目次
はじめに
相続対策のために不動産や預金などの整理をする富裕層は珍しくありません。
しかし、相続対策のときに意外なものを見落とすことがあります。
「デジタル」の財産や利用料などです。
ネットのサービス利用やネットのポイント、電子マネー、ネット証券やネットバンクなどを利用していると、相続人が遺産を見つける手がかりがなく、相続の際に見落とされることがあります。
相続のときに相続人が困らないためにも、そして遺産を相続人の手に渡すためにも考えたい「デジタル終活」について説明します。
デジタル終活とは「ネットサービスの終活」のこと
デジタル終活とは、インターネットで利用しているサービスやネット上に所持している財産(遺産)の整理・相続対策をすることや、パソコンやスマートフォンといったデジタル機器(デジタル遺品)の取り扱いについて考えることです。
60~70代にとってもネットが身近だからこそデジタル終活は必要
日本では70代以上のネット利用者は7割を数えているといわれています。
70代の10人に1人はスマートフォンやパソコンで投資やサービス利用、ネット決済、電子機器による決済などを行っているということです。
総務省の「情報通信白書(2020年版)」でも60代の約16%が金融取引を目的にネットを利用しているという結果でした。
一般的に終活を考える年代は60~70代といわれています。
終活を考える年代の人たちにとって、ネット・デジタルは身近な存在です。だからこそ相続のときにトラブルが発生する可能性があります。
たとえばある人がインターネットサービスを契約していたとします。
インターネットサービスはその人が亡くなったからといって自動的に解約になるわけではありません。
サービス利用料が発生していれば、相続人が解約しない限りサービス利用料を引き落とされ続ける可能性があります。
ネットのサービス利用状況を相続人が確認しようとしても、パソコンやスマートフォンのパスワードが分からなければ利用状況が分からない可能性もあるのです。
利用状況が分からなければ解約が難しく、相続人は払わなくていいはずの利用料を払わなければならない可能性があります。
また、通帳のないネットバンクやネット証券などの場合は相続人が預金や有価証券の存在を知らないために、相続手続き漏れが発生するリスクもあるのです。
デジタル終活は重要!しておきたい3つのこと
相続のときに相続人が困らないように。そして、払わなくていい使用料の拠出や相続漏れなどが発生しないために、デジタル終活をしてはいかがでしょう。
デジタル終活でしておきたいのは3つのことです。
サービスの利用状況や連絡先窓口を一覧にしてまとめておく
サービスの利用状況が分からないと相続人はネットサービスの解約ができません。
サービスの問い合わせ窓口や利用中のサービス内容などをまとめておくことが重要です。
一覧にすることが難しい場合は資料や契約書などを一か所にまとめておくといいでしょう。
サービスやパソコン、スマートフォンのパスワードをまとめておく
パソコンやスマートフォンなどのパスワードを最低限書き留めておくなど相続人に伝える努力をしておかないと、ケースによっては多額の費用を要する可能性があります。
パソコンやスマートフォンなどのパスワードなどを解析する場合、短くても3カ月ほどの期間を見なければいけません。
また、解析が必ず成功するとは限らないのです。
解析のために数十万円から100万円ほどの費用がかかるケースもあるため、パソコンやスマートフォン内に重要なデータがある場合は、相続人などにパスワードを共有しておく努力が必要になります。
ネット証券やネットバンクにある財産をまとめておく
ネット証券やネットバンクに財産がある場合は、相続人が気づかず相続手続きを進めてしまうケースが少なくありません。
遺産を探そうにも手がかりが乏しいからです。
ネットバンクなどの財産については、相続人に分かるかたちでまとめておくことが重要になります。
電子マネーも見落としがちな財産です。
存在を家族や相続人に伝えるなど、工夫が必要です。
まとめ
不動産や銀行の預金については相続対策するかもしれません。
しかし、ネットバンクやネット証券、ネットサービス、ネット機器などについては終活を忘れているケースが少なくないのです。
相続人がスムーズに相続手続きを行うため、そしてサービスの解約などを忘れずに行うためにも、デジタル終活についても考えてみてはいかがでしょう。