2019
11/29
経済・マーケット

はじめに

よくニュースで「日経平均株価」や「TOPIX」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?

日経平均株価とは、日本の経済をけん引する代表的な企業の株価の平均値を表したもので、日本経済の動向を知る1つの指標となっています。

また、TOPIXも非常に重要な指標となっています。TOPIXも日経平均株価と同様に、日本を牽引する代表的な企業の株価を(日経平均株価とは違った方法で)平均した値です。

日経平均株価とTOPIXは日本経済の動向を知る代表的な指標なので、ほとんどの人が1度は耳にしたことがあると思います。

しかし先日、金融庁は金融審議会を開き、東京証券取引所に対しTOPIXに代わる新たな株価指数を作るよう提案しました。

まだ、提案の段階で正式に決まってはいないですが、日本で最も有名といっても過言ではないTOPIXの算定基準が変わるとなると、各金融機関の金融商品(TOPIXに連動した投資信託など)の変化や、年金基金の運用姿勢の変化など様々なところで私たちの生活に関わってきます。

また、最近では「年金2000万円問題」によって老後の資産形成のために投資を考えている人も多いのではないでしょうか?

TOPIXの算定基準が変わると確実に投資信託の内容が変わるので、今回は「そもそもTOPIXとは何か」から「TOPIXがなぜ変わるのか」、「変わるとどうなるのか」について解説していきます。 

TOPIXって何?

TOPIXとは具体的に何でしょうか?

それを説明するためにまずは「日経平均株価」についてご説明していきます。

日経平均株価とは、東京証券取引所市場第1部に上場する企業(銘柄)の内、日本経済新聞社が選ぶ特に投資家に買われている、または売られている(つまり流動性の高い)225社の株価を平均した値のことです。

つまり簡単に言うと、日経平均株価は流動性の高い225銘柄の株価を「全て足して225で割っている」ということです。

しかし、日経平均株価は仕組みが分かりやすい一方で、日本の代表的な企業の株価・経済動向を把握するには少し正確性に欠けるというデメリットも存在します。

そこで、日本企業全体の株価と経済を正確に把握するために作られたのが、TOPIX(東証株価指数)です。

対象銘柄は東京証券取引所市場第1部に上場しているすべての企業で、算出方法は「各企業が市場に占める時価総額の割合」まで株価を小さくしてすべて合計したものです。

例えば、今市場に3企業(A社、B社、C社)しか存在しないとします。それぞれの株価が1000円、1円、1円だったとすると、日経平均株価と同じ算出方法だと平均株価は334円(=(1000+1+1)÷3)になります。

もし仮に、A社の株価だけが1%上昇すると(計算は省きますが)平均株価が337円になります。一方、B社の株価だけが1%上昇すると平均株価が334円になります。

つまりA社もB社も株価が1%上昇したのに平均株価に約3円(=337-334)の差が出ています。問題は、A社の株価がもともと大きすぎるからです。

しかし、A社、B社、C社の時価総額がそれぞれ2000円、5000円、7000円だとするとA社が最も影響力が小さいのに、A社が最も平均株価を左右することになります。

この時価総額による影響力が日経平均株価には組み込まれていない問題を解消するために、TOPIXはA社の株価(1000円)を
14%(=2000/(2000+5000+7000))まで縮めて、B社、C社も同様にすることでそれぞれの株価を時価総額(影響力)に見合った値まで縮めることができます(この算出方法を加重平均といいます)。

こうしてできたTOPIXは、日本を代表する企業の“より正確な”動向を把握できることから、各金融機関の投資信託がTOPIXに連動していたり、年金基金の運用成績の評価をTOPIXに対してどのくらい上回ったか(あるいは下回ったのか)で判断しているのです。

このように日経平均株価は直感的で分かりやすい一方、TOPIXは正確な株価動向を知ることができるのです。

新TOPIXの提案

しかし近年、TOPIXも時代とともに陳腐化しつつあります。

というのも、世界を牽引する企業のほとんどは新興企業と呼ばれる、いわゆるベンチャー企業であり、例えば、アメリカの市場に上場している企業の時価総額が大きい上位10社のうち、新興企業は6社(2019年11月24日現在)あります。

新興企業はアメリカではナスダック、日本ではジャスダックやマザーズに上場しているため、日経平均株価やTOPIXには反映されていません。

世界的にも、国内の経済動向的にも新興企業を株価に反映しないと、正確な経済の動向が把握できないため、今回の新TOPIXでは新興企業のような高い成長性を持った企業を選んでみてはどうかという提案が出たのです。

もちろん、新興企業なので株価の上下が激しく財務体制も脆弱な企業が多くなるので、健全な市場を形成するためには慎重な議論が必要になりますが、新興企業の経済への影響力が注視されているという事実があります。

そして、実際に新興企業を含む指標ができると、それに追随させる投資信託などは値動きが激しくなるというリスクを負うことになる一方で、日本を牽引する最先端の企業を含む投資信託になるので注目度は高くなるでしょう。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者3万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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