2019
07/08
経済・マーケット

はじめに

2019年4月より国内大手EC企業の楽天株式会社が「楽天ペイメント社」を設立し本格的に楽天ペイのコード決済ビジネスを本格化させます。

100億円のポイント還元をキャンペーンにしていたヤフーとソフトバンクの「ペイペイ」などが世間を賑わせている中、2019年1月にMMD研究所が調査したQRコードの電子マネー利用率はLINEペイやペイペイを抜いて楽天ペイがトップでした。

楽天では楽天市場や楽天カードなどで貯まる「楽天スーパーポイント」が人気でフィンテック部門の楽天証券などもこの楽天ポイントでネット証券業界2位まで上り詰めました。

今回は楽天のポイント戦略から楽天ペイの普及を考えていきます。

ポイント戦略

楽天は2002年にポイントプログラムを始めました。

ポイントの内容は楽天市場内の店で消費者が買い物をすると100円につき1ポイント貯まって楽天市場でポイントを利用できるという仕組みでした。

しかし、加盟店はこのポイントの原資が楽天から出るのではなく、加盟店自身が負担することを知って敬遠していました。加盟店が負担したポイントを消費者が他店舗に使ってしまうことを嫌がったのです。

ただ楽天のポイント戦略の意図は、消費者にとってより便利なポイントツールがあることでさらに楽天市場内に消費者が増えると考えていました。

結果的に、現在の楽天市場を見ればわかる通り、消費者はかなり増え日本を代表するEC企業にまで発展しました。

どんどん貯まって、どんどん使えるポイントシステムは楽天市場内の加盟店にとっても、消費者にとってもメリットとなったのです。

楽天ペイとは

2016年から楽天株式会社は電子マネー「楽天ペイ」のサービスをスタートさせ、現在ではQRコード決済の中でトップの利用率を維持しています。

もちろん楽天市場、楽天証券、楽天トラベル、楽天カード、楽天銀行、ラクマなどグループ内の高いポイント還元率で多くの顧客をマーケティングしているため、現在の利用率に繋がっています。

さらに、楽天ペイでもポイントが二重取りできて、通常のクレジットカードや電子マネーよりも高還元率になっています。

ペイペイなど多くの電子マネーは普及を速くするため、加盟店の手数料を無料にしたり、100億円のポイントをヤフーとソフトバンクが負担したりなど、多岐にわたる手段で導入を加速しています。

楽天も実際、楽天ポイントの高還元によって会社側が多額を負担していますがビジネス的な観点で持続可能なのでしょうか。

持続可能なビジネスか

ペイペイでは「100億円キャンペーン」といった会社側が多額のポイント還元の原資を負担する一時的なマーケティングを行っています。

しかし楽天は2018年だと楽天カードだけでポイントを750億負担しています。つまりグループ全体でかなりポイントを負担しているのです。

ペイペイとは違いかなり大規模な額をしかも恒常的に負担しているので本当に持続可能なのかという不安があります。

楽天の認識としてはその答えは「持続可能」だそうです。

なぜなら、楽天カードや楽天ペイなどの決済手段は加盟店の手数料を他の電子マネーのようにゼロにしていないのです。
つまり、楽天は多額のポイント還元を負担していますが実質的な原資は加盟店の手数料になっているのです。

しかし、加盟店の手数料がゼロではないのなら加盟店はペイペイのような手数料ゼロの電子マネーを使うインセンティブが働きます。

この点についても持続可能かという疑問がわきますが、楽天の認識では「楽天の決済サービスをむしろ武器として加盟店に使ってもらう」とのことです。

つまり、楽天はこれまで多くのグループ会社を設立し国内にかなり強いブランディングがあります。その楽天の顧客基盤そのものが、加盟店にとっては手数料が有料であっても楽天ペイを導入するインセンティブになるのです。

そもそも2002年から開始したポイントプログラムは開始から17年経過していますがこの間持続している時点で今後も持続可能だろうという楽天ペイメント側の見解があります。

Suicaと提携

2019年6月5日、楽天ペイメントとJR東日本がキャッシュレス化推進に向けた連携を発表しました。

2020年春にも導入予定で、楽天ペイのアプリ内で「Suica」の発行やチャージが可能になります。チャージした電子マネーは全国の交通機関(鉄道約5000駅やバス約5万台)と、約60万のSuica加盟店で利用できます。

そしてもちろん、楽天ペイアプリからSuicaにチャージするとポイントがたまります。

Suicaの加盟店はあらゆる電子マネーの中でも圧倒的に多く、さらにアプリ内でSuicaの発行ができるのはJR東日本県内に居住していない公共交通機関ユーザーのニーズに応えることができます。

楽天ペイの普及


(図1:2015年キャッシュレス決済比率出典:経済産業省)

政府は2025年までに日本のキャッシュレス決済比率を4割まで引き上げようとしています(現在の政界における日本の普及率は図1を参照)。
さらに、多くの電子マネーも登場する中今では完全に電子マネーブームになっています。

上述した通り楽天はグループ内に多くの有名企業を抱えていてさらにJR東日本との連携も重なり普及は電子マネーの中でもトップレベルになるでしょう。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者3万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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