2020
03/27
最終更新日:2020/04/15
経済・マーケット

はじめに

アノマリーとは、現代ポートフォリオ理論や相場の理論では説明しにくい経験則や仮説のことです。
合理的な根拠はありませんが、過去のデータや継続性から考えると確かにそうなるかもしれないと思わせる相場や市場の「クセ」があるのです。

アノマリーのほとんどは、需給が関係しています。額面通りに信じる必要はありませんが、投資判断の参考になります。

通常、株式投資では「ファンダメンタル分析」と「テクニカル分析」を利用して投資します。

ファンダメンタル分析とは、企業の業績や利益を調べ、これからも業績が伸びそうだと思えば「成長株」として投資をしますし、本来の価値よりも低くなって割安に放置されていると考えれば、「割安株」として投資します。

一方のテクニカル分析は、株価の値動きに着目して過去の値動きを分析し、未来の株価を予想して取引するのです。ファンダメンタルズ分析はどちらかといえば長期投資、テクニカル分析は短期投資に向いています。

そして、ファンダメンタル分析やテクニカル分析にあてはまらない、どうしてそうなるのか説明できない動きを利用した投資手法が「アノマリー」です。ただ、過去の値動きを検証して今後の値動きを予想するという点では、テクニカル分析に近いといえるでしょう。

代表的なアノマリー

それでは、代表的なアノマリーを見ていきましょう。

小型株効果~小型株のリターンは相対的に高い

小型株(時価総額が低い銘柄)で構成されたポートフォリオは、市場平均よりもリターンが相対的に高いという事象です。現代ポートフォリオ理論の代表的なモデルであるCAPM(キャップエム)では、市場が効率的であれば大型株・小型株にかかわらず、リターンはそのリスクによって決まると結論づけています。

しかし、小型株のリターンが相対的に市場平均よりも高いというのは、現代ポートフォリオ理論では説明できない事象です。

また、同じような銘柄属性によるアノマリーとして、「低PER効果」と「配当利回り効果」があります。

低PER効果とは、PER(株価収益率)が低い銘柄は、市場平均よりも高い収益率をもたらすことが多いというアノマリー。また、配当利回り効果とは、配当利回りの高い銘柄は、市場平均よりも高い収益率をもたらすことが多いというアノマリーです。

「サザエさん」効果~視聴率が悪いと株高

人気アニメ「サザエさん」の視聴率と株式市場が逆の値動きをする(逆相関)というアノマリーも有名です。サザエさんが放送されるのは、日曜よる6時30分。この時間帯の視聴率が悪いということは、家族でレジャーや外食に出掛けているという仮説が成り立ちます。

つまり、景気がいいということなので、株高となるわけです。一方、視聴率が高いということは、節約して家で食事をしているということです。そういう局面では景気が悪化しており、株価が下落すると推測します。

1月効果(米国)

米国では、クリスマス前後から上がりだし、1月に高値をつける傾向のアノマリーがあります。毎年、年末の12月になると、米国の投資家は節税対策のために損切りをするので株価が下がりやすくなり、1月には資金が戻ってくるので上がるという理屈です。1月の上昇は、「1月効果」と呼ばれ、米国株では他の月と比べて投資収益率が高い傾向にあります。

「4月効果(日本)」と「Sell in May,and go away(米国)」

「1月効果」と似たようなアノマリーが日本にもあります。「4月効果」です。日本では3月末に決算を迎え、4月に新資金を投じる機関投資家が多いので、4月に株価が上がり5月の初旬まではしっかりした展開になりやすいというアノマリーです。

そして、米国では「Sell in May,and go away」(5月に売り逃げろ)というアノマリーもあります。5月と11月にヘッジファンドの決算が多いとされ、5月ごろに天井をつけやすい傾向にあるからです。

日米ともに5月ごろに高値をつけるというアノマリーがあるのは面白いですね。

アノマリーが起こる理由

アノマリーにはほとんど根拠のないものもあります。たとえば「二日新甫は荒れる」があります。これは、1日が休日で2日から始まる月の相場は荒れやすいというアノマリーです。
これには、明確な根拠はありません。

一方、需給要因である程度説明がつくアノマリーもあります。それは、外国人投資家や機関投資家などは決算が決まっているため、毎年売買タイミングがある程度決まっているからです。米国では12月末、日本では3月末が決算であることが多いので、その時期に向けて売りがでてくることはある程度予想できます。そして、翌月の1月(1月効果)や4月(4月効果)に新資金が戻ってくるので、株高になりやすいという理屈です。

また、アノマリーが広まり、多くの投資家が信じるようになると、よりアノマリーが起こりやすくなることも考えられます。

これは、テクニカル分析と似たようなものです。多くの人が注目する移動平均線(25日移動平均線や200日移動平均線)などは、節目として機能することが多くなります。信じる人が増えるほど、アノマリーの効果も高まることが期待されるのです。

まとめ

今回はアノマリーについて解説しました。この記事で紹介した「小型株効果」や「1月効果」などの他に多くのアノマリーがあり、参考にしている人もたくさんいます。ただ、アノマリーは絶対にそうなることが決まっているわけではありません。あくまでも過去の傾向にすぎないので、投資判断の一つとして考えるようにしましょう。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者3万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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