【30代経営者のための不動産投資戦略】資産形成と事業成長を両立させる方法

はじめに

経営者にとって、不動産投資は単なる資産運用にとどまらず、経営戦略の一環としても活用できる有力な手段です。30代という若い経営者にとっては、長期的な視点での資産形成と、事業との相乗効果を見込んだ不動産投資戦略が実現しやすい年代です。

本記事では、30代の経営者が不動産投資で得られるメリットや、実際の成功事例、戦略の考え方、そして注意すべきポイントまでを解説します。

経営者が不動産投資で得られる5つのメリット

不動産投資にはさまざまな魅力がありますが、とりわけ経営者にとっては、その特性が本業と相互に補完しあう形で機能します。以下、代表的な5つのメリットを解説します。

安定した収益の確保

不動産投資の最大の魅力の一つは、安定的に収益を生む点です。賃貸経営は、景気の波に左右されにくく、継続的な賃料収入によって長期にわたり安定した収益を見込めます。

業種にもよりますが、事業経営は時に浮き沈みが激しく、売上や利益が安定しない時期もあります。そんなときに、不動産投資によって毎月一定の賃料収入が入ってくると、資金繰りに余裕が生まれ、精神的な安心感にもつながります。

強力な節税対策になる

出典:財務省 所得税の税率構造

不動産投資は、節税手段としても非常に有効です。減価償却という会計ルールを利用すれば、実際にはキャッシュアウトしない経費を計上でき、帳簿上不動産所得を赤字にできます。

事業経営が軌道に乗り、役員報酬も高額になってくると、経営者は所得税・住民税の負担増に悩まされるようになります。日本は累進課税制度を採用しているため、所得が高くなればなるほど税負担が重くなります。現在、所得税の最高税率が45%、住民税が一律10%、復興特別所得税が最高0.945%なため、税率は合計55.945%にものぼります。

iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)などの税制優遇制度も拡充してきていますが、高額所得者にとっては効果に限度があります。

不動産投資での節税対策は、大きなインパクトがあります。例えば、法定耐用年数を経過した築古物件を取得すれば、多額の減価償却費を計上できるため不動産所得を帳簿上数百万円から1,000万円程度の赤字にできます。これを給与所得と損益通算すれば、確定申告時に数百万円の還付金が得られる計算です。

なお、このスキームでは物件売却時に譲渡所得税が高くなる可能性があるため、注意が必要です。また、この事例は個人名義での投資のケースですので、法人名義での投資では節税スキームの活用法は異なります。

レバレッジが効く

不動産投資は金融投資と異なり、レバレッジを活用できる点が大きな特徴です。不動産投資では、金融機関からの借り入れを活用するのが一般的で、資産家であったとしてもローンを活用して投資を行い、自己資金を温存させる戦略が採用できます。

株式投資にも信用取引や証券担保ローンなどのレバレッジ手法はありますが、不動産投資ではリスクを抑えながらも高いレバレッジ比率の実現が可能です。レバレッジ効果によって自己資金の何倍もの金額を動かせるため、資産拡大のスピードが加速します。

30代経営者は年齢的に若いため、長期のローン返済計画を立てやすく、事業での実績が信用力となり融資を受けやすくなるという利点があります。上手に融資を活用すれば、短期間での資産形成が可能です。

リスク分散になる

経営者が資産運用をする場合、投資先の分散は重要です。不動産は株式や債券とは異なる資産クラスであり、相場の変動が比較的緩やかであるため、リスクヘッジの手段として有効です。

株式市場は、経済情勢や政治動向といった外部要因によって、つねに変動します。特に、リーマンショックのような深刻な経済危機では、株価が暴落する可能性があります。債券市場は一般的に株式市場とは異なる動きを示しますが、金融不安が高まった際には、同様に価格が大きく下落する局面を迎えます。

株式・債券市場の変動に左右されにくい不動産は、経営者の資産ポートフォリオにおいて欠かせない存在といえます。

インフレ対策として有効

インフレが進むと、現金の価値が相対的に下がりますが、不動産のような実物資産はインフレとともに資産価値が上昇する傾向にあり、インフレヘッジとして極めて有効です。物件価格の上昇に少し遅れますが、インフレの進行とともに家賃も上昇するため、インカムゲインの確保も期待できます。

