2020
11/19
経済・マーケット

はじめに

2020年9月に、菅政権が誕生しました。また、11月の米大統領選ではバイデン氏が勝利宣言し、新しい政権が誕生します。菅首相とバイデン氏はどのような関係になるのか、また菅政権がマーケットにどのような影響を与えるのかについて解説します。

菅政権は長期安定政権になるか

2012年から7年8カ月続いた安倍政権が終わり、2020年9月から菅政権が始まりました。菅首相は円安・株高をもたらしたアベノミクスを維持し、金融政策と財政政策の大幅な変更はないとみられているので、為替や株式市場は落ちついています。

ただ、アベノミクスを継続するだけでは、日本市場は安定するとはいえません。外国人投資家は、すでにアベノミクスで日本株が上昇するとの考えを持っていなかったとみられるからです。

2018年に、外国人投資家は日本株を約5.8兆円売り越し、2019年にも4,345億円を売り越しました。外国人投資家は日本株の売買シェアの6~7割を占めているので、海外投資家の菅首相への評価が大切になるのです。

株式市場の安定には内閣支持率が大切

海外投資家は、投資する国の政治の安定性を重視します。ですから、菅政権が安定するためには国政選挙で勝つ必要があるのです。2021年には衆議院選挙(10月任期)と自民党総裁選が控えています。

衆議院選挙と自民党総裁選で勝利するために必要なのは、高い支持率です。長期政権の最初の内閣支持率は、小泉政権(2001年)で85%、安倍政権(2012年)で62%と高い水準でした。菅内閣の政権発足時の支持率は62%と、2012年の安倍政権と同水準で、長期政権に期待を持てる結果になっています。

日経平均株価は29年ぶりの高値を更新

菅政権が発足して2カ月後の11月6日の日経平均株価は、24,300円台と29年ぶりの高値となりました。米国大統領選挙でバイデン氏の勝利が確実になったことを好感したからです。米国市場の上昇を受け、日本の株式市場にも買いが集まりました。

株価の上昇を受けて加藤官房長官は、安倍政権から持続的な経済成長とデフレ不況からの脱却の実現に取り組んできており、菅政権でもしっかりと承継していきたいと述べています。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大で、日本経済は依然として厳しい状況にあります。感染拡大の防止策を講じながら、社会経済活動のレベルを引き上げていくことが大切なのです。

加藤官房長官は、感染状況や経済状況をみながら、必要があれば臨機応変に経済対策をおこなっていく方針だとも述べています。

海外投資家から評価を受けるには財政の拡大が必要

菅首相は「アベノミクスを引き継ぎ、さらに前に進める」と自民党総裁選で述べており、デジタル行政の加速に向けたデジタル庁の創設や、縦割り行政の打破、中小企業の競争力強化などを政策として挙げています。しかしこれらの政策は早期に成果がでるとは考えづらく、海外投資家から高い評価を得ることができるかは不透明です。

アベノミクスは「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の3本の矢からなる経済政策でした。しかし、安倍政権は財政支出を拡大させたとはいえません。

ですから、菅政権が海外投資家から評価を受けるとすれば、経済が本格的に回復するまで財政拡大を続けることだといえるでしょう。ただ、現在は新型コロナウイルス感染拡大への対応で、財政支出を大幅に拡大しています。このまま景気回復に必要な財政拡大を続ければ、海外投資家が評価し、日本株の上昇につながるでしょう。

菅首相とバイデン氏との関係

11月8日、菅首相は米大統領選で民主党のバイデン氏が勝利を確実にしたことを受け、ツイッターで「心よりお祝い申し上げる」と祝意を示しました。菅首相はバイデン氏との関係構築に全力を挙げる方針で、早い時期の訪米を目指しています。来年1月20日の就任式後を検討しているようです。

菅首相は来年のはじめに訪米を実現させ、日米同盟の重要性を再確認したい考えなのです。4年前にトランプ大統領と安倍晋三首相がはじめて顔を合わせたのは大統領選の9日後で、異例の早さでしたがその後の蜜月につながりました。

新大統領は就任式まで外交活動をしないのが通常で、新型コロナウイルスの感染状況を考える必要もあるので年内の訪米はないとみられています。ただ、菅首相は外交経験が少ないので、バイデン氏と相性が合うのか心配する声もあります。

菅政権の弱点

菅政権では、地方銀行の再編や携帯電話料金の引き下げ、デジタル庁創設といった政策を挙げています。しかし、菅総理の任期は2021年9月までの1年弱。2021年には東京オリンピックも控えているので、多岐にわたる政策を1年弱ですべて実現するのは困難です。

さらに、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎながら経済を安定させることが求められ、長期安定政権ができるのか疑問だという声もあります。ただ、株価にとっては長期安定政権が望ましいものの、早期に解散総選挙が行われるかどうかも注目です。

短期間で退陣となった場合は、株価のマイナス材料になるからです。また、菅首相は前例主義や既得権益の打破、規制改革を掲げています。これらには反対勢力の抵抗も予想され、政策のスピードと実行力が求められるでしょう。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者14万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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