こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
今回の記事のテーマは「会社売却前から事業会社で資産運用した方がいい理由【会社オーナー必見】」といった内容でお届けしたいと思います。
こういうご相談を最近結構いただきます。
会社を売却できるのであれば売却したいですが、事業会社の余剰資金は資産運用したほうがいいのか、そういうご相談をされる会社オーナーの方が結構います。
私なりの結論としては、会社売却する可能性があったとしても会社売却前から事業会社で資産運用したほうがいいのではないかと考えています。
今回の記事ではその理由について詳しくご説明できればと思います。
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目次
会社売却前から事業会社で資産運用した方がいい理由【会社オーナー必見】|まとめ
資産運用したほうがいい理由について結論からお伝えしていければと思います。
理由からご説明したいと思います。
理由は4つあるかなと思っています。
理由①現預金にしておくのは投資効率が悪くもったいない
1つ目の理由がシンプルに「現預金にしておくのは投資効率が悪くもったいない」というのが1つ目の理由です。
事業会社にある余剰資金5億円あるとして、その中で事業のために取っておかなくてはならない資産が2億円あるとするとします。
2億円を預金として置いておいたほうがいいと思いますが、残り3億円は事業に使う可能性がほとんどないわけです。それを預金にしておくというのは非常にもったいないと考えているわけです。
今だと毎年物価上昇で2%から3%くらい円預金の価値が下がっていることになりますので、やはり何かしら運用することによって投資効率を高めたほうがいいかなと思います。
ただ円の預金にしておくというのは投資効率が悪くてもったいないというのが1つ目の理由になっています。
理由②売却代金の運用前に投資に慣れておいた方がいい
2つ目の理由は「売却代金の運用前に投資に慣れておいた方がいい」というのが2つ目の理由です。
どういうことかと言いますと、会社売却を想定されている会社オーナーの方が会社を売却するとかなりまとまった資金が一度に手元に入ってくるわけです。今まで見たこともない、運用したこともないような5億円とか10億円という資金がいきなり入ってきて結構戸惑うわけです。どうしていいか分からないと。
5億円とか10億円とか今まで投資したことがないのに急に入ってきて、怖くてどうしていいか分からないという状態に陥っていらっしゃる方が結構いるわけです。
ただ、会社売却の前から事業会社の中で数億円とか運用しておくと、その後の会社売却が実って売却代金が5億円とか10億円入ってきたとしても、もともと数億円とか運用していますので、そんなに戸惑わずにしっかりと冷静に会社売却代金の運用も行うことができるということで会社売却代金の運用が本丸の運用にはなりますので、その前の慣らしや準備ができるというのがメリットではないかなと思います。
理由③会社売却後での投資タイミングの分散ができる
3つ目の理由が「会社売却後での投資タイミングの分散ができる」というのが3つ目の理由です。
会社売却して一度にキャッシュが10億円入ってきて、10億円を一度のタイミングで投資するのも別に悪くはないです。ただ会社売却前から運用をすれば、例えば会社売却する前から事業会社の資金を5億円何かで運用していたとします。
その2年後に会社売却が実って会社売却代金が5億円入ってきてそれをまた運用すれば2年前と今でタイミングを分散して資産運用することができていますので、タイミングの分散効果があるわけです。
1時点だけで10億円を投資するよりも、5億円、5億円で分けて運用したほうが投資の平均取得単価をならすという効果があったり、ドルコスト的な意味でいい可能性が高いかと思いますので、投資タイミングの分散効果も期待できるわけです。
理由④会社売却前に資産運用だけ資産管理会社に移せる
最後4つ目の理由が「会社売却前に資産運用だけ資産管理会社に移せる」というのが4つ目の理由となっています。