さらに、借入によって購入した不動産は、インフレによって借金の実質価値が目減りするという現象が起きます。これを「債務者利得」と呼びます。インフレ時には、物件価格や家賃が上昇する一方で、債務の元本金額は固定されたままです。そのため、債務者は相対的に返済負担が軽減されるという経済的な利益を得ます。これは、投資家にとって非常に有利な状態であり、資産形成を加速させる要素となります。

経営者が不動産投資を行う場合の運営主体の3つのパターン

不動産投資を始める際、どの名義・主体で運営するかは戦略上重要です。ここでは、経営者が取り得る3つの運営パターンについて解説します。

個人で運営する

もっとも手軽に始められるのが、個人名義での不動産投資です。つまり、個人事業主として不動産投資を行う形です。

自ら経営する法人からの高額の給与所得があり、不動産投資によって節税を図りたい場合は、個人で運営する必要があります。減価償却を利用して課税所得を圧縮する場合、給与所得と不動産所得が同じ名義になっていなければならないからです。

ただし、物件をさらに買い進め、不動産所得を大きくしていきたい場合は、個人だと税務上不利になります。個人の所得税・住民税よりも法人税のほうが優遇されているため、どこかのタイミングで法人による不動産投資を考える必要があるでしょう。

資産管理会社を設立し運営する

不動産投資を規模拡大を視野に入れている場合、資産管理会社(いわゆるプライベートカンパニー)を別途設立する方法が有効です。

法人は会計上のルールが個人事業主よりも優遇されています。法人は認められる経費の幅が広く、その分所得を圧縮することができ、節税につながります。

法人では代表への報酬が認められます。また、法人で出張旅費規定を定めておくと、代表が出張したときに交通費・宿泊費とともに出張手当として日当を出すことも可能です。この日当は非課税です。

配偶者などの家族を資産管理会社の役員や従業員にして、その報酬・給与を経費にして計上もできます。

資産管理会社には注意点もありますが、税務上のメリットが大きいので、一定規模以上の不動産投資を展望しているのであれば、最初に取得する物件から法人名義にしておいたほうが良いでしょう。

経営する法人で運営する

経営する事業法人で直接不動産を取得し、資産として保有・活用するパターンです。この戦略は「CRE(Corporate Real Estate)戦略」と呼ばれ、事業の成長と不動産の活用を両立させる視点が求められます。

企業が所有する不動産を収益物件として活用する例として、自社ビルがあります。賃貸オフィスの場合、オフィス賃料は月々の経費として大きなものですが、自社ビルを所有するとその支出が避けられます。自社ビルの一部をテナントとして賃貸すれば、賃料収入の確保も可能です。

損益通算や費用の柔軟な計上も可能となり、税務面のメリットも享受しやすくなります。ただし、事業用不動産投資の場合は居住用とは異なる専門的なノウハウが必要となり、ハードルは高くなります。会計処理や税務対策についても専門的な知識が求められるため、税理士や不動産コンサルタントとの連携が欠かせません。

リスク許容度から考える不動産投資戦略

30代の経営者は、不動産投資においてリスク許容度が高い立場にあるといえるかもしれません。ただし、積極的に高いリターンを目指してリスクを取るか、安全性を重視して安定的な運用をするかは、その経営者それぞれの状況によって判断は別れます。

30代経営者だからこそ積極的にリスクを取る立場

出典:健美家 収益物件市場動向マンスリーレポート 2025年3月期

事業が安定し、将来への展望が明るい経営者であれば、若さを活かして積極的にリスクを取りに行く選択肢もあります。具体的には、フルローンで新築一棟マンションを取得するという方法があります。この方法であれば、資産規模の拡大を一気に進められます。

当然リスクもともないますが、30代であれば回復の時間も十分にあります。成長志向の強い経営者ほど、攻めの不動産投資がフィットするでしょう。

リスクテイクは本業に限定する立場

一方で、「リスクテイクは本業で十分」と考える経営者もいます。会社員と違い、経営者はすでにリスクを十分に取っているといえるわけで、この考え方も合理的です。

この場合はレバレッジ比率を抑え気味にし、空室リスクの低い物件に投資するスタイルが良いでしょう。具体的には、都心の中古一棟アパートなどが向いているといえます。

実例紹介:30代経営者の不動産投資成功パターン

実際に、不動産投資で成果を上げている30代経営者の事例を紹介します。いずれも、自身の事業の状況や資産戦略に応じて、柔軟に投資スタイルを選んでいる点が共通しています。

