目次
はじめに
資産10億円を持っている世帯は「超富裕層」に分類されます。そして、10億円の資産運用では大きく負けないためのポートフォリオを組むことが大切です。この記事では、10億円の資産運用のポイントと、運用シミュレーションについて解説します。
10億円を持っている人とは
野村総合研究所では、預貯金、債券、株式、投資信託、年金保険や一時払い生命保険など、世帯として保有している金融資産の合計額から不動産購入に伴う借入などの負債を差し引いた「純金融資産」が5億円以上を「超富裕層」と定義しています。2021年度の超富裕層の世帯数は9.0万世帯、全体の約0.2%にすぎません。
出典:野村総合研究所
資産10億円を持っている世帯も「超富裕層」に分類されます。超富裕層の職業としては企業オーナーや医師、地主、芸能人などが考えられますが、それらの中でも特に成功している一部の人しか10億円の資産を持つことはできません。
貯金10億円を使ったお金の増やし方
貯金10億円あれば、積極的にリスクをとって資産を大きく増やす必要はありません。しかし、現金や貯金で資金を持っているだけでは、インフレによって資産が目減りする可能性があります。
貯金 10億円の資産運用では、大きく増やすというより守りを重視した運用が大切です。金融商品には「リターン」と「リスク」があります。金融商品のリターンとは、投資を行うことで得られる収益のことです。そして、金融商品のリスクとは、 一般的に使われる「危険なこと」や「避けるべきこと」という意味ではなく、リターンが予測できない(不確実)であることを意味します。
リターンの振れ幅が大きいことを「リスクが大きい」といい、小さいことを「リスクが小さい」というのです。大きなリターンを得ようとするとリスクも高まります( ハイリスク ・ハイリターン)、そして、リスクを抑えようとするとリターンも低下します(ローリスク・ローリターン)。
金融商品にはさまざまなリスクがありますが、「価格変動リスク」が代表的です。価格変動リスクとは、購入している金融商品を換金する時の受け取り金額が、最初に支払った金額を上回る場合もあれば下回る場合もあるということです。
他にも「為替リスク」や「信用リスク」「カントリーリスク」などがあります。
貯金10億円の資産運用でのポイント
守りを重視した運用では、長期の分散投資を意識するようにします。株式や債券による運用は短期間では収益が大きく変動することがありますが、長期的な視点で資金を運用することで元手が増える可能性は高まるからです。投資のリスクを理解し、株式や債券などの資産を長期的な視野で運用することが重要です。
【富裕層向け】貯金10億円の資産運用|ポートフォリオの組み方
出典:GPIF
貯金10億円の資産運用ではGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のポートフォリオが参考になります。GPIFでは以下のポートフォリオによって、長期の分散投資を行っています。
1.国内株式 25%
2.外国株式 25%
3.国内債券 25%
4.外国債券 25%
GPIFの2001年度以降の収益率は+3.38%、累積収益額は+98.1兆円となっています。
GPIFの運用によって2000年12月末に100万円を投資した場合の各資産の価額推移は、以下の通りです。
出典:GPIF
貯金10億円での資産運用シミュレーション
GPIFの2001年度以降のリターンを参考に、10億円を年率3%で30年間運用したシミュレーションは、以下の通りです。
単利では19億円、複利では約24億円になります。利息計算には単利と複利の2つの方式があります。単利は投資期間中、元本にのみ利息が付く方法です。一方、複利は運用途中で発生した利息を元本に加え、その合計金額で利息を計算します。複利運用は長期間にわたると効果が大きくなり、資産形成に有利です。
まとめ
10億円の資産運用では大きく負けないポートフォリオを組むことが大切です。そして、株価の値動きによって定期的にポートフォリオを見直す必要があります。ただ、きちんとした資産配分を維持するのは難しいので、資産運用の専門家であるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談することをおすすめします。IFAは特定の金融機関に属しておらず、中立的な立場でアドバイスするので、信頼性が高いとされています。IFAに相談しながら、長期での資産運用を成功させるようにしてください。
一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。