はじめに

投資の対象として不動産を考えたとき、大きく分けて、実在する不動産を購入する方法と、REITという不動産に投資する金融商品を購入する方法の２つが考えられます。投資家の目線からみると、不動産投資の手法としてはどちらにメリットがあるのでしょうか？この記事では、不動産投資を検討されている方のために、実際の不動産投資とREITへの投資の２つについ
て、特徴をご説明します。

１．不動産投資とREIT

不動産投資とは、実際に世の中に存在する特定の不動産を購入し、それを第三者に賃貸して収益を得たり（＝インカムゲイン）、購入時よりも高く売却することで売却益を得たり（＝キャピタルゲイン）する投資手法です。

一方、REITとは、間接的に不動産に投資するための金融商品です。REITを購入した投資家の資金をまとめて、投資法人がポートフォリオを組み、複数の不動産に投資をします。不動産からのインカムゲインやキャピタルゲインは、保有しているREITの単位に応じて、平等に投資家に配当金として分配されます。

２．REITのメリット

2.1 少額から投資をはじめられる

実際の不動産を購入するためには最低でも数百万円単位の資金が必要ですが、REITであれば、数万円の小規模な資金からも不動産への投資をはじめることができます。積み立てタイプの商品であれば、月々数千円程度で可能な場合もありますね。　

2.2　個人では買えないようなジャンルの不動産にも投資できる

REITでは、国内のマンションや戸建てに限らず、オフィスビルや商業施設等、個人投資家が1人で買うには高額すぎる物件や、知識がないとハードルが高い新興国の不動産などにも投資できます。また、さまざまな不動産に少しずつ分散して投資できるので、分散投資によるリスク低減効果が狙えます。

2.3 換金性が高く手間がかからない

REITの投資や運用は専門家が行ってくれるので、現物不動産投資のように物件探しをしたり、購入、入居者管理をしたりなどの手間が不要です。REITでは不動産は証券化されているので、譲渡や売却も、証券会社に手続きをするだけで容易に行えます。不動産売買契約や登記なども一切不要なので、購入者の感覚としては、株式に投資しているのとほぼ変わらない、といえるかもしれません。

3. 不動産投資のメリット

3.1 REITより利回りがよい傾向にある

REITの利回りは平均すると約４％程度ですが、現物不動産投資であれば１０％を超える利回りの物件のものも多いです。

3.2 レバレッジがきく

不動産投資をする場合、購入者の属性によっては、年収の数倍の融資を金融機関から受けることができます。一方、REITのような金融商品を購入する際は、通常そのようなローンを組むことはできません。現代のような低金利時代においては、ローンを組んで投資をすることができるという点は大きなメリットといえます。

3.3 生命保険としての効果がある

不動産ローンを組むと、団体信用生命保険特約によって、購入者に万一のことがあった場合、残債がゼロになったうえで不動産が遺族の手元に残ることになります。

3.4 タックスメリットを享受できる

建物の取得費については、法定耐用年数の期間中毎年減価償却することができるため、所得税の節税効果が期待できます。また、相続の際、現金よりも不動産で資産をもっているほうが、課税される被相続財産の評価額が低くなります。

４．REIT・不動産投資のデメリット

不動産投資のメリットのちょうど裏返しがREITのデメリット、REITのメリットのちょうど裏返しが不動産投資のデメリットともいえますね。金額や商品・不動産の選び方にもよりますが、リスクや工数をおさえて不動産投資をしたいという方にはREITはよい選択肢になります。

一方、不動産選びや管理の工数やリスクをある程度とっても、レバレッジをきかせて積極的に投資をしていきたいという場合には、実際の不動産投資も魅力的ですね。
ご自身の価値観や、投資へのスタンスにあわせて、最適な選択ができることをお祈り申し上げております。