はじめに
岸田総理の「金融所得課税の見直し」発言が波紋を呼んでいます。
総理の発言によりあらためて金融所得課税の内容や税率などが注目されました。
また、金融所得課税に関係する重要ワードとして「1億円の壁」という言葉も注目されています。
金融所得課税の「1億円の壁」とはどのような意味なのでしょう。
資産家にはどのような影響があるのでしょうか。
金融所得課税の税率なども合わせて分かりやすく解説します。
金融所得課税とは?内容と税率
金融所得課税とは株式などの金融商品の譲渡益や配当などに対してかかる税金のことです。
岸田総理が課税の見直しについて発言したことで、金融所得課税が注目されました。
2021年12月24日現在の金融所得課税の税率は一律20%(特別復興課税を除く)となっています。
どれだけ金融所得があっても、税率は一律です。
金融所得課税の「1億円の壁」とは
岸田総理の発言で注目されたのは金融所得課税という言葉だけではありません。
金融所得課税にまつわる問題である「1億円の壁」もあらためてクローズアップされました。
岸田総理はこの1億円の壁を打破することを目的のひとつとして、金融所得課税の見直しを提言したという経緯があります。
1億円の壁とは「金融所得課税と所得税の税率差に関する問題」です。
すでにお話ししましたが、金融所得課税の税率は一律20%(特別復興課税を除く)になっています。
対する所得税は、所得が増えるほど税率が上がる仕組みになっているのです。
同じ収入でも、給与などの所得と金融商品による収入では税率が違っています。
たとえば、所得が330万円の所得からは所得税率は20%になります。
所得900万円からは所得税率33%になり、1,800万円からは所得税率40%です。
4,000万円の所得になると、税率は45%になります。
このように、仕事で所得を増やせば増やすほど税率がアップするわけです。
金融所得課税の一律20%(特別復興課税を除く)の税率と比較してください。
資産は金融商品で持ち、金融所得の利益に対して課税を受けた方が得になるのではないでしょうか。
資産を多く持つ資産家ほど、資産に占める金融商品は多くなります。
所得が1億円を超えるあたりから資産に占める金融商品の割合が多くなり、結果的に「資産家ほど税金が低くなる」という現象が起きます。
これが1億円の壁です。
岸田総理はこの1億円の壁を打ち砕こうと考え、発言したわけです。
金融所得課税の見直しが資産家に与える影響
金融所得課税については見直し発言をしただけで、現時点で税率などが変更されているわけではありません。
ただ、仮に金融所得課税が見直しされた場合、金融商品を多く所持する資産家への影響は免れません。
影響としては「税金の負担増加」が考えられます。
金融所得課税と所得税の税率のバランスが見直しされることにより、金融所得課税の税率が現在と変更される可能性はゼロではありません。
金融所得課税の税率が変更されると、金融商品の譲渡益や配当などが増税されるかたちになり、資産家は今までのように金融商品を節税などに利用することが難しくなるかもしれません。
また、所得を金融所得にして節税をはかる方法も難しくなる可能性があります。
金融所得課税が見直されることにより、資産家への負担増が懸念されるのです。
まとめ
金融所得課税の見直しは現段階では本格的におこなわれていません。
あくまで総理が発言しただけです。
よって、すぐに金融所得課税の税率が変わったり、1億円の壁が壊されたりするようなことはないはずです。
仮に金融所得課税が見直しされるとしても、慎重な議論がおこなわれることでしょう。
資産家がしておきたいことは、将来を見据えたポートフォリオの見直しや専門家への相談です。
今後の資産や節税などを考え、ポートフォリオや節税についてあらためて考えてみてはいかがでしょう。