2020
05/29

はじめに

新型コロナウイルスの混乱の中、「GAFA+Microsoft」の時価総額が、東証一部全体の時価総額を超えました。「GAFA」とは、アルファベット(グーグル持ち株会社)、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップルを指します。

日本人としては残念なことですが、米国には「GAFA」以外にも有望な企業が星の数ほどあります。そのため、日本株に投資するよりも米国株に投資をすることをおすすめいたします。

米国株の最初の投資先としては、配当株への投資が良いでしょう。価格の変動が少なく、安定して配当を得ることができるからです。

今年のように株価が急落した場合、配当投資家にとってはチャンスといえます。本稿では、最適な配当株を選択するための3つのヒントをお教えします。

1.健全なビジネスを探すこと

多くの配当投資家は最高の利回りを追い求めており、それ以上のことは考えていません。しかし、配当利回りがいきなり上昇することがあります。例えば、株価が急に下落すると利回りが上昇します。また、ビジネスがかなりの期間停滞していると、利回りが徐々に高くなるという場合があります。いずれにせよ、これらは回避すべき配当株です。

たとえば、カリブ海への大規模な投資により株価が下がったため、配当利回りが15.2%に急上昇したバックアイ・パートナーズを例にとります。バックアイは、投資資金を調達するために多くの借金を負いました。そして、配当をカバーするのに十分なキャッシュフローを生み出すことができませんでした。

経営陣は「配当の削減を計画していない」と述べていましたが、結局配当を40%削減したため株価は急落しました。バックアイの株式はその後まもなく非公開となりました。

現在、非常に健全なビジネスといえるのは、再生可能エネルギーの電力会社であるネクステラ・エナジーです。ネクステラは2020年第1四半期の決算発表において「2022年までの利益成長率が6%〜8%になるだろう」と述べました。

そのバランスシートは強固であり、配当の増加が見込まれています。現在の配当利回りは2.3%ですが、2022年まで年間10%ずつ増加するものと思われます。

2.不安定な産業を避けること

会社が非常にうまく回っており、簡単に配当をカバーしているとしても、現在の状況が当たり前だと考えるのは危険です。景気敏感型の企業は、景気が良いときには配当を支払うのに問題はありません。しかし、ビジネスサイクルが変化したり、景気が後退すると問題が発生します。

エネルギー企業の投資家は、配当金支払いの長い歴史を持つ大規模で安定した会社でさえ、事態が困難になったときには突然配当を減らすことがあるということを学びました。第二次世界大戦以来配当を減らさなかったロイヤル・ダッチ・シェルは4月29日、バランスシートを強化するために配当を66%削減したのです。

3月上旬に原油価格が暴落し、ロイヤル・ダッチ・シェルの配当利回りが10%を超えると、同社は配当の維持をあきらめざるを得ませんでした。他の多くの石油およびガス会社も、同様に配当を削減しました。

信じられないほど安定していて、現在も繁栄しているビジネスの1つは、消費者向けの定番商品です。プロクター&ギャンブルの紙製品とクリーニング用品への需要は非常に強い状況にあります。歯磨き粉、洗濯洗剤、おむつなどに対する需要の安定性は、莫大な営業キャッシュフローを生み出しています。

そのキャッシュフローは配当を支払うのに十分であり、同社は4月に64年連続で配当を増加することを発表しました。現在の配当利回りは2.6%となっています。

3.配当利回りに注目すること

すべての高配当利回り企業が危険であるとは限りません。安定した業界で健全な企業が高い配当利回りを提供している場合、企業に隠れた問題がない限り、その高い利回りは評価すべきです。

近年、AT&T(NYSE:T)の子会社のディレクTVは、人々のストリーミングサービスへの移行により打撃を受けています。しかし、AT&Tは十分な健全性を保っています。最近の市場低迷により、同社の株価は大幅に下落し、配当利回りは魅力的な7%となりました。

景気後退が進んだ前四半期においても、AT&Tは39億ドルのフリーキャッシュフローを生み出しました。CEOのランドール・スティーブンソンは60%の配当性向を維持することを目指しています。同社は5Gへのアップグレードに投資していますが、バランスシートを強化し続けるために十分な現金も確保しています。

AT&Tがバランスシートを強化しようとしていることは評価できます。同社の負債は2014年から大幅に増加し、2018年には1,900億ドルに達しました。しかし、AT&Tは過去2年間で250億ドルを超える債務を返済し、投資適格の信用格付を維持しています。

債務の返済にはまだまだ時間がかかりますが、AT&Tは安定した配当を支払うことができると思われます。

4.まとめ

配当を重視して投資する場合、低い利回りに落胆し、高い利回りに誘惑されるのは当たり前です。しかし、配当利回りが高いだけの企業に投資する事は危険です。

安定した業界の健全な企業に投資することで、長期にわたって持続できる配当ポートフォリオを構築することができるのです。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者14万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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