2019
07/24
経済・マーケット

はじめに

AI(人工知能)市場がどんどん大きくなっているこの時代ですが、大手メガバンクのみずほ銀行が企業への融資をする際の審査にAIを活用する「AI融資」を導入し始めました。

このAI融資とは一体どういうものなのか、また、みずほ銀行が導入したAI融資の概要やなぜ導入したのかという理由について解説していきます。

AI融資とは?

まずは、AI融資とは一体何なのかについて説明します。

AI融資とは、AIが融資先の口座情報(入出金など)や会計データ、ネット通販での販売履歴などを元にその融資先に融資をして大丈夫なのか、いわゆる信用力を判断するシステムのことをいいます。

従来の融資の審査は企業が作成・提出する財務諸表(図2)が主な判断基準になっていました。

(図2 出典:https://start-note.com/manuals/after-starting-business/bank-financing/143/)

しかし、この場合だと経営者や経理部がデータを作り替えて虚偽の財務諸表を提出したり、企業に関する情報が少なすぎて審査に時間がかかったりとかなりのデメリットがありました。

ここにAIが参入することで、財務諸表以外の情報(口座情報や会計データ、ネット通販での販売履歴など)を自動で分析して融資の審査を行うということになります。

AI融資のメリット

AI融資の1番のメリットは、審査期間の短縮です。

AI融資の参入により、融資の審査期間は従来かかっていた約1週間から最短で2営業日と大幅に短縮が可能になりました。

融資をする銀行側にとっては融資の審査にかかっていた時間を別の業務に効率よく回すことができます。
ほかにも審査に充てていた人件費の削減や、これまで人間の目ではチェックしきれなかった細かい部分までチェックが可能になるというのも魅力的です。

融資をしてもらう企業側にとっても財務諸表や各種書類を作成・提出する必要がなくなり融資の手続きの容易性を感じて融資をより身近に感じることができるようになります。
それだけでなく、企業は融資による資金調達に時間をとられずに済むので、経営活動に尽力できます。

つまり、双方にメリットがあります。

AI融資のデメリット

一方で、AI融資にはデメリットも存在します。

というのも、AIが数字を自動で分析するので(人間が判断するわけではないので)、審査の際には数字にかなり敏感になってしまう可能性があります。

よって、従来なら審査をする人間が感じ取れていた経営者の人柄や企業への思い・これまでの経歴などは考慮されないことになるので、審査基準の数字を満たしていなければ融資は不可という判断が出る可能性があります。

これはAIならではのデメリットといえますね。

みずほスマートビジネスローンの活用

みずほ銀行は国内メガバンク初の法人向けAI融資を導入しました。

みずほ第一フィナンシャルテクノロジーおよびクレジットエンジンと連携し生まれた中小企業向けのオンライン金融サービスです。

そのサービス名を「みずほスマートビジネスローン」といい、融資の申込みから融資の実行までの一連の流れがすべてオンラインで完結できるという非常に便利なものになっています。

このシステムは「オンラインレンディング」とも呼ばれています。

みずほスマートビジネスローンにおける融資までの流れは以下の通りです。

・融資の申込み
・融資の申込み者の同意を得て、口座情報や会計データ、ネット通販での販売履歴などを自動で集める
・集めた情報を基に、融資に関する資料を作成する
・正式審査の申込み
・審査開始から最短2営業日目で融資が実行される

この一連の過程がオンラインで完結するのは非常に便利ですよね。

本業の合間を縫って銀行の融資窓口に赴き、融資の相談をしに行く必要がないので融資申込み者にとっては大きなメリットです。

このサービスを利用できるのはみずほ銀行に口座を持っている企業のみです。

みずほ銀行がAI融資を導入した理由

みずほ銀行がこのようなAI融資を導入した理由の1つ目は、中小企業からの融資の利便性を求められたことにあります。

実際にみずほ銀行が中小企業を対象に取ったアンケートの回答には、融資に対して
・申込み手続きが簡単なのがいい
・審査に必要な書類が少ないと有難い
・審査結果が早く出てほしい
といった声がありました。

これによってみずほ銀行は中小企業のニーズを汲み取り、かつての融資手続きの困難さが資金調達を難しくしているのだと判断してAI融資を導入することを決定しました。

みずほ銀行がAI融資を導入した理由の2つ目は、中小企業側ではなく銀行側にあります。

かつてみずほ銀行含むメガバンクの融資の営業のターゲットとなっていたのは、売上高が10億円以上もの大企業でした。

そのため売上高が10億円未満の大半の企業には積極的な融資営業をかけておらず、ビジネスチャンスを失っていました。

ここで手続きがスムーズなAI融資を導入すれば、これまで営業をかけてこなかった企業からのビジネスチャンスが舞い込んでくる可能性があります。

そのためAI融資を導入しました。

AI融資のまとめ

ここまでAI融資の概要やみずほ銀行が導入したAI融資の概要、導入理由についてお話してきました。

みずほ銀行は国内メガバンク初のAI融資導入をした銀行ですが、今後もAI融資を巡っては他行が同様のサービスを導入して競争が起こってくることと思います。

2013年からのアベノミクスによる超低金利により滞る銀行の利ザヤ収入を、AIを駆使して取り返すことに期待です。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者3万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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