区分マンション投資からコツコツ積み上げ

都内でIT系企業を経営する30代男性・Aさんは、まずは中古の区分マンションを2戸購入し、賃貸経営をスタートしました。月々のキャッシュフローは控えめでしたが、不動産投資の知識を蓄えた3年後、資産管理法人を設立し、法人名義で中古の一棟アパートを取得しました。

忙しい本業の合間に不動産投資の勉強を重ね、無理のないステップアップが功を奏し、現在では複数棟を保有するまでに成長しています。

【所有物件】

中古区分所有マンション(東京都23区) 3戸

中古一棟アパート(首都圏) 2棟

「節税特化型」物件で大幅な節税の実現

エステティックサロンを営む30代女性・Bさんは、高額な所得税・住民税の負担に悩んでいました。そこで、不動産投資による節税を決断。築27年の軽量鉄骨造アパートを取得し、大きく減価償却を取って課税所得を圧縮するようにしました。

法定耐用年数を経過した軽量鉄骨造の物件は、減価償却期間を5年とすることができ、取得価格(建物分)の1/5を毎年減価償却費として計上可能です。この投資で、Bさんは課税所得を大幅に圧縮、確定申告時には数百万円の還付を受けました。

法定耐用年数を経過した木造や軽量鉄骨造の物件は、「節税特化型」物件として活用できるのです。ただし、このスキームでは物件売却時に譲渡所得税がかかりますので、その分も試算しておく必要があります。

【所有物件】

中古一棟アパート(郊外) 1棟

フルレバレッジの新築一棟マンション

年商10億円規模の飲食事業を経営する30代男性・Cさんは、金融機関からも高評価を得て、フルローンで新築一棟マンションを取得しました。立地が都心部のため、物件価格は高く利回りは低めとなります。フルローンのため、月々のキャッシュフローは少額ですが、将来的なキャピタルゲインが期待できます。

資産価値の高い立地と建物品質を重視したため、安定した賃貸経営が実現しています。

【所有物件】

新築一棟マンション(東京都23区) 1棟

経営者だからこそ注意すべきポイント

不動産投資には魅力がある一方で、経営者ならではの注意点も存在します。本業と投資を両立させるうえで、次の3つのポイントを意識しておく必要があります。

本業の資金調達への影響

不動産投資に際して借り入れを行うと、その情報は信用情報に記録されます。これが、本業で新たな資金調達を行おうとする際に、金融機関からの評価に影響を与える可能性があります。経営者個人の不動産投資ローンによって与信枠が圧迫され、事業用の融資審査にマイナス要素として働くケースもあるのです。

不動産投資が順調に進み、今後さらに物件を増やしていく計画がある場合でも、事業資金と投資資金の区分を明確にし、金融機関に対して適切な説明ができるように準備を整えておく必要があるでしょう。

経営する法人での不動産投資は別の視点が必要

経営する事業法人での不動産投資は、個人で行う投資とは異なる魅力があります。CRE戦略は、資産ポートフォリオを多様化させ、企業経営のリスク分散に役立ちます。そこでは、経営戦略の一環として不動産投資を捉える視点が必要になるでしょう。

事業法人名義の融資審査は、個人名義や資産管理法人名義と比較して厳格化される傾向にあります。これは、金融機関が不動産投資以外の事業への資金流用リスクを評価するためです。

CRE戦略は企業価値向上に大きく貢献する可能性を秘めているものの、高度な専門知識と経営資源を要する上級者向けの領域といえます。成功するためには、適切なコンサルタントの活用を含めた周到な準備が不可欠です。

信頼できるパートナーと組む

不動産投資は、物件選定・融資交渉・管理運営・税務処理など、幅広い専門知識が求められます。経営者が本業に専念するためにも、信頼できるコンサルタントや不動産仲介会社、税理士などとの連携が成功への近道です。

不動産と金融資産全体を見すえた、総合的な助言が得られる専門家と組むことで、戦略的な投資が可能になるでしょう。

まとめ

不動産投資は、30代の経営者にとって資産形成と事業の安定化を両立できる有効な手段です。安定収入や節税効果、レバレッジを活かした資産拡大など、経営者にとって魅力的な要素が数多く含まれています。

本業への影響やリスクマネジメント、適切な運営主体の選定など注意すべきポイントもあります。成功の鍵は、信頼できるパートナーとの連携と状況に応じた柔軟な投資戦略といえるでしょう。

弊社・ウェルスパートナーは、不動産・金融資産を含めた全資産を対象とした最適なポートフォリオを提案しています。30代経営者の方が不動産投資にチャレンジする際は、ぜひ弊社にご相談ください。

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