はじめに
5月8日に4月の雇用統計が発表され、米国において非農業者部門雇用者数が2,050万人減少していることが明らかとなりました。失業率も14.7%まで上昇しています。
これは、過去最高の水準です。
この数字を見て、今後の米経済に不安を抱いていらっしゃる方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
本稿では、今後の米経済の行末について考察してみたいと思います。
1.過剰な悲観論は投資のチャンスを逃す
テレビやインターネットは、新型コロナウイルスに関する悲観的なニュースばかり流しています。
「コロナ後は世界が変わる」「世界経済は落ち込むはずだ」という声が蔓延しています。
しかし、大事なことを忘れてはいけません。新型コロナウイルスに対するワクチンが開発されれば、コロナはインフルエンザのような存在になるのです。
1918年に流行し、世界的に死者を出した「スペイン風邪」は、インフルエンザでした。
その時の世界の絶望感と言えば、たとえようのないものでした。それが、今はどうでしょうか。インフルエンザワクチンの開発によって「スペイン風邪」などという言葉さえ、みんな忘れていました。
つまり、未知の病気が発生しても、それに対応するワクチンさえ開発できれば全く問題ないのです。既に、米国の製薬会社であるギリアド・サイエンシズは、「レムデシビル」を開発しており、日本政府は早期にそれを承認しました。
日本の富士フィルムが開発した「アビガン」も新型コロナに効果があることが分かってきています。
ギリアド・サイエンシズ、富士フィルム以外の大手製薬会社も、新型コロナウイルスに対するワクチンの開発に動いています。例えば、世界最大手の製薬会社であるジョンソン・アンド・ジョンソンもワクチン開発に動いており、近い将来、新型コロナはインフルエンザのような存在になるでしょう。
私たちは、「アフター・コロナ」ではなく「ウィズ・コロナ」の世界に暮らすことになるのです。
2.米経済の先行きについて
雇用統計を見ると、サービス部門、小売りを含む商業・運輸・公益部門、建設部門、製造業部門の雇用者数が大幅に減っています。
新型コロナウイルスの蔓延が長引くと、これらの企業の業績が停滞し、米経済に影響を与える可能性があります。
しかし、その可能性は低いと言えます。上記で述べたように、世界中の製薬会社がワクチンの開発に取り掛かっています。向こう1、2年は新型コロナによる経済の落ち込みがみられるかもしれませんが、3年後には確実に米経済は復活するでしょう。
3.今こそ投資のチャンス
このように考えると、今こそまさに投資のチャンスだということができます。世界一の投資家であるウォーレン・バフェットはこのように述べています。
「周囲が熱くなっているときは投資を控え、周囲が恐れているときには積極的に投資せよ」
今こそ、その状況であると言えます。このような買い場は、今後100年間はやってこないでしょう。
優良な株式が、異常な安値を付けています。わかりやすい銘柄でいえば、原油の急落に押された石油関連株式が急落しています。
例えば、エクソンモービル、ロイヤル・ダッチ・シェルなどが、信じられないほど下落しています。原油は、航空機や自動車の燃料だけでなく様々な化学製品の原料となります。現在の相場は明らかに行き過ぎであり、3年後には通常の水準に戻っているはずです。
また、今回の新型コロナウイルスの流行により、オンライン診療、テレワークなどが浸透しました。
この働き方の変化は、新型コロナの流行が終わっても続くでしょう。それを見越して、オンライン診療企業のテラドック・ヘルスなどの株価は急騰しています。
4.米国経済は世界をリードし続ける
2008年に起きたリーマンショック後、世界中の人々は米国経済に対して悲観的でした。
「サブプライムローンの解決が遅れて、米国経済の回復は相当遅れる」
「米国は日本のようにデフレに陥るのではないか」
「中国が世界の盟主になるのではないか」
しかし、そうはなりませんでした。米国には、優秀な人材がそろっており、政府と中央銀行の連携は非常にうまくいっています。
そして、新しいものを生み出すことのできる米国の土壌は素晴らしいといえます。世界をリードするGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)は全て米国の企業です。
GAFA以外にも、世界的な企業になる潜在力を秘めた企業が星の数ほどあります。このような企業精神のあふれる米国経済に暗い未来は見えません。
5.まとめ
今後の米経済について、悲観的な見方をしている人が多いかもしれません。しかし、リーマンショックの時もそうでした。
その見方を覆し、米国はリーマンショックから世界で一番早く復帰するとともに世界をリードするGAFAという企業を生み出しました。
新型コロナの流行は一時的には米経済にダメージを与えると思われますが、米経済はそれほどもろくはありません。
すぐに復活して、世界のリーダーとして経済を引っ張る存在となるでしょう。