目次
はじめに
アクティブファンドはインデックスファンドよりもコストがかかり、収益率も劣るといわれています。しかし、アクティブファンドの中にも好パフォーマンスを続けているファンドがあります。
この記事では「アクティブシェア」と呼ばれる指標を用いて、高いリターンをだしているファンドの選び方について解説します.
アクティブファンドとは
アクティブファンドとは、運用を担当するファンドマネージャーが自らの運用手法や相場観などに基づいて投資する銘柄を決めながら、あらかじめ定められたベンチマーク(日経平均株価などの指数)よりも、高い収益率を目指して運用するファンドです。
どの程度のリスクやリターンを取るのか、どの銘柄を選ぶかは、ファンドマネージャーの方針が大きく反映されます。運用方針は目論見書に書かれているので、きちんと確認するようにしましょう。
アクティブファンドの特徴
アクティブファンドの特徴は。主に以下の3つです。
インデックスファンドよりもリスクやリターンが大きい
ベンチマークを上回る運用をおこなうアクティブファンドは、特定の株式や債券が上昇することを想定して積極的に売買するので、インデックスファンド(指数に連動することを目指す投資信託)よりも大きなリターンが期待できます。しかし、市況や運用状況によっては大きな損失がでることもあるので注意が必要です。
また、運用成績がマイナスでも、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などのベンチマークを上回っていたら、高い評価を得る可能性があります。ですから、目論見書で運用方針や運用方法などをきちんと確認しておきましょう。
商品の数が多い
アクティブファンドにはさまざまな運用手法があり、商品の数も豊富です。たとえば、以下のような種類があります。
グロース株ファンド
現在収益が伸びていて、今後も業績の伸びが期待できる銘柄に投資するファンド。
バリュー株ファンド
資産や業績から判断して、株価が割安な銘柄に投資するファンド。本来の価値が認められれば、値上がりが期待できます。
テーマ型ファンド
フィンテックやAI(人工知能)など、世間で注目されているテーマに関連する銘柄に投資するファンド。時流に乗れれば大きな値上がり益が期待できます。
ブル型・ベア型ファンド
ブル型は強気株に投資するファンド。株価が上がると運用成績も上がります。一方のベア型は弱気株に投資するファンドで、株価が下がると運用成績が上がります。どちらも価格変動が大きく、損益の幅も大きくなるので注意が必要です。
インデックスファンドよりも運用コストが高い
アクティブファンドは、運用を担当するファンドマネージャーのほか、銘柄を分析するアナリストなど多くの人が運用に携わっているので、人件費がかかります。また企業経営者などとの面談をおこない、投資銘柄の選定に手間や時間をかけているアクティブファンドは、インデックスファンドよりも信託報酬などの運用コストが高くなる傾向にあります。
アクティブファンドの選び方
アクティブファンドは、運用するファンドマネージャーの手腕により、実績に大きな違いがでます。長期にわたって市場平均を上回るリターンをだしてきたファンドもあれば、高い信託報酬を取りながら、市場平均を下回っているファンドもあります。
ファンドを選ぶ際は、2000年代にアメリカで開発された「アクティブシェア」という指標を参考にするのがオススメです。アクティブシェアとは、保有銘柄と各銘柄の比率から見て、ベンチマークとファンドのポートフォリオ(資産構成)がどれだけ似ているかを示しています。
0%ならまったく同じ、100%ならまったく別だと判断するのです。明確な基準はないものの、80%を超えているとアクティブ型と判断するのが通常です。QUICK資産運用研究所のデータによると、主な日本株投信のアクティブ型投信のアクティブシェア(90%以上)は以下の通りです(2020年9月末時点)。
アクティブシェアが高いファンドは、ベンチマークを上回るパフォーマンスを上げる傾向があります。5年間のリターンでは、「三井住友元気シニアライフ・オープン」の38%と「結い2101」の29.5%がTOPIXのパフォーマンスを下回っていますが、大きく上回っているファンドが多いのが分かります。
ですから、アクティブシェアが90%以上のグループはリターンが高く、アクティブシェアはファンド選びの有力な物差しになります。
もちろんアクティブシェアが高くてもリターンが低いファンドもあるので、高い数値が必ずしも高パフォーマンスにつながるわけではありません。アクティブシェアは、ファンドマネージャーが日経平均やTOPIXなどのベンチマークと、どれだけ異なるポートフォリオを作っているかを示すだけで、銘柄選びに失敗すれば好成績にはつながらないのです。
ただアクティブシェアは、アクティブファンドの銘柄選びの参考になるといえるでしょう。
アクティブシェアは、現在のところ国内の一部の独立系運用会社が公表しているだけですが、運用成績の良いアクティブファンドにとっては格好のアピール材料になります。
まとめ
アクティブファンドは、長期では指数に連動するインデックスファンドに負けるというのが定説になっています。しかし実際の運用成績を見ると、インデックスファンドを長期で上回るリターンをだしているアクティブファンドも多くあります。
アクティブファンドは運用方針やファンドマネージャーの手腕で成績が大きく変わるので、ひとくくりにすることはできません。国内の中小型株ファンドを中心に、長期間にわたって市場平均を大きく上回る成績を上げていたファンドも存在します。
アクティブファンドはインデックスファンドに劣ると思い込むのではなく、アクティブシェアなどの指標や目論見書を確認しながら、どのようなパフォーマンスが期待できるのかを判断して、ファンドを選ぶようにしましょう。