商品相場について
よく相場動向を耳にするものに、原油価格があります。大きく値上がりしたり値下がりしたりすることは、石油関連製品の値動きを通して物価全般に直結する事象として我々の生活に大きな影響を与えるのは言うまでもありません。
原油を含む、エネルギー/燃料関連商品(重油、灯油、ガソリン、天然ガス、エタノールなど)や、金属(銀、銅、プラチナ、亜鉛、ニッケルなど)、農・畜産物(小麦、大豆、トウモロコシ、豚肉、コーヒーなど)といったモノも、値動きのある投資対象として、まとめて“商品”あるいは“コモディティ”と呼ばれます。
勿論、いわゆる実需の売り買いもありますが、ほとんどの品目に対していろいろな利害関係者が参加する市場が形成されていて、日々値動きがある大変重要な市場と位置付けられます。
商品は、株式、預貯金、債券といった伝統的運用手段と異なり、しばしば、オルタナティブ投資(代替投資)の一種に数えられます。米国の大型年金ファンドなどは、株式・債券という基本的投資先に加えて商品にも注目しています。
商品市場への投資の魅力は、一つには株・債券と値動きの傾向が異なることによる分散効果です。
株式もインフレに強いと指摘されますが、同じくインフレに強いと言われる商品相場は、長期的には株式との相関性が意外と低いと指摘されています。
原油や非鉄金属といった産業に欠かせない品目の値上がりは企業収益にとっては原材料費の値上がりとなってしまい、利益圧迫要因となり得ることがその理由と考えられます。
また、金(ゴールド)や農産物となると、株や債券と異なる要因によって商いが成立しますので、品目によってはかなり独自の値動きパターンを示します。これは分散投資の一角として魅力的となっています。
しかし、実需では物理的受け渡しが難しいことが多いため、各品目は主にそれぞれの先物市場によって取引されていますので、一般の個人投資家が単純な値上がり益を求めて参入するのは豊富な経験・知識と大きなリスク許容度が必要です。
例えば、よくメディアで報道される原油価格は、ほとんどの場合、中心限月と呼ばれる、最も取引量が多い先物の値段を表示しています。先物取引には熟練が必要である旨、是非銘記して下さい。
なお、意外にも鉄には先物市場がありません。鉄の取引はほとんどのケースで、一定期間の取引を売り手と買い手の相対交渉で決める方式となっており、商品市場とは一線を画する価格決定メカニズムとなっています。
次回記事:ニュースでよく聞く「株式市場」とは?株式市場の仕組みについて正しく理解しよう!
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(本稿は一般の皆様に、資産運用に必要な基礎知識を学んでいただく目的で長期連載いたします。 ”今すぐ儲かる有望銘柄30選”といった内容ではないことをご承知おき下さ