

コロナショックにより、明らかに飲食業、小売業、観光業が打撃を受けているにもかかわらず、倒産件数は昨年に比べて減っているのです。これは明らかに「異変」と言えます。

皆さんの感覚としても異常だと感じることと思います。行きつけの飲食店が緊急事態宣言を受けて閉店していると思いますが、そのお店にはテナント料などの支払い義務が発生します。しかし、閉店していてはそのテナント料すら稼ぐことができない状況です。

中小の飲食店のキャッシュフローは1か月程度しか備えがないと言われています。そのような中、緊急事態宣言は2か月に及ぼうとしています。体力のない都内の飲食店はすべて倒産してもおかしくない状況にあるのです。

しかし、都内の飲食店がすべて倒産というような状況にはなっていません。果たして、その背景には何があるのでしょうか。

2.「異変」の背景にあるもの

「異変」の背景にあるものは、東京地方裁判所から弁護士会に通達された文書にあります。その文書の趣旨は「不急の破産申し立ては控えるように」というものでした。

そのため、弁護士事務所には、日々破産申し立ての依頼が山のように来ているにもかかわらず、弁護士としては破産申し立てを東京地裁に申請できない状況となっているのです。

東京地裁は、政府が緊急事態宣言を発令してから民事裁判の期日を取り消すなど業務を縮小しています。それを考えると、破産手続きについても、緊急性の高い案件以外は処理を停止するのもやむをえないのかもしれません。

現在、都内の弁護士が行っている作業というのは、東京地裁の要請を受け「どの案件を優先すべきなのか」というのを精査している状況にあります。

その精査が終わり、東京地裁に破産申し立てを行う案件が定まった瞬間、東京都の倒産件数が急増することは間違いありません。

3.株価への影響を考える

現在、日経平均株価は米国のダウ平均株価の強さを受けて、順調に上昇しています。5月8日には節目である2万円を上回り、週明けも順調に上昇しています。

しかし、上記で説明した東京地裁による要請により、倒産件数が抑えられているという事実については、日経平均に織り込まれていないものと考えられます。
その事実が織り込まれているならば、ダウ平均株価の上昇幅よりも日経平均株価の上昇幅は小さくなるはずです。

なお米国は、日本と違い「不急の倒産申し立ては控えるように」というような馬鹿な命令は出されていません。

なぜなら、破産手続きの遅れは多くのステークホルダーに迷惑をかけることになるからです。破産企業の資産は日増しに目減りします。破産申し立てが遅れれば遅れるほど、ステークホルダーへの債務返済額も減少してしまうのです。

ですから、米国では倒産企業がどんどん出てきています。大手企業としては、Jクルー・グループ、ニーマン・マーカス・グループ、JCペニー、ホワイティング・ペトロリアムがチャプター11を申請しました(2020年5月18日現在)。

しかし、日本では大手企業の倒産が発生していません。東京地裁の要請のためです。但し緊急事態宣言が解除された後、どれだけの倒産が発生するのかを予測することは不可能です。

今後、大手企業の倒産が見込まれる中、ダウ平均株価が上昇しても日経平均株価が下落していくという事態が発生する可能性もあります。

5.まとめ

都内の4月倒産件数が前年比で1割減となるという「異変」を受け、法曹界では破産申し立てをITで行える体制を整えるべきだという声もあがっています。しかし、裁判所が本気で対応することはないでしょう。

裁判所は、書面での申請が基本となっており、紙文化の権化というべき存在です。コロナショックが過ぎ去ったあとは、涼しい顔でこれまで通りの取り扱いを続けることでしょう。

わたしたちがしっかりと認識しておかなければならないのは、東京都に対する緊急事態宣言が解除されるとみられる6月初め以降から、倒産件数が急増することは間違いないということです。

それは、日本経済に大きな打撃を与え、景気後退につながることでしょう。

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