これは結構テクニカルな話にはなりますが、会社売却前から事業会社で資産運用を3億円したとすると、その中でも会社売却を進めていくと、1年後に会社売却の買い手が見つかり売却の契約をしますという話になったときに、事業会社の3億円の運用資産を会社分割という形で新たに会社を作ってそれを資産管理会社のような形にして、運用資産だけを移すということができるわけです。残した事業会社だけを売却することができて、移した運用資産に関しては資産管理会社としてオーナーが会社売却後も持ち続けることができます。
ですので事業会社で運用したら買い手が買い取ってくれないとか、M&Aにマイナスになってしまうと思ったり、資産を売却しなくてはならないと考えたり、実はそんなことはなくて、しっかりと新会社を作って資産管理会社として運用資産だけを切り離して事業会社だけを売却することが今の組織再編税制だとできます。
そのように考えて会社売却前でも事業会社で資産運用をあまり気にせずしたほうがいい4つ目の理由となっています。
事業会社の余剰資産運用
では理由の最後の会社売却前に運用資産だけ資産管理会社に移すというのが若干テクニカルで分かりづらいと思う方が多いかなと思いますので、その4つ目の理由のところだけイラストを見ていただいて分かりやすくお伝えできればと思います。
こちらが当初会社オーナーが100%持っている事業会社です。
事業資産と余剰資産が10億円あったとします。
そのうち事業に使わない余剰資産が5億円ありましたので、その5億円で債券とか株式で資産運用した状態が事業会社の余剰資産を運用している状態です。
会社売却前に運用資産だけ資産管理会社に移す
この状態で会社売却が実ったとすると、このような形で組織再編をするわけです。
もともとの会社が旧会社と言いますが、青色で囲ってある事業会社です。
この中には事業資産だけを残して先ほどの余剰資産で運用していた運用資産の部分だけを切り取って、会社分割をして新会社を作って、これを資産管理会社として運用資産を持たせる形になるわけです。
分類としては売却する事業会社が旧会社で資産管理会社が新会社となり、この資産管理会社は売却後も保有し続けることになります。
この旧会社の事業を行っている会社だけ買収企業に売却するわけです。
買収企業からすると新会社は別に必要ないわけです。事業を行っていない会社ですので、事業会社だけほしいわけですので、M&Aには差しさわりないわけです。
そうすると仮に売却代金が10億円だとすると、10億円から譲渡益税20%の2億円払ったあとの税引後売却代金8億円が会社オーナー個人に入ってくるわけです。
また売却後に8億円の資産運用を会社オーナーが故人か資産管理会社で資産運用を検討することになると思いますが、もともと事業会社で運用を5億円していましたので、かなり資産運用に慣れた状態で8億円の運用を行うことができますし、投資タイミングも5億円と8億円で分散して行うことができるわけです。
なおかつ小さく書いてありますが、課税繰延効果もあります。
運用資産5億円の中の(課税繰延効果)と書かれていますが、売却した会社は10億円の代金に対して20%税金を払って、2億円税金を払っています。新会社に移した運用資産5億円に関しては売却をしていませんので20%の課税が繰り延べられて1億円の税金を払わずに運用できている形になっています。
運用資産も売却していたとすると、実際には1億円追加で税金を払っている、運用資産の分に関しては4億円だけ残っている形になりますので、課税繰延効果も得ながら5億円運用を会社売却前からすることができる形になっています。
以上が会社売却前から資産運用することによってM&Aのときに会社分割によって運用資産だけ資産管理会社に移すことのメリットではないかなと思います。
当社は富裕層の方の資産運用をお手伝いしております。
資産配分全体の最適化から具体的な金融資産・不動産への投資、資産管理会社を含めた税務の最適化まで幅広いご提案をしております。
資産運用をお考えの方やお困りの方は気軽に当社の個別相談にお申し込みください。

株式会社ウェルス・パートナー
代表取締役 世古口 俊介
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。
2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者1万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
メディア掲載情報:「m3.com」「ZUU online」「MONEY zine」「マネー現代」でコラムを連載中