資産運用を誰に相談すればいいのだろうか?
ある程度の資産を築いた方であれば、一度はこの疑問に直面します。
資産が1億円を超え、5億円、10億円と増えてくると、世の中には驚くほど多くの「資産運用の相談先」が存在していることに気づきます。
そして、証券会社、プライベートバンク、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)といった選択肢の中から、どこに相談すればいいのか迷ってしまうのです。
一見するとどれも「お金のプロ」に見えるこれらの相談窓口ですが、実際には提案の立場や目的が大きく異なります。違いを知らずに相談先を選ぶと、「売られるだけの運用、金融商品選び」「誰に相談しても同じ話ばかり」「メリットばかり強調されて困惑した」など、後悔することにもなりかねません。
この記事では、これら3つの相談先の特徴と違いをわかりやすく比較しながら、あなたにとって最適な資産運用の相談相手を選ぶための視点をご紹介します。
目次
証券会社・プライベートバンク・IFAとは?違いは?
まずは証券会社やプライベートバンク、IFAについて説明します。
証券会社とは?──金融商品の販売が主な役割
証券会社は身近な資産運用の相談先のひとつです。
証券会社は株式や債券、投資信託など多種多様な金融商品を扱っており、「金融商品を買いたい富裕層」にとっては便利な窓口です。
ただ、証券会社の収益は「売買手数料」や「商品販売手数料」に依存しているため、営業担当者はどうしても販売ノルマを意識した提案になりがちです。
たとえば自社の金融商品の中でも手数料が多いものをお勧めしたり、自社の方針(A金融商品を顧客に売りたいといった自社の目標や方針)に沿った提案が多かったりする傾向にあります。
また、証券会社は担当者の異動が頻繁で、長期的な視点に立ったサポートを期待しづらい点も悩みの種となりやすいです。
担当者に資産運用の目的やリスク許容度を伝えたのに、担当の異動で新しい担当にまた最初から説明しなければならない。担当が変わるごとに資産運用のアドバイスがころころ変わる。このような困った点もあるため、相談の際には注意が必要です。
プライベートバンクとは?──富裕層のための金融総合サービス
プライベートバンクはスイスで生まれた資産運用の相談窓口のひとつです。
日本では主にメガバンクが展開している資産運用の相談窓口で、会社の創業者や相続富裕層など、資産を多く持っている方を対象にしています。
プライベートバンクは資産運用だけでなく、相続、事業承継、税務など、多面的な相談に対応できる「富裕層にとってのワンストップの金融サービス」が魅力です。
金融商品の提案というよりも、「資産の総合的なマネジメント」を目的としており、弁護士・税理士・不動産専門家と連携した提案を受けることも可能です。
ただし、提供される商品は銀行グループ内の商品にかたよる傾向があり、中立性に課題が残るケースもあります。また、一定以上の資産がなければ口座すら開けないという敷居の高さも特徴です。
IFA(資産運用アドバイザー)とは?──中立・長期目線のパートナー
IFA(資産運用アドバイザー)は、特定の金融機関に属さずに活動する独立したアドバイザーです。特にアメリカやイギリスの富裕層はIFAとの付き合いを持っており、日本でもここ数年で注目が集まっています。
IFAの最大の強みは、「中立的な立場から資産運用や管理の提案ができること」です。特定の金融商品を売るために動くのではなく、顧客のニーズに合わせて柔軟に商品を選び、長期的に資産形成のパートナーとなってくれる存在です。
また、IFAは担当者が独立しているため、証券会社のように突然担当が変わるということもありません。長期的なお付き合いで信頼関係を築きやすいという特徴があります。ただし、IFAの中にも実力差や経験の差があるため、信頼できるIFAを見極める目も必要です。
富裕層の資産運用はどこに相談すべきか?違いの比較表で整理
富裕層の資産運用の相談窓口である証券会社、プライベートバンク、IFAを違いごとに比較しながらまとめました。
項目 | 証券会社 | プライベートバンク | IFA |
立場 | 金融機関に所属 | 銀行グループに所属 | 独立 |
目的 | 金融商品の販売 | 資産の包括的な管理 | 顧客第一主義のアドバイスや提案 |
報酬 | 売買手数料 | 預かり残高+手数料 | フィーベースなどIFAによって異なる |
最低資産要件 | なし | 日本は5,000万円~、海外だと1億円や5億円など | 数千万円~10億円以上など幅広い資産での相談が可能 |
担当者の配置換えや転勤 | △
頻繁に異動や転勤がある |
〇
比較的安定している |
◎
基本的に異動や転勤はない |
中立性 | △ | 〇 | ◎ |
金融商品の選択自由度 | △
自社の取り扱い金融商品が中心 |
△
銀行グループの取り扱い金融商品が中心 |
◎
会社に捉われず幅広く提案可能 |
資産運用の相談はどこにすべき?実際どんな人がどこに向いているのか?
資産運用の相談をしたい富裕層によって向く窓口が異なります。
証券会社、プライベートバンク、IFA向きの方はそれぞれ次の通りです。
【証券会社向きの方】
- 金融商品の売買を自分で判断したい方
- 多数の金融商品の中から自分で選びたい方
- 少額から資産運用をはじめたい方
【プライベートバンク向きの方】
- 総資産5億円以上など保有資産が多い方
- 相続や事業承継、税務も一括で任せたい方
- 海外資産やグローバルな視点での運用が必要な方
【IFA(資産運用アドバイザー)向きの方】
- じっくり長期的に信頼関係を築けるアドバイザーを求めている方
- 金融商品だけでなく戦略やリスク管理の提案も受けたい方
- プライベートバンクや証券会社の提案に違和感を覚えている方
なお、IFAも富裕層の資産運用・管理に特化しています。相続や事業承継、税務、海外資産の管理、不動産運用などのサポートも受けられます。
そのため、総合的な資産管理や専門的な運用のアドバイス、目的に応じたポートフォリオの作成などを希望する方もIFAへの相談がおすすめです。
信頼して相談できるIFAを見極めるためのチェックポイント
信頼して相談できるIFAかどうかを見極めるためには5つのポイントがあります。
- 報酬構造が透明であるか
- 特定の金融商品への誘導がなく、中立的な立場でアドバイスしてくれるか
- 投資以外の相続や法人設計、税務、事業承継、法律、制度、不動産などへの知見があるか
- 税理士や弁護士、不動産専門家との連携があるか
- 提案に論理的な根拠や過去事例があるか
IFAの報酬構造が透明であるか
後出しで報酬や手数料を提示するIFAは信頼できません。また、報酬構造が複雑で透明性がないと、「相談にいくらかかるか分からない」と不安です。
信頼して相談できるIFAかどうかを見極めるためにも、相談や提案時の報酬構造が分かりやすいか、明瞭な説明があるかを確認しておきましょう。
中立の立場でアドバイスし、特定の金融商品への誘導がない
IFAの強みは金融機関など特定の会社に縛られないこと、中立であることです。
IFAを見極めたいときは、特定の金融商品や金融機関などへの誘導がないか、よくチェックしておきましょう。
資産運用や投資以外の面でも専門性を持っている
富裕層の資産管理は「金融商品を紹介すればいい」というわけではありません。
富裕層には会社を経営している方や相続を心配している方、税金面で不安を抱えている方も多いと言えます。だからこそ、金融商品の紹介だけでなく、資産と資産に関わる全般のサポートができるIFAであることが重要です。
資産を安心して任せるためにも、資産運用や投資だけでなく、相続や事業承継、法律、制度、税務、不動産などの専門知識があるかもチェックポイントです。
資産とその資産の承継、資産周りのすべてを任せるアドバイザーを選ぶつもりでIFAを見定めてください。
税理士や弁護士など専門家との連携があるか
税理士や弁護士など専門家と連携しているIFAもいます。専門家と連携することで、より専門性の高いアドバイスや提案を受けることが可能です。また、IFA自身で対応が難しい税務や法律などの問題については専門家の助力を受けられるというメリットもあります。
税理士や弁護士など専門家と連携しているかどうかも、IFAを見定めるときのポイントです。
論拠に論理的な根拠や過去の事例があるか
IFAの中には自分のこだわりや好き嫌い、思い込みでアドバイスする人もいます。
たとえば「自分は株式投資が好き」「ずっと証券会社で株式の投資に関わってきて自信がある」というIFAの場合、株式にかたよった提案をしがちです。自分の強みとして株式の知識や経験を活かしているならいいのですが、中には「自分が株好きだからお客さんにも株をやって欲しい」というこだわりでアドバイスするIFAもいますので注意が必要です。
IFAのアドバイスや提案に根拠やしっかりした事例があるか。思い込みや好き嫌い、こだわりを押し付けていないか。相談するIFAを選ぶときは重要なポイントです。
IFA事例:ウェルス・パートナーのご紹介
当社ウェルス・パートナーは特に富裕層のお客様から評価が高いIFAです。
私たちは資産運用に悩むお客様に対して、米ドル債券や不動産などのポートフォリオを提案しています。リスク許容度や資産運用のニーズ、将来や資産への考え方に応じた戦略とポートフォリオを提案しますので、ぜひご相談ください。
【主な対応事例】
- 会社売却後に現役時代の役員報酬と同程度の手取りを得たいお客様へのポートフォリオ提案
- 相続した遺産を守りつつ、お子様やお孫様への相続に備えたい相続富裕層の方のサポート
- ラップ口座で資産運用していたが、「金融商品を売りたいときだけ連絡してくる」証券会社や銀行に不信感を持っている地方開業医のお客様へのポートフォリオの提案
- 米ドル債券などの海外投資による資産再配分を目指すお客様への提案 など
初回の無料相談も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
IFA・証券会社・プライベートバンクに関するよくあるご質問(FAQ)
Q1:IFAはどんな資格を持っているのですか?
A:日本証券業協会の認定を受けたIFAは、証券外務員資格を保有しており、証券会社と提携のうえで商品提案も可能です。中にはCFP(国際ファイナンシャルプランナー)や税理士資格、弁護士資格、不動産関連の資格などを併せ持つ方もいます。
Q2:IFAに相談すると手数料が高いのでは?
A:IFAの多くは「フィーベース型(残高に応じた報酬)」を採用しており、日本でもこの報酬形態が広まりつつあります。フィーベース型は資産に応じた手数料なので透明性が高いです。売買頻度が少ない方には証券会社より割安になることもあります。
Q3:プライベートバンクは誰でも使えますか?
A:プライベートバンクによって最低資産要件があります。原則として金融資産3億円〜10億円以上が必要です。一定の収入や資産管理能力が求められるため、紹介制度を採用しているケースもあります。
Q4:証券会社の担当者でも親身になってくれる人もいますが…?
A:もちろん親身で優秀な担当者もいますが、あくまで会社の目標やノルマがベースになっていることを理解しておく必要があります。提案の裏にあるインセンティブ構造も意識した上で相談しましょう。
Q5:どのタイミングで相談するのがベストですか?
A:資産が1億円を超えた段階で、ぜひセカンドオピニオンとしてIFAへの相談を検討することをおすすめします。重要なのは「何かあってから」ではなく「何もないうちに備えること」です。
まとめ:商品ではなく「誰に相談するか」で資産の未来は変わる
資産運用で最も重要なのは、「どの投資商品を選ぶか」ではなく、「誰に相談するか」という点です。
- 証券会社は売買のスピード感を重視したい方や自由に自分で選びたい方向け
- プライベートバンクは富裕層で資産の総合的なサポートが欲しい方向け
- IFAは中立的な立場で長期的に資産の総合的なサポートを受けたい方向け
あなたにとって最適な選択肢を見極め、「資産を守りながら増やす」「資産を守り時代に受け継ぐ」ためのパートナーを見つけていただければ幸いです。
当社ウェルス・パートナーは富裕層の方の資産運用をサポートしています。
資産運用や管理のことなら、ウェルス・パートナーにお任せください。

株式会社ウェルス・パートナー
ポートフォリオマネージャー
慶應義塾大学商学部卒業後、三井住友信託銀行株式会社へ入社。
富裕層や会社経営者、地主を中心とした資産運用、相続対策のコンサルティングに従事。お客様と強い信頼関係を築きたいと思い株式会社ウェルス・パートナーに入社。富裕層、会社経営者の資産配分最適化を行う。具体的な金融資産の投資実行サポートや地主への相続対策を主とした税務の最適化、資産管理会社設立、運営のアドバイス、サポート。また会社経営者の資産承継サポートを行う。