2020
05/15
経済・マーケット

はじめに

5月に入り「GAFA+Microsoft」の時価総額が、東証一部全体の時価総額を超えたという衝撃的なニュースが入ってきました。

「GAFA」とは、アルファベット(グーグル持ち株会社)、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップルを指します。それにマイクロソフトを加えた5社が、米国の時価総額上位5社となります。この5社を合わせて「GAFAM」と呼ばれることもあります。

米国の巨大IT企業の成長の凄まじさと、日本の失われた20年の間に米国と差をつけられた日本の現状に目を向けてみたいと思います。

1.平成元年(1989年)の時価総額ランキング

平成元年(1989年)時点の世界の時価総額ランキングトップ50社を見てみましょう。

日本企業は32社を占めていて、金融機関とインフラ関係を除くと上位はトヨタ自動車、新日本製鉄、日立製作所、松下電器、東芝、日産自動車、三菱重工業といった製造業でした。

米国企業もIBM、GE、フィリップ・モリス、メルク、デュポン、GMといった製造業が上位に並んでいました。

ところが今では上位に並ぶのは「GAFAM」のほか、中国のアリババ・グループ、テンセントといったデジタル業界の巨人です。

日本企業が世界の中でここまで沈んだ以上、市場規模で「GAFAMの時価総額、東証一部超え」という状況になったのは仕方ありません。

そして、最も注目すべき点は、変化が「製造業からデジタル産業への移行」を伴って起きていることです。

2.デジタル産業を生み出せなかった日本の風土

なぜ、日本は米国のようなデジタル産業を生み出すことができなかったのでしょうか。

それには、日本の昔からの「良い大学に入って、良い会社に入る」ことがもっとも望ましいという考え方が一向に払拭されていないことに原因があると考えます。
日本社会では、東大に入って官僚になる人が最も尊敬を集めると言っても過言ではありません。

米国では「良い大学に入って、良い会社に入る」というのは、大したことではありません。米国では、自ら起業して経営者として成功する人々が最も尊敬されます。

それに触発されたのが、楽天の社長である三木谷浩史氏です。彼は、日本興業銀行から社費でハーバードに留学してMBAを取得しましたが、その際に米国の「起業して成功する人が最も尊敬される」という文化を目の当たりにしました。

三木谷氏は、その考え方に感銘を受け、当初は社員6人で楽天をスタートしたのです。それが、今では日本国内では押しも押されぬ大企業です。

しかし、世界と戦うにはまだまだ実力が足りません。楽天は海外進出を目指して、世界各地の電子商取引会社を買収していますが、ことごとく失敗しています。資金力が足りず、買収先も2流企業であることが原因です。

また、ビジネスモデルもアマゾンに比べて洗練されておらず、世界中の投資家の注目と資金を集めるには至っていません。

3.ソニーの凋落

かつて、ソニーは「ウォークマン」を発売し、世界に衝撃を与えました。ソニーの日本企業らしからぬ自由な企業風土は、画期的な製品を生み出すポテンシャルを持っていました。「ウォークマン」を生み出した時のような社風が続いていれば、アップルに負けないような企業になっていたかもしれません。

しかし、出井伸之氏(当時のCEO)は1994年、ゲーム、音楽、映画、保険事業を子会社化し、事業の多角化を推進しました。これが大きな誤りだったのです。

ソニーの強みは、製品力です。どの会社にも負けない独自の製品を作ることができるというのがソニーの強みでした。しかし、出井氏が多角化経営に舵を切ったことで、製造現場はやる気をなくしてしまったのです。これ以降、ソニーから世界を動かすような製品が出てくることはありませんでした。

4.日本以外のマーケットはどうか

「GAFAMの時価総額、東証一部超え」というニュースは衝撃的ですが、それは日本の株式市場だけに起こっていることなのでしょうか。

つまり、このニュースだけですと「東証一部が弱すぎるのか、それともGAFAMが強すぎるのか」の判断がつきません。

そこで、「GAFAM」と「時価総額の高い10証券取引所」を比較してみると、ニューヨーク証券取引所とナスダック以外、「GAFAM」に時価総額で上回っているところがありません。

ということは、時価総額だけを比較してみると、「東証一部上場企業が弱すぎる」というよりも「GAFAMがグローバルで強すぎる」と判断すべきだと思われます。

5.まとめ

米国には「GAFAM」以外にも、画期的な企業が多く存在します。ですから、米国は今後も世界の株式市場を引っ張る存在になることでしょう。

現在、コロナショックの影響で米国株式はかなり割安な水準まで売られています。今こそ米国株の仕込み時ではないでしょうか。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者3万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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