こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
富裕層の方の中には「〇年でいくらの資産額にしたい」など、資産運用の目標を持っている方も少なくありません。
そこで今回の記事では、資産を10年で2倍にしたいといった目標を持っている方に、「目標を達成するためにどのような考え方、資産運用戦略で運用すべきか」をお伝えします。
この記事を読んでいただくことにより、
- 10年で資産を2倍にしたい
- 10年で資産を3倍にしたい
- 20年で資産を5倍にしたい
など、具体的な目標がある場合の資産運用に役立てていただけます。
どのように資産運用すればいいのか、参考にしていただければと思います。
▼今回の内容はYouTubeでもご覧いただけます
目次
資産を10年で2倍にしたい富裕層の資産運用戦略|資産配分(当初)
実例で見ていただくのが一番分かりやすいと思いますので、資産配分・再配分の例、具体的な投資対象をご紹介します。
ここから話を広げて、どのように「10年で2倍」「10年で3倍」などの目標を達成して行くのかを説明します。
まずはご本人様の情報です。
この実例のご本人様は41歳の未上場会社のオーナー様(男性)で、家族は奥様とご長男様がいらっしゃいます。年収は2,700万円で、国内不動産として自宅を所有しています。
資産配分は凄くシンプルで、現預金が7億円です。ご自宅である国内不動産が3.5億円で、それに伴う住宅ローンが1.3億円です。
現預金の7億円はご自身がオーナーをなさっていた2つの会社のうち1社を売却した代金が大部分です。もう1社は現在も継続してオーナーとして務めていらっしゃいます。
資産全体のバランスは左下です。
借入があるので総資産額は10.5億円になります。金融資産と実物資産の割合は、金融資産が66.7%、実物資産が33.3%です。外貨や株式、債券などの比率はすべて0になっています。
資産運用に対するご要望は4つです。
- 余剰資金6.5億円(会社の売却代金)を有効活用したい
- 10年後に運用資産を2倍にしたい。6.5億円→13億円が目標
- 目標の運用純資産成長率は年間7%
- 運用純資産成長率+年間7%を実現しつつ、バランスよくリスク分散したい
今回の6.5億円の余剰資金を2倍にするためには運用純資産成長率7%、つまり毎年+7%を達成する必要があります。資産配分も+ 7%を達成するものを組む必要があるということです。
+7%はもともと高めの目標です。この目標を達成しつつさらにバランスよくリスク分散したいというご要望がありますから、このように「目標が高い」「ご要望が多い」場合は工夫して投資対象を選ぶこと、そして工夫して資産配分を組む必要があります。難易度の高いご要望ですので、私たち資産運用アドバイザーの腕の見せどころです。
資産を10年で2倍にしたい富裕層の資産運用戦略|資産再配分
現預金6.5億円を使って資産を再配分しました。
日本株式が4,000万円、先進国株式が1.2億円、新興国株式が2億円で、株式の合計が2億円になっています。株式の下が先進国債券で、こちらにも2億円配分しました。株式と債券で50:50になるように配分しています。
それと、先進国REITに2,000万円、オルタナティブに6,000万円配分しました。
その下が国内不動産です。国内不動産には5億円配分し、そのうちの3.5億円が不動産ローンです。頭金1.5億円+3.5億円のローンになっています。
最後はコモディティ金(ETF)に2,000万円分配分しました。
具体的な投資対象を見ていく中で+7%の資産成長率を達成する策をお伝えするのですが、この実例では「バランスよく配分したい」というご要望もありました。なので、バランスよく資産配分できているという点を左下の資産の全体のバランスで見ていただきたいと思います。
資産のバランス(資産配分後)
まずは表の右側ですが、これはレバレッジ比率と呼ばれる数字です。純資産に対して総資産をどれくらい大きくして運用しているかを表しています。
当初のレバレッジ比率は114%でしたが、資産再配分後は152.2%になっています。当初は借入も少なくレバレッジ比率も低くなっていたのですが、不動産投資の借入をすることで152.2%まで高めました。152%は高過ぎず低過ぎないちょうど良い比率になっています。
次に金融資産と実物資産です。
当初は金融資産66%、実物資産33%という比率でした。これが逆転し、金融資産37.9%、実物資産62.1%に変化しています。
金融資産と実物資産の比率の理想はその方の資産状況や考え方にもよりますが、金融資産4に対して実物資産6くらいが黄金比率ではないかと思います。今回の資産再配分で、理想に近い数値になっているのではないかと思います。
外貨比率は50%です。円高にも円安にもニュートラルな理想的な割合です。
株式比率と債券比率は37%と37%、ちょうど1:1の割合になっています。攻めと守りちょうどバランスが良いくらいで資産運用していると言えると思います。
年間の資産成長率+7%だと、株式だけにたくさん投資してしまったり、実績リターンヘッジファンドにたくさん投資してしまったりとか、レバレッジが使える不動産ばかりに投資してしまったりとか、凄く偏った投資になりがちです。
今回の実例のように資産成長率を達成しつつバランスよく運用する方がご本人様にとってはいいですし、何が起こっても総崩れしにくい資産配分になっているかなと思います。
このようなご希望を持っている方は、今回の実例のように資産再配分するのがいいのではないかと思います。
投資対象ごとの想定リターン|純資産成長率7%をどのように達成するのか
ここからは純資産成長率7%をどのように達成していくのかを説明するため、具体的にどのような対象に投資するかを資産クラス別に見ていきます。
下は想定リターンを表した表です。
それぞれの投資対象と想定リターンを順番に見ていきます。
日本株式
日本株式は投資金額が4,000万円で、低コストで指数に連動するインデックスファンドに投資しています。
想定リターンは7.1%です。この想定リターンはJPモルガンアセットマネジメント(アメリカで一番大きな金融機関の資産運用会社)が発表している数字です。
この日本株式に関してはJPモルガンアセットマネジメントの日本大型株式の期待リターンを使っています。
先進国株式
先進国株式は2つの外国ETFに投資しています。
米国株とユーロ株です。
米国株には9,000万円配分し、ユーロ株には3,000万円配分しています。想定されるリターンはJPモルガンの数値を使っており、それぞれ6.7%と8.5%です。
新興国株式
新興国株式は、新興国株式に投資しているインデックスファンドに投資しています。投資金額は4,000万円です。
こちらも想定リターンはJPモルガンの数値で、7.2%になっています。
先進国債券
先進国債券は個別の米ドル債券のポートフォリオを作って投資しています。
投資金額はポートフォリオ全体で2億円で、想定リターンは4.3%です。
こちらもJPモルガンの米国長期債券というカテゴリーの期待リターンを使っています。
外国REIT
外国REITは外国ETF(米国不動産)に投資しているREITです。
投資金額は2,000万円で、想定リターンは8%になっています。これもJPモルガンの数値を使っています。
オルタナティブ
オルタナティブは2つのヘッジファンド(A、W)に投資しています。こちらのヘッジファンドは10年や10数年など運用しているヘッジファンドで、それぞれ3,000万円投資しました。
ヘッジファンドには実績リターンがありますので、想定リターンにはそちらの数字を使っています。
ヘッジファンドAは9.4%、ヘッジファンドWは14.6%です。
国内不動産
国内不動産は都内1棟RCマンションに投資しました。
投資金額の1.5億円は頭金です。ローンで3.5億円借入して、5億円投資しています。
こちらは物件の実質利回り4%、借入金利1.5%で、自己資金1.5億円に対して、自己資金対比の想定リターンはいくらかを計算しています。計算結果でありリターンは9.8%です。
1.5億円の自己資金対比で9.8%で運用できるということです。
コモディティ金
投資対象は外国ETFで、投資金額は2,000万円です。
想定リターンはJPモルガンの数値で、4.0%になっています。
想定リターンの平均
投資した金額ごとに加重平均しますと、資産配分の平均想定リターンは+7.2%になります。
ご要望である純資産成長率+7%を達成する想定となります。この純資産成長率で10年運用できれば、10年後に運用資産が2倍になっている可能性が高いと考えられるわけです。
「2倍にしたい」など明確な目標がある方の場合は、このように具体的に投資する投資対象の想定リターンにおいて想定リターン+7%を上回って運用しないといけないわけです。
もちろんそのように運用したからといって2倍にならない可能性もありますが、目標にしているからには想定リターン+7%を上回っていた方が好ましいかな、希望に合っているかなと思います。
なので、ご希望の方はこのような投資対象・資産配分で運用することも方法のひとつではないかと思います。
資産を10年で2倍にしたい富裕層の資産運用戦略|まとめ
今回のテーマをまとめます。
ポイントは4つです。
ポイント①目標の運用純資産成長率を年間+7%に設定
10年で2倍はアバウトな設定ですが、目標があるなら年間の目標の資産成長率を何%にするかで考えた方がどのように資産配分して何に投資するか決めやすいです。単年の資産成長率で考えることがポイントになります。
この資産成長率を複利で運用すると、10年後には約2倍です。10年で2倍という目標の方の場合は、年間の運用純資産成長率を7%で設定するのがいいのではないかと思います。
ポイント②株式と債券の保有比率は50/50
資産成長率7%はなかなか野心的な目標です。債券ばかりに投資していると達成できません。ですので、株式もそれなりに持たなければならないということで、では、どれくらい株式に配分すればいいのかというと、株式と債券を半々くらいの割合でそれなりの金額を投資すればいいのではないかと思います。
+7%を目標にしている方は、少なくとも株式に半分くらいのバランスで運用するイメージで考えるのがいいのではないかと思います。
ポイント③ヘッジファンドで想定リターン底上げ
ヘッジファンドのひとつは想定リターン14%で、もうひとつのヘッジファンドは想定リターンが9%強でした。
このように実績ベースで凄く高いヘッジファンドを投資対象に組み入れることで、資産配分全体の平均想定リターンを底上げすることが可能です。
今回のように目標リターンが高い場合は、こうしたヘッジファンドを組み入れることも有用ではないかと思います。
ポイント④不動産投資で自己資金対比の想定リターン底上げ
こちらもヘッジファンドと同じイメージです。
不動産を組み込むことで全体の想定リターンを底上げできます。
国内不動産は借入を使っていますので、今回も1.5億円は自己資金で、3.5億円は借入なので、投資金額の大部分に借入を使っているわけです。ですので、自己資金の1.5億円に対する実際の想定リターンでいうと相当高いわけです。
今回お伝えした想定リターンだと9.8%になります。株なども上回る想定リターンになってくるわけです。自己資金対比だとそう考えられるわけです。
ですので、ある程度目標資産成長率が高い場合は不動産もポートフォリオに入れて、自己資金対比で想定リターンを上げていくことが目標達成のためには必須になってくるのではないかと思います。
当社ウェルス・パートナーは富裕層の資産運用をお手伝いしています。
- 資産運用の目標がある。達成のための戦略やポートフォリオを知りたい
- 10年後、20年後を目標に資産を増やしたい
このようなご相談も承っています。
ぜひご相談ください。

株式会社ウェルス・パートナー
代表取締役 世古口 俊介
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。
2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者1万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
メディア掲載情報:「m3.com」「ZUU online」「MONEY zine」「マネー現代」でコラムを連